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試験決着

 ビョウウッ!

 すさまじい音がして、魔力の矢が放たれた。素早く後退して直撃をけるが、「くそーっ!」すさまじい破壊力のあおりを食って壁際まで吹き飛ばされる。

 痛みを無視して一瞬で体勢を整え、瞬間移動でもって切り込んで来る決定的な剣撃けんげき紙一重かみひとえで避け切り、「ぅうおおおぉぉ!」全体重を載せた一撃を放った!

「――そこまでっ!」

 魔王がそれを音高く弾き返したところで、丸っこくも美しい声が割って入った。「ロデル。見てい

「見ていたのかではございませんっ!」

 珍しく肩を怒らせて歩いてくるので、少年が気圧けおされて耳打ちしてきた。「スゴロクさん、ヤバくね?」

「かなりヤバい」冷静になって周囲を見渡せば、きらびやかであった城の大広間が惨憺さんたんたる破壊の現場へと変わり果てている。

「スゴロクさまっ! 少しは限度というものをお考えくださいませ!」

 掴みかからんばかりの剣幕けんまくである。くるくると愛らしい目が、今は釣り上がっていた。

「……すまなかったのである。この通り」

「俺も調子に乗りすぎました。反省します」

 二人してしおれた観葉植物のような姿勢で謝罪する。

「まぁ……スゴロクさまが後片付けくだされば、わたくしは文句ありませんけど」

 ただ、と笑う。ニヤニヤの視線を辿たどれば、長いローブに身を包んだ人物が転移を終えるところであった。

「ロデルならば許しましょうが、フフフ。城内でこうも暴れられるのでは……わたくしどもと致しましては少々承服いたしかねますなぁ」

「ゲ! ローレンスのオッサン!」

「何度も言うだろうジェシー君」

魔王軍の魔導師ウィザード部隊を率いる古き龍人が肩をすくめる、ジェシーと同じ年頃の、少年の姿がお気に入りらしい。

おれは一族の中では若輩じゃくはいだ」故にオッサンではないと言いたいのだろうが――客観的に見るとどうしても説得力に欠ける。

「まあよい。さて、スゴロク殿」

 ニコニコニヤニヤ、弱点でも見つけたかのように笑みの止まらぬ二人は、魔王と少年にとってそれぞれ頭の上がらない相手だ。「何をたくらんでおる」

「おお怖い。いや、何……。我等は人間界の美味を所望しょもうしたきまでにてあらば。なあ、ロデル」

「はい、ローレンス師。美味しい物さえあれば一笑いっしょうに付しますとも!」

 それが楽しみなだけだろお前等と苦笑して、魔王は個人用の異空間を探った。

2015年 09月05日 09時06分 公開

2015年 09月09日 09時32分 誤字修正

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