表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

お似合いの二人


僕の親友は女装男子だ。

わがままで、女王様気質も許されちゃうかわいい女装男子。


口答えは許さない、……僕以外は。

僕以外の喧嘩の仲介も許さない。



そんな彼? 彼女? の本質は……。



僕に依存し、家族と僕以外の人間には心の介入を許さない、人見知りで臆病者で、ネガティブでかわいいものが好きで尚且つ、女子力高め男子である。


「藍ちゃん可愛いんだからさ、自信を持って良いと思うよ? 行き過ぎてたら、僕が止めてるし、気にするほど女王様じゃなかったよ?

藍ちゃん? 藍ちゃんがどんなに女装すると性格変わろうと、僕は藍ちゃんのこと嫌いならないよ? だから、出ておいでよ、そうじゃないと僕困るよ。

藍ちゃんが体力くれないと乙女ゲーが進まないんだよね〜。藍ちゃんくらいしか進めても乙女ゲーしてくれないし、藍ちゃんは僕に対してはわがまま聞いてくれるでしょ? 僕は嫌いになったりしないよ?

……それとも、藍は俺だけじゃ物足りないって言うの? 俺以外にも好かれたいのかな、藍?」


こうして、毎日俺……じゃなかった、僕の部屋に来て、僕の布団に引き込もって反省会をしている訳です。

それを、こうして慰めてあげてるんだよね、毎日。ネガティブな藍ちゃんも僕は嫌いじゃないから。

僕さ、本当は一人称は俺なんだよね。

なのに、藍……じゃなかった、藍ちゃんがモテちゃうからダメって言うんだ。平凡顔なのに、藍ちゃんはおかしなことを言う。

そんな藍ちゃんのわがままは可愛いから言うこと聞くけど。


藍ちゃんの前では素でいるのは良いんだけど、ボロが出そうだから、こうしていつもこの口調で統一してるんだ。たまにこうしてあまりにも手が余ると、素の喋りで話しかけると効果テキメンでね、布団から飛び出すように出てくるんだ。


可愛いよね、小動物みたいで。


「……心くんだけいればそれでいい。心くん以外は僕の世界に入らないでほしい。心くんだけ側にいてくれれば、それだけで僕は生きていける」


……こんな依存、させちゃいけないのはわかってる。でも、そうさせたのは僕のせい。

僕、長野心太郎ながのしんたろうがしてしまったことのせいで、藍ちゃんは僕に依存するようになってしまった。

……まるで薬物のような依存を、抱かせてしまったのだ。


僕は本来なら、二学年上の学年にいるはずだった。僕は、階段から落ちそうになった藍ちゃんの身代わりに転落し、二年間昏睡状態に陥った。

二年間の年月の勉強を巻き返すことは出来た。家庭環境も悪くないし、塾にも行ける金銭的な余裕もうちの家庭にはあったから。

それでも、僕は二学年下の学年から受けることを選んだ。側にいなければ、今度こそ藍ちゃんの心が壊れてしまうと思ったから。


共依存は危険だ。どちらか片方が崩れて仕舞えば、総崩れになってしまうことを知っている。

だけど、それでも良いから、僕は藍ちゃんの側にいると決めたんだ。


「藍ちゃん、もうあんな風にならないように気をつけるから、そんなに苦しまないで」


藍ちゃんの性格がネガティブになってしまったのも、僕のことがキッカケで。

喜んではいけないのに、藍ちゃんにとって、僕はそこまで影響力のある人間だと思うと嬉しく思う自分がいる。

そんな僕は、……俺はずるいやつだ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ