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1章 45話 懐疑

本日2話目の投稿になります。

ちなみに、明日の朝の投稿は難しいかもしれません・・・(未定)



騎士達がダンジョンに攻めてきたのは何も唐突と言うわけではない。

ある程度計画的に考えられ、今日ダンジョンに訪れることになっていたのだ。


時は前日。村長の家を借りて、騎士達が集まっていた。


「前回ダンジョンを攻略してから、何日経つ」


聖騎士であるヒルダが騎士の副隊長格の者に問いかける。

騎士は思い出しながら指を折る。4本目の指が折られたところで、手が止まる。


「今日で四日目ですね」


「四日か。では、ダンジョンにおけるモンスターの

 平均リポップはどれくらいだ?」


再度ヒルダに問われ、騎士が考える。


「大体7日から8日と言われています。

 最もリポップが早いダンジョンで1日と

 言う噂もありますが」


(で、あれば明日再度調査に行ってもいい頃合いだな……)


明日ダンジョンを再調査することを騎士達に告げる。

騎士達は了解の意を示し、それぞれ明日のための武具の手入れのために、宿に戻って行った。


「さて、明日のために冒険者ギルドに

 冒険者同行の依頼をしてくるか」


ヒルダは鎧を着直しフードを深くかぶった。

村長の家を出て冒険者ギルドに移動すると通り過ぎる村人の多くが自分を見てくる。

白銀の鎧は聖騎士のみが着ることを許されていて、村にいる聖騎士は現在ヒルダ一人であるから物珍しいらしく好機の視線に晒されているのだ。

冒険者ギルドに着くと、ヒルダの姿を目にとめた職員が駆け足気味に向かってきた。


「ギルドマスターに用事がある」


駆け寄ってきたギルド職員に告げると、職員は足早にギルドマスターの部屋へと向かった。

1分と経たずに部屋から出てきて、部屋でマスターがお待ちですと伝えてくれるとそのまま職務に戻っていった。


職員が出てきたギルドマスターの部屋へと移動し、ノックをして部屋に入る。


「聖騎士様、今回はどの様な御用でしょうか」


部屋に入ってきたヒルダに対し、ギルドマスターが職務をしていたデスクの向こう側から話しかけてくる。

前回ヒルダは意見を無下にされていたため、ギルドマスターのその発言が嫌味を含んだものに聞こえて仕方ない。


「明日ダンジョンに再度調査に行く。

 冒険者の同行を頼みたい」


ヒルダの言に、一瞬顔をしかめるがすぐに表情を戻して、わかりました。と返してくる。

やけに素直なギルドマスターの態度を不思議に思うが、用は済んだのでこれ以上長居をしないことにした。


「感謝する。では明日の朝、村の南門前に集合で頼む」


それだけ言うと、軽く一礼だけして部屋から出て行った。

これは騎士の振る舞いだからやったものの、ギルドマスターへの感情を考えると絶対にしたくない行動だった。ヒルダのギルドマスターへの感情はそこまで悪くなっていた。


ヒルダが部屋を出て少し経つと、ギルドマスターはチッと舌打ちをする。

どうやらよく思ってないのはお互いのようだ。


翌日、村の門には騎士達と冒険者が集合していた。

時間になり門前にヒルダがやってくると騎士達はヒルダの前に並ぶ。

冒険者もつられて騎士達の後ろに並んだ。


「全員集まっているな。すでに伝わっているように、

 今日はダンジョンの再調査を行う。

 前回すでに攻略済であるから、そこまで危険は

 ないと思うが油断はならない。

 くれぐれも慎重に行動してほしい」


ヒルダがそう言うと騎士達は黙って頷く。

それを見て今回も士気をあげるための檄を飛ばす。


「我は聖騎士。王国の守護者なり!我に続け!」


抜剣し、頭上に剣を掲げると騎士達もそれに続いて抜剣し、掲げて雄たけびをあげる。前回うまくやれていなかった冒険者たちも、今回は2回目であるからか、呼応して雄たけびを上げていた。


「出発!」


ヒルダの指示で全員が移動を開始した。


それほど時間もかからず、ダンジョン前にたどり着く。

すでに騎士、冒険者共に警戒モードに入っているようで今回は声をかける必要もなかったため、小さく行くぞ。とだけ伝えてダンジョンに入る。

まずはヒルダの部隊だ。

入口から入って行くと徐々に暗くなっていき、ヒルダ以外の騎士たちがライトを唱え始めた。

ライトによって照らされた通路は、十分なほどよく見える。

1-Aに入ると、ライトを部屋全体に向けて放つ。モンスターの姿が見えないため、同行の冒険者に罠の調査を指示した。

追って騎士の分隊も1-Aに入ってくる。

前回も調べているため罠の調査はすぐ終わり、やはりウッドアローの罠が2つあるだけとヒルダに報告された。場所もマーキングされているため、間違って罠にかかるようなこともない。


それが確認できると、すぐさま次の1-Bに向かって移動を開始する。

ヒルダを先頭に通路を通り1-Bに入ると、そこには前回とは異なりコボルトの小隊がいた。


(それ見たことか!)


ヒルダは心の中で叫ぶ。

通常のダンジョンでは、リポップ前後でモンスターが変わることなどありえない。

今回リポップしたモンスターはゴブリン族でなくてはおかしいはずなのである。このダンジョンには何かがあることが確定した瞬間だった。


同行の冒険者が、見える範囲の罠の場所をヒルダに伝えると、号令をかける。


「コボルトを引き付けるぞ!」


そう言って自身が真っ先にコボルトに向かおうとすると、矢が2本射かけられてきた。駆けようとした足を止めて、1本を剣で、もう1本を鎧で弾く。

先頭を走っていたヒルダが止まってしまったため、代わりに副隊長格の騎士が先頭になってコボルトに向かっていく。続いて他の騎士たちがコボルトに向かう。


コボルト達は決して強いわけではないが、ゴブリンとは違い少しは知能が高いようで、出会い頭の剣の一撃でやられるようなことはなかった。

騎士達は細かく剣を振るい傷をつけていく。

ヒルダが戦列に加わるとコボルト達の戦列は一気に崩れだした。ヒルダが奥で弓を構えているコボルトアーチャーに向かって駆けると、コボルトアーチャーはヒルダに反応し矢を射かけてくる。今度は体捌きでかわし、まだ次の矢をつがえていないアーチャーに対し袈裟斬りをする。アーチャーは避けきれず、袈裟斬りを受けるとそのまま血を流しながら地面に倒れ込んだ。

その頃には他の騎士たちもコボルトを倒し終えていて、残るアーチャー1匹も副隊長格の騎士に倒されることとなった。

所詮合計6匹の小隊であり、同数の騎士たちに敵うはずもない。


無事にコボルトの小隊を倒し終えたヒルダと騎士達は、このダンジョンの異質さに黙り込んでいた。

しかし、調査は実行しなければならない。

ヒルダは、騎士達に警戒を1段階あげろと伝え、1-Bの罠の調査を冒険者に告げるのだった。


今度こそ、今度こそ、もうすぐ1章が終わります。

とは言っても後2~3話はかかる予定です。


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