5話
「誰ですか、貴方は」
クリスが問いかけると、女性は凛とした声で答えました。
「この学院で教頭をしています、ドロレスです」
「教頭先生か……」
「ドロレス教頭、申し訳ないのですが、今から私たちは私の父上に会いに行かなければならないのです」
「そうです、ドロレス教頭先生。この人の言う通りです。そうじゃないとケント先生が戻ってこられません!」
二人の訴えに、ドロレス教頭の眉間に深い皺が寄ります。
「私の言うことが聞けないというのなら……アイナさん、貴方には反省文三百枚の罰を与えますよ。それでも良いのですか?」
「は、反省文!? 三百枚なんて、今までの最高記録じゃないですか! それは嫌です先生、絶対に嫌です!」
アイナの顔がみるみる青ざめていきます。ドロレス教頭は次に、クリスを鋭く見据えました。
「クリス先生、貴方もですよ!」
「私も!?」
「貴方にも反省文三百枚です」
「う、それは……」
想像しただけで、クリスのパンク寸前の頭から煙が出そうになります。
「分かったのなら、二人ともとっとと学校に入りなさい!」
教頭の怒声が飛ぶと、二人は肩を落としました。
「くっ、仕方ない……。父上に会いに行くのは、学校が終わってからにしよう」
「ええ、それが良さそうね。さすがに反省文三百枚は厳しすぎるわ……」
二人はとぼとぼと歩きながら、重い足取りで学院の校舎へと消えていきます。
その後ろ姿を見送りながら、ドロレス教頭は大きなため息をつきました。
「やれやれ……。アイナさんだけでも大変だったのに、同じようなのがもう一人現れてしまったわ……」
教頭は懐からチョコレートを取り出すと、ぽいと口に放り込みます。
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