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エーテルリウムの黄昏  作者: お茶どうぞ
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10、高すぎるツーステップ


朝日が昇る頃、二人は目を覚した。

エルドリンは物理無効化の結界を張り、明け方に少し仮眠したため、すでに朝食の準備に取りかかっていた。

今日の献立は、豚肉の生姜焼き、ライ麦パン、野菜スープ。朝から肉多めだ。

騎士団では、朝の行軍に備えてしっかり栄養を摂るのが常である。

「腹が減っては戦ができぬ」というやつだ。


顔を洗ったガルムとソレンディルが食卓に着く。


「朝からスタミナつきそうだね。」

「今日も移動と鍛錬、いわば行軍みたいなものですから。スタミナつけないといけません。」

「良い食生活だね。この国は豊かなんだね。」


和やかな雰囲気で楽しい朝食を済ませると、テントを解体して収納。

二日目の移動を開始した。


歩きながらエルドリンが訊ねる。

「眠れましたか?」

「十分に。薬草が効いたのか、すごく快適に眠れたね。」

「そうだな。街の宿屋より良く眠れた。」

「良かったです。

 今日からお二人に夜、『鍛錬目録』を読んでもらいます。」

「目的は何だ?」

「今は廃れてしまった、エーテルリウムの剣術や剣技を理解して欲しいのです。

 魔法の考え方なんて、今とは異なる解釈をまとめました。

 読めば鍛錬の方向性と意味が理解できると思います。

 座学が理想ですが、時間はありません。

 寝物語として読んでください」


「それは面白そうだね。」

「ガルムと戦った時に、私がエーテルリウムの剣術を使ったと分かるでしょう。

 この先の参考になればと思っています。」


「それなら読むべきだね。」

「了解した。」


三人は太陽が頭上に来るまで移動し、昨日と同じ鍛錬を開始した。


ソレンディルは杖の補助があれば、無詠唱をミスなく発動できるようになった。

補助なしでも得意な魔法を無詠唱で、発動できるようになった。


「無詠唱の鍛錬、二日目なのにかなり進みましたね。」

「そうだね、、杖の使い方に慣れて来たんだと思う。

 それに『無詠唱が可能』だと、実感したのが大きいからじゃないかな。

 エルドリンのおかけだね。」


「では次の段階へ進みましょう。次は魔法の効率化です。」

「魔法の効率化?」

「『ローラン・アイアンクラウン』は四重詠唱クワドラと呼ばれていました。」

「普通に詠唱してたら、絶対に無理だね。」

「彼は複数の術を同時に発現させて、起動をコントロールしていたのです。

 つまり無詠唱で氷の槍、炎の玉、雷撃を同時に発現させてる事が出来ると言うのです。」

「おそろしい発想だね。」

「魔法を生んだ種族だから可能だと考えたのでしょう。

 固定概念に囚われず試すのは、開発者の性でしょう。」

「それで、私は何を始めるの?」

「ソレンディルは前向きで良いですね。

 アイススピアーやファイヤーボールを的に放つ際、スピードや命中率についてどう考えますか?」

「スピードは異訓練により上げられると思っているね。命中率も練習で狙った位置に飛ばせると考えている。」

「動いている敵にかわされる確率は高くなりますよね。」

「それには数を増やすか、連続で放つかで対応してるね。」

「それだと無駄打ちが増えますよね。長時間の戦闘になる場合、集中力が切れないようにしないといけません。

 無駄打ちを減らせれば、長く戦えます。精神力をもたせる事ができます。」

「それに対応するにはどうすべきだと思う?」

「ローランは術の発現位置を敵の周りや、動きを想定した場所に"置くべき"と考えていました。

 魔法の軌道を見せると避けやすく、自分の位置を教えてしまうからです。

 術を敵の近く、または誘導した位置に発現させれば、速度を上げなくても確実に攻撃できます。」

「そんなこと!可能なの!?」

「的に対してコントロールできる貴方なら可能です。

 発動も自分で制御できる。

 無詠唱で連続発現も可能になります」

「確かに……そんな事、考えたことなかったよ。」

エルドリンの話は、百年以上生きてきたソレンディルにさえ発想出来ないアイディアだった。


「エルドリンは試したの?」

「結果が聞きたいですか。」

「もちろん。」

「あの岩を見て下さい。」

二人の位置からおよそ100メートル近く離れた場所に、およそ2メートルの大きさの岩があった。

エルドリンはそれを指し示した。岩の周りに氷の槍、炎の玉がいくつも浮かび上がる。

「爆ぜろ!」

エルドリンの言葉に合わせて、それらは岩に目掛けてぶつかって岩は破裂した。

眼の前で起きた出来事にソレンディルは唖然とした。


「出来るんだ。」

「四種類の属性を操れば、ソレンディルが現代の四重詠唱クワドラと呼ばれるでしょう。」

「凄いね。やってみるよ。」

ソレンディルの深緑の瞳が光り、興奮している。


「気負わなくて大丈夫。すでに生活魔法で無意識にやってますよ。」

「え、何のこと?」

「水を生成する時、量や速度、出す位置を調整できますよね。

 それも術の制御と同じ原理です。」

「なるほど……エルドリンと話していると常識が覆されるね。」

「では的を作って、術の発現位置を制御する練習を始めましょう。」

「了解。」


ソレンディルは高い目標に向かい、練習を開始した。


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