プロローグ
久しぶりの投稿です 期待しないでください
昔の人は考えた。
物質を分割していき、これ以上分けられない最小なもの。
それはアトム(原子)だと。
そしてこの世界のあらゆるもの全てアトムがくっついたり離れたりしてできていると。
動物植物、山も海も、陽の光と風も。目に見える感じるもの全て。
我々も例外なく心の中もアトムの支配下にあると。
全てがアトムからできているのならアトムの世界は平等であり同等。
つまり人類の知恵などアトムの世界で無力だと。
いずれはアトムの粒に還り再び組み合わされるの繰り返し。
またアトムの世界は死後の世界と交わっていても不思議っではない。
だから東洋では輪廻、西洋ではメシアとされ、魂は永遠だと。
現代になるとアトムをさらに分けたクアンタム(量子)、光だけはフォトン(光子)とされた。
より複雑で未知な世界がこの宇宙となる。
人類は太陽系を周ること数万回、ようやく神の領域まで近づいたと考えた。
西暦202X年、過去100年で急速に科学が発達し、それにともなって生活は格段に便利になった。
しかし有史以来、生物として発達するどころか同じ過ちを繰り返し衰退に向かっていた。
文明と反比例するかのように地球の環境は悪化した。
少なくない生物の種は絶滅し、社会も子孫を残しにくくなり、いわゆる勝ち組とされる人々だけが富を享受している。
いずれは彼らの中でも格差が生まれ、淘汰されるのは明らかなデスゲーム状態。
封建社会は消え、民主主義が生まれ社会主義が台頭して、資本主義が席巻した。
しかし結果的にどれも人類を平等に幸福にできなかった。
負け組を自覚している皆が自分以外のやる気のある奴が何とかしてくれるだろう。
面倒ごとをわざわざ他人のためにする余裕など無い。
目の前のこと、明日のこと、今月の支払いに悩み、好きな推しのために時間を割く。
災害が起きるたび、どこかの国で戦争が始まるたび、知らない誰かが不幸になっても自分の身近でないことに安堵する。
無関心が平和だと思い込む。
物価が急上昇、ガソリンが上がり、宅配の送料が上がって初めて危機感を持つ。
それでもどうにかなるだろうと。
今年になり事態は大きく動き出した。
昨年から大国は政府機能が暴走し戦争を始めていたが、中東での戦争が北部の国々巻き込み大戦状態になり、中央アジアでは反共産の宗教テロが拡大。
エネルギー供給が滞り、経済の仕組みが追い付かず、富める者でも窮するようになった。
世界規模のハイパーインフレ、先進国がどうにかできる問題ではなくなった。
そんなある日、世界同時に「あれ」は起きた。
一瞬のことだった。昼夜にかかわらず空がゆがんだと。
屋外にいた人類の全てが感じた。
太陽の光が瞬いたとも、七色になったとも。夜なのに明るくなったとも。
そして何か違和感を感じた。
いつものように電気は点き、テレビやネットもつながっている。しかし困惑した情報だけが洪水のように流れてくる。
太陽は地平線を這うように動き、夜空は大小の月が並んで浮かび、星空はむしろ明るくなっている。
数日後には海水面が上昇し平地は海になった。
磁極が傾き極地の氷が溶けたようだと。
太陽が横移動しているように見えていたのは温暖地域の文明国が極地になったからだと。
そして各国全ての人工衛星が行方不明で、宇宙からは確認できていない。
地磁気が徐々に変化するのは科学で証明されているから、急激であっても無理やり納得できる。
では2つの月はどう説明するのか。
各国の学者たちの中には地球の引力の変化の作用で磁極が変わり、月の裏に隠れていた小さい月が現れたのだと。
信じがたい説だが、では星空が明るい理由は?。
大気が澄んできれいになったからだという。
では何故に?
ある学者は唱える。
「宇宙は同時に無限数あり、誕生と消滅を繰り返いている。
この地球の銀河系がある宇宙もその一つに過ぎず、しかも無数の宇宙と干渉している可能性も否定できない。」
宇宙の理を司る神がいるのならば、現代の地球をリセットするがごとくに異なる宇宙へ。
しかも太陽系に似た座標に置き換えたのであれば。
有史以前の地球はその都度同じようなことが起きていたのではないか。
知恵と文明がある種ほど短期間でいなくなり、化石のようなものは残らず消えた。
現代の人類を考えれば容易に想像できる。
文明をもつ種が暴走し手遅れになる前に。
日本の現状はこうだ。
北極にあたる地域はアメリカのフロリダ周辺。南極はエベレストの辺りになっている。
そうなると日本列島は赤道付近となる。
世界中あらゆるところで気候が変わり、農産物をはじめとする各産業は大打撃。
海流と偏西風が変化し、物流網は従来のようにいかない。
日本のように食料とエネルギー自給率が極端に低いので、数日で江戸時代になってしまった。
発電所のほとんどは臨海地区にあるので数日で水没。原子力発電は放射能漏れを起こし海に流れ汚染されたが、すでに山間部に避難していたので被害はなかった。
海上風力発電はメンテナンスができなくなり、少量の電力では従来の生活を支えるほどではなかった。
自給自足な手探り状態。個人それぞれがサバイバル生存するしかない。
気候が変化しているので畑の作物は育たない。
漁に出ようにも燃料が無いので手漕ぎのボートのみ。
家畜は飼料がないので放逐状態で野生化している。
列島全国は早朝から気温が上昇。
平地が無くなったことで人々は山間部に集中しているが、植生が異なるので数年のうちに森林は無くなると予測されている。
世界の情報は電気が賄える一部の地域にしか得られていない。
政府は当初こそ動いていたが、エネルギー不足で機能不全。
経済が崩壊しあらゆる産業が消え、一人一人が今日の食料を確保するようになった。
当然治安維持など期待できず、各地で自然発生的に自衛集落が生まれている。




