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2章 35話 ギルドの進退

内容がダークヒーロー物の話につられて若干復讐系に走ってしまったような気がしています。

って、数話前からか!


「報告の内容は理解した。

 ご苦労だった。」


ギルドマスターの部屋に、ヨーゼフたち、ドワーフ、エルフが集合している。

今回のダンジョン探索の結果を報告し終わったところだ。


「で、エルフ方、ドワーフ方。

 探索の時に手に入れたものを納品して

 頂こうか。依頼内容はしっかり告げたぞ?

 手に入れた物はすべて納品してもらうとな。」


ギルドマスターに言われ、エルフとドワーフは怒りを露わにした。


「なっ!貴様!!」


「わしらの利益を奪い取ろうと言うのか!」


怒るエルフとドワーフに向かってギルドマスターは冷静に告げた。


「貴殿ら程の者が言葉を理解できないとはな。

 依頼内容は最初に告げた。

 依頼を無視し、手に入れた物を自分たちの物に

 したいと言うのは契約違反だ。話を聞けないので

 あれば、今すぐひっ捕らえてくれよう。

 それに報告を聞けば貴殿らは何ら役に立たなかったと

 言うではないか。

 ただ偉そうに後ろでふんぞり返っていただけだとな。

 今回の探索の重要な役目を果たしたと言うのら、

 聞こうではないか。」


「ゴブリンやコボルトが魔石を落とすなど

 歴史始まっての大事件だ!

 その魔石を鑑定していたのだ!」


「わしらは鉱脈について調査していた!

 こんなに純度の高い鉱石がダンジョンから

 摂れるなど未だかつてなかったことじゃ!」


ドワーフとエルフは感情に任せて反論してしまっていた。

しかし、これはギルドマスターの挑発に乗ってしまっただけだった。

彼らはもっと冷静に反論する必要があったのだ。


「馬鹿どもが。

 そんなことくらい、貴殿らがおらずともわかることだ。

 貴殿らがいなければわからないことを言ってみよと

 言っているのだ。

 エルフの者よ。答えてみよ。鑑定して何がわかったのだ。

 ドワーフの者よ、答えよ。純度の高い魔石が取れるから

 なんなのだ。なぜそのようになるのか理由がわかったのか。

 それとも理由がわからなければ困ることなのか。

 わざわざ魔術師ギルドや鍛冶ギルドから来ておいて

 やったことと言えば、その程度のこと。

 そんな低能なやつらと話すことなどない。

 さっさと去れ。」


更にギルドマスターに煽られ、エルフとドワーフがギルドマスターを害そうと武器を手に取った時だった。

ドアが開いて抜き身の武器を持った冒険者がなだれ込んできた。


「どうやらギルドの冒険者たちは、探索に同行して頂いた

 亜人の方々を丁重に送り届けてくれるらしい。

 しかも、無料でだ。恩に着るのだぞ。」


周りを冒険者に囲まれ、エルフとドワーフは何も言えずただ悔しさを押さえつけるしかなかった。

そして、冒険者に囲まれながら部屋を出ていこうとしたときだった。


「ああ、言い忘れた。

 貴殿らのマスターに告げてくれ。

 今回のダンジョンは冒険者ギルドの管轄になった。

 領主も約束してくれている。

 どうしても入りたい時は冒険者ギルドを通すように。

 勝手にダンジョンに近づいてくれるなよ?」


決定的だった。全て冒険者ギルドに言いようにされ、何とマスターに報告すればいのかわからずエルフとドワーフたちは青ざめていた。

ヨーゼフ達以外の者が部屋を去った後


「灰色の狼よ、ご苦労だった。

 特にヨーゼフと言ったか。リーダーとしての判断には

 素晴らしいものがあった。

 エルフ,ドワーフ共の高慢な態度には随分と腹が立った

 ことだろう。それを我慢し、ある程度の調査結果を出すまで

 我慢し続けてくれたことは称賛に価する。

 おかげで、鍛冶ギルドや魔術師ギルドを出し抜くことも

 できた。報酬も弾んでおくので後で確認してくれ。」


ギルドマスターの物言いにカタリナは満足していた。

ヨーゼフが我慢に我慢を重ねて依頼をやり抜こうとしたのは、こういう結果になることをわかっていたからだったのだ。

もしカタリナが怒りに任せて途中で帰ってしまっていたら、探索の失敗を冒険者ギルドに押し付けて、魔術師ギルドや鍛冶ギルドがダンジョンの探索の権利を握ってしまったかもしれないのだ。

ギルドマスターの部屋を出て、受付に行くと報酬の袋を持ってギルド員が待っていた。


「灰色の狼の皆さん、お待ちしていました。

 今回の報酬ですよ。」


ギルド員が持っていた報酬の袋はとても小さかった。

報酬は弾むと言っていたから、銀貨50枚は固いと思っていた。

だが、袋を見る限り入っているのは硬貨数枚だろう。

カタリナがギルド員から袋を受け取る。容量的に数枚どころか2枚入っているだけだとわかる。

そう思って袋の口を広げ中を覗き込むと、入っているのは銀色のコインではなかった。


「ヨッヨーゼフ!!」


「ん?どうしたんだカティ。

 ゴブリンが礫を受けたような顔して。」


「ちょっと!何変な比喩してんのよ!

 って聞いてよ!

 報酬、金貨よ。」


ヨーゼフのバッドジョークを返して、カタリナがメンバーに告げる。

銀貨だと思っていた報酬は金貨だった。メンバーが想像していた報酬の倍以上だった。


「ほー。あのギルドマスター・・。

 ずいぶんと気前がいいな。」


ヨーゼフはギルドマスターがエルフとドワーフを言い負かした場面を思い出していた。

改めてあのギルドマスターについていこうと思えた。

この後ヨーゼフ達は依頼の達成を祝うため、一日だけ豪華な宿に泊まり豪華な食事をした。

そして装備を新規購入し、古い装備は修繕した。

彼らは今回の依頼を境にギルド内でも有名になった。そして、噂をされるときは「あの灰色の・・」と言う二つ名で呼ばれるようになった。


魔術ギルドと鍛冶ギルドと言えば、当然ながら領主に抗議を行った。

しかし領主であるヴィムはそれを受け付けなかった。そして何を言われても、ダンジョンに関しては冒険者ギルドを通せ。の一点張りだった。

魔術ギルドと鍛冶ギルドは冒険者としてギルドのメンバーを送りこむことしかできず、更に冒険者ギルドの発展を促すことになった。

こうしてサトルのダンジョンは冒険者ギルドの占有として、多くの冒険者が送り込まれることになった。


【ここ2回分の冒険者の侵入とモンスター討伐によるダンジョンポイント】

冒険者4人:F4人=40×2=80

エルフ,ドワーフ:E4人=20×4=80

ゴブリン10=3×10/3=10

コボルト6=6×10/3=20


合計190ポイント


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