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2章 1話 凶報

ようやく2章始められました。

もうすぐ2章ですと言ってから大分かかりましたね……。



データで戦いの状況を見ていて、聖騎士とオーガが共に落とし穴に落ちていくのを見て、小さくガッツポーズをした。

オーガは落とし穴に落ちる寸前に腹を騎士剣で貫かれていたせいか、体力が切れたらしく落下の途中で消滅した。

残された聖騎士は体を捻って、少しでも良い態勢で着地しようともがいていた。無駄な足掻きもむなしく、すぐに地面にたどり着き不完全な態勢での着地となってしまっていた。

そのような着地となってもすぐに立ち上がったことは流石としか言いようがない。だが、着地の際に右足を痛めたようで引きずるようにして壁に向かって歩いて行った。そして、壁に背中を預けて座り込んだ。


唱えたライトを部屋の中全体が見渡せるように動かして、モンスターがいないことを確認して、体を休ることを決めたようだ。

まだ戦意は失っていないことがわかる。この聖騎士は、生きて仲間に助けもらおうと思っているのだ。


「サトル様、レベルアップおめでとうございます」


聖騎士を眺める俺の意識にシスが割り込んでた。この言葉、もう何度目だろう。

成果確認のために、ウィンドウを開く。


 ダンジョンに訪れた冒険者:280ポイント(21人)

冒険者に倒されたモンスター:150ポイント

 冒険者の吸収      :  0ポイント

           合計:430ポイント

   次のレベルアップまで:664ポイント


ダンジョンに訪れた者は、前回と全く同じだったのだろう。ポイントとしてなんら変わることがない。

モンスターは今回結構な数が倒されたので、その結果がポイントに反映されている。

それだけでかなりの経験値を入手できたようで、レベルアップに至ったようだ。


「シス、またどこかでレベルアップの内容説明をしてくれる?

 今回はそれを聞いてる余裕がないから」


それだけ伝えて、俺は再度聖騎士に目を向けた。今はこの聖騎士をどうするかに意識を向ける必要がある。

一矢報いると言う願望は叶ったのだ。しかし、その後聖騎士をどうするかまで決めていなかった。


俺は当初抱いていた感情を思い出した。

殺意?怒り?いや、違う。悔しさ、これが一番近い感情だろう。

親愛の情が沸いたゴブリンロードの無残な姿を見たから、一矢報いることを決めたのだ。

では、怒りや憎しみと言った感情はないかと問われれば、あると返事することになる。しかし、それらの感情をどうしたらいいかわからず、とりあえず引き続き様子を見ることにした。


壁に背を預けて座る聖騎士はまだ戦意を失ってはいない。残りの感情に決着が着けれていない。この思いで俺は聖騎士から目を離せないでいた。

その後も見続けたが、聖騎士は特に動きを見せずこの日が終わろうとしていた。




ところ変わってここは村。

ダンジョンに敗退した騎士が結果を告げるべくギルドマスターの元を尋ねていた。

副隊長格の騎士が受付に伝えると、受付は驚愕の表情を浮かべてギルドマスターの部屋をノックもせずに開けた。

ギルドマスターは執務に従事していたが、普段行儀の良い職員がこのような無礼なことをすることに驚いていた。そして、その後職員の報告を聞いて更に驚くことになる。


「マスター、騎士達が敗退して戻ってきました。

 聖騎士様はモンスター共々落とし穴に落下。

 生死不明です!」


ギルドマスターは慌てて椅子から立ち上がる。職員の話を聞いてもまだ判断が下せない。それほど動揺していた。聖騎士と言えば、単体でも中級クラスの冒険者以上の実力がある。そんな者が落とし穴に落とされるほどの自体とはとてもゆゆしきことであるのだ。

動揺しているのには他にも理由があり、そのうちの1つに聖騎士から何度もあのダンジョンが怪しいと言うことを伝えられていたのに関わらず、様子見と言って聖騎士からの提案を面倒臭いと放置をしていた言うのがあった。

流石に今回のことはギルドマスターとしての失態となることは間違いないだろう。

ギルドマスターは俯いて手を強く握りしめていたが、少しして顔を上げて職員に指示を出す。


「領都へ早馬を飛ばせ!

 ダンジョンの情報と聖騎士の件を伝え、

 助けを求めるのだ!」


そう指示され、職員はすぐさまギルドが抱える早馬を手配、内容を伝えると領都に向けて旅立たせた。




ダンジョンから帰ってきた騎士達は疲弊していた。

何より、ヒルダを失ったことが大きい。ヒルダは自分たちの領主であるヴィムの実の娘である。

後数年したら領都に戻ってきて、自分たちが守る対象になるはずだったのだ。

ヒルダが自分たちより強いとは言え、まだ若く将来性もある。命を懸けて守らなければならなかったはずなのだ。

それなのに守られたのは自分たちの方だった。殿を務め、逆に命をかけて村へ返してくれようとした。

そして落とし穴に落ちていった。生死は不明だが、あのようなダンジョンのさらに下の階に落ちたとなれば生きているのは限りなく不可能に近いだろう。

そう思い騎士達は余計に暗くなる。

だが、自分たちの力ではヒルダを救うことはできない。あのオーガ部隊を倒すことさえもできないだろう。

領都からの援軍……自分たちの隊長であるレオンの到着を待つしかない。そうやって考えていくたびにどんどん暗くなっていくのだった。



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