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朝起きたら、宇宙征服者の姫になってた!  作者: 七月 夏喜
第5話 璃緒とカレン王妃とザベリン王の真実
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その2


「アイリス星」


 アデンは呟く。


 ワームホールから抜け出た大型戦艦は、アイリス星の軌道上に停泊していた。メインブリッジから眼下に見降ろす星に、彼女は訝しい顔をしている。リュークはそれを黙認していた。

 アイリス星は灰色と赤色が入り混じり、緑色が点在した様子をしている。褐色化した乾いた不毛の大地と、緑地化した僅かな生存地区、そして灰色の海が広がっていた。

 その昔、ここは超高度文明を発展させた種族が繁栄していたという。


「アデン姫、フィリップ艇の転送装置の準備が整いました」


 頭を垂れたメイラムが声を掛ける。アデンは頷き、リュークの方を振り返った。


「リュークよ、おまえはどうする。アイリス星に降り立つかどうかは、無理には申さぬ。心配せずともリオンは連れて帰ってきてやる」


 瞬間、アイリス星に視線を向けて振り返り、胸に拳を当て頭を下げる。


「如何様にも、アデン姫のご指示に従います」


「ならば、ついて来るが良い」


 アデンは少しだけ微笑み、踵を返して歩き始めた。メイラムもその後に続き、三人はブリッジから出ていく。


 メイラムは何度も振り返っては、リュークの顔色を伺っていた。


「メイラム。なんだその顔は」


「心配などしていないぞ。貴様の不甲斐ない顔を見るのは御免だからな」


 相変わらず強気の発言に、リュークはほくそ笑む。淡い照明の中、アデンは素知らぬ顔で前を歩いていた。


「情けない、か」


 男の悟る言葉にメイラムは押し黙る。足早に複数の靴音が響くフロアーに少しの間が空いた後、リュークは呟いた。


「俺にとってのアイリス星は、昔と変わらない」


「さっきから、言っている。貴様のそんな顔は……」


「わかった、わかった」


 彼は話を中断して笑う。メイラムはアデンに付き添うように小走りをし、先を進んだ。

 

 目を細くして見つめるリュークは、腰に重くのし掛かる鞘に手を掛ける。


「あのお方は、地球で生涯を送る方が、幸せなのではないか」


 男は細くなった瞳を鋭くして、更に鋭敏になった。


「王妃は……」


 腰の鞘を握り直す。


「あの日王妃は、俺に託された」


 彼は転送装置の場所に辿り着いた。すでにアデンとメイラムは行った後だ。緑色に淡い円が、ゆっくり点滅している。リュークはその円の中央に直立した。


「導くようにと。それがどんな道なのか、未だ俺には解らぬ」


 淡い点滅がやがて光り始め、リュークの姿が消えかかる。その刹那、男は鞘をもう一度握り締めた。


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