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強引な手段と妥当な結果(2)

 ――二時間後。

「もう一本だ!」

「まだ体力が残っておるのか……えぇい、これで25本目でござるぞ摂政殿!?」

「うるへー! 俺は摂政だぞ、俺こそが姫にふさわしいのだ!貧乏侍どもは下がれ下がれ!」

 鳴り物入り(自演)で登場した前時代の『魔王』こと名伏朧庵なふしろうあんは――。

「ちぇすとぉぉー!」

「ぐわぁぁ! 痛い痛い! ま、参ったぁ!」

 最弱であった。それも、あらゆる意味で。

「やー、一時はどうなることかと思ったけど」

 ついに屋敷の周りで売り出され始めた祝儀の団子をみながら、小さな勇者はヤラセに近い試合を眺めている。「どうにかなっちゃったねぇ……。アイツ間抜けすぎ!」

威勢いせいばかりよくて、けていることといったら金遣かねづかいと嗜虐性しぎゃくせいもうけのにおいに敏感なことくらい……。正直どっちらけよ、まったく」

こちらはタイヤキを八つ当たり気味にむしゃむしゃとやっているロデル=カッツェである。

 相手を侮って『魔王の力』を封じた魔導具マジックアイテムを持ってこなかったばかりか、あまりに憤慨ふんがいしすぎてその存在を忘れ去るていたらく。『元魔王のヘタレ』と呼ばれても仕方ない。

 ロデルの愛するスゴロクと違い、戦役時には随分残酷なことをしでかしたようで、そのことが更に評価を下げているようだ。

「正直まる焼きにしても飽き足らないんだけど……想定の斜め下すぎて……はぁ」

「うんざりじゃ。わらわはあのような者に振り回されておったのか」

 ぶつぶつ文句を言いつつ、ナルタキが姿を見せた。

「あ、ナルタキ様! お衣装はどうなされました?」

「ヤツの部屋に返してきたわい。ダイス社の諸氏もとばっちりじゃったなぁ――こんなことなら、わらわが片付けられたかもしれんのに」

「わからないよ、ナルタキさま。そもそもダイス社が来なかったら、簡単には済んでいなかったかもだ。あなたが気を落とされることじゃない……と僕は思います」

「うむ、シオン殿が正しい。これは自責してどうこうなる問題にあらずじゃな」

 鳴滝姫は薄く優しげな笑みを浮かべると、『摂政に聞こえるように』声を張り上げた。「惣次郎お兄様、頑張ってぇぇーッ!」

 次の瞬間、『魔王』の本分ほんぶんを忘れ去った無様ぶざまなでぶが、二十六回目の対戦で見事に失神させられた。

2015年 12月25日 11時02分 公開

2016年 05月05日 10時35分 誤字修正

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