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1章 42話 影魔法

今朝は1話更新できませんでしたorz

よって、今回更新しまた明日の朝更新と短い期間に2回更新します。



魔法が使えると言われたり、才能がないと言われたりで一気に疲れが露出し、地面に尻をついて座り込んだ。

手をつきのけ反って凹んでいた俺にシスが話しかけてくる。


「……サトル様、右手が地面に沈んでいませんか?」


シスの目が俺の右手に向けている。俺も自身の右手に目を向けると、ライトの明かりで発生した影に右手が埋もれるように手首まで入り込んでいた。

焦って右腕を引き上げると、特に抵抗もなくサッと引き上げることができた。

意味がわからず、頭の中を?マークでいっぱいにしていると、


「もしかしたら、これはサトル様の固有魔法ではないのでしょうか」


「この影の中に手を入れるのが魔法?」


シスはこの現象を固有の魔法と言うが、影に手を入れられることに何の意味があると言うのだろうか。


「サトル様、もう一度右手を影の中に入れて頂いていいですか?」


「ああ、構わないけど……」


シスに言われるまま、自身の影に再度右手をいれる。

抜くときと同様、入れる時も何の抵抗もなく入った。


「失礼します」


シスは俺の右手が沈んでる影に乗った。危ない……!と思ったが、何も起こらない。その行動を見て理解した。シスは実験をしたのだ。俺以外の誰かの体を影に沈めることができるかどうかの実験だ。

これにより他人の体を影に沈める魔法ではないことがわかった。

では、次にやることは自身の他の体の部位を沈めることができるかだ。

立ち上がり、ライトに背を向けて影に右足を踏み込んだが、地面の感触があるだけで沈む気配はない。つまり自身の体を静める魔法でもない。最後にやることは1つ。アイテムを沈めることができるかどうかだ。

シスにポーションをくれと言うと、どこからか取り出した下級ポーションを渡してくれた。それを受け取り、手に持ったまま影の上に置こうとするとポーションは影の上には乗らずそのまま沈んだ。

影の中で手を広げてポーションを手放すと、ポーションを持っていない感覚を感じた。そのまま影から手を引き抜くと手は開かれた状態で引き上げられ、ポーションはなくなっていた。


これで魔法の効果はほぼ確定した。

この魔法はアイテムを影の中に入れる魔法だ。細かい効果は、更に実験をしてみないとわからないが概ね確定である。


「これは……とても便利な魔法ですね。

 このような魔法はこの世界には今の所存在していません」


普段無表情なシスが驚きの顔をする。

この魔法はそれほどこの世界において珍しい魔法なのだ。


「……しかし、使い道ないよね」


「……そうですね」


この世界で唯一の魔法だったが、ダンジョンマスターである俺にとっては無意味であった。

その後改めて通常の元素魔法を練習してみたが、やはり元素魔法は使えそうもないことがわかったので、今日の魔法の訓練はこれでおしまいになった。

今後この系列の魔法を追加で覚えるかもしれないも考慮し、この魔法の系統を影魔法とした。そして今回の魔法はシャドウボックスと名付けた。

シャドウボックスは、毎日宝箱から回収したポーションと銅貨を入れるくらいは役に立つ。世界で初のアイテムを保存する魔法は、現時点はただその程度の価値でしかなかった。


その日はもうすることがなく、ダンジョンマスターの部屋で影魔法の実験をすることにした。

実験を重ねた上で追加でわかったことは、一旦影の中に入れたアイテムは、影の中でどの位置に存在しているかわかると言うこと。複数入れたときは顕著である。

別途、影の中に入れたものは劣化するということもわかった。夕食時、シスに行儀が悪いと言われたが、温かいミルクのスープを入れてみて、他の料理を食べ終わった後にミルクスープを影の中から回収すると、スープはまだ温かみを残していたものの温度は下がっていた。

また、影の中に入れたものはサトルの移動による影響は受けないようで、歩く、跳ねる、走る、転げまわる等の行動をした後でもスープは一切こぼれることはなかった。


「本当に、本当に、素晴らしい魔法なんですけどね……」


実験すればするほど有用な魔法なだけに、シスがその存在を惜しみ、そして残念な子を見るような目で俺を見つめる。


「おい、その目をやめろっ」


固有魔法を得たと言うこと自体はとても嬉しいが、現時点で役に立たない魔法であることを好ましくなど思ってはいないのだ。

シスは普段通りの表情に戻るが、まだ納得を仕切れていない。

シスは自分の主人が更に素晴らしい存在になれることを喜びたかったのだ。


こうして生まれた魔法、シャドウボックスは今後銅貨を入れるかそれに近い程度のことにしか使われなかったが、ある時この魔法があるおかげでとても助かることに二人はまだ気づく由もなかった。


シャドウボックスの擬人化「残念な子じゃないやい!」


↑これが書きたかった

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