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幼馴染のせいで女嫌いになった俺が、大の男嫌いで有名なクラスの美少女となぜか仲良くなる話。  作者: 遥遥か


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9話 下

更新遅くなってしまいすいません。

 外に出ると、夏の日差しの鋭さがありありと感じられた。空ではカラスが騒がしく鳴いており、その様子が夕日によく似合っていた。


「カラス、うるさいなあ」


 美結が、苦い表情をこちらに向けた。


「嫌いなのか?」


「嫌い。だってあいつら、朝にかあかあってうるさいんだもん!私の睡眠を妨げるなんて…」


「確かにな。美結、先生に授業中注意されても絶対起きないもんな」


 そんな美結を起こせるカラスに、俺は尊敬の念を抱いていた。


「え、私注意されてたんですか!?」


 美結は焦ったように言った。まさかこいつ、自分の居眠りがバレてないとでも思っていたのか?


「てっきり、気づかれてないのかと」


「な、逆にすごいな」


「あんま褒めても何も出ませんよお?」


 皮肉のつもりだったが、どうやら美結には通じないらしい。美結の浮かべる屈託のない笑みを見て、俺まで思わず笑ってしまった。


 そして他愛のない会話をしていると、コンビニに着いていた。夕方のコンビニというのは、どこか俺を懐かしい気持ちにさせた。


「いらっしゃいませー」


 やる気のなさそうな店員の、機械的な声が聞こえた。コンビニ来たの、そこそこ久しぶりだな。美結は真っ先にアイスコーナーに向かっていた。


「もう何買うか決まってるのか?」


「ハーゲンダッツ!」


 美結はハーゲンダッツのクッキーアンドクリームを手に取り、俺に見せてきた。ウキウキした様子が、溢れ出ていた。その顔は、まるで宝物でも見つけたかのようだった。


「そういえば、食べたことないな」


 俺の発言に美結は、『こいつまじか』という表情と共に石像のように固まってしまった。


「それ、人生の8割損してるよ」


「え、そうなのか?」


「そうです。今日はもうハーゲンダッツを買わないなんて許しません」


 そこまで言うなら、食べてみるか。


「お姉ちゃんには何買おうかなあ」


「そういえば、二人暮らしなんだってな」


「そうそう。もはやお姉ちゃんが保護者だよ」


 きっと仲のいい姉妹なんだろうな。


「海晴くん、どうかしたの?」


「え?」


「なんか悲しそうな顔してたから」


「そう?なんでもないよ」


 顔に出てしまっていたか。ただ決して悲しかったわけではない。俺は、羨ましかったんだ。帰る場所に、安心できることが。

家に帰ってしばらくすれば、どうせいつものあれが始まる。そう思うと、帰るのが嫌になってくる。


「じゃあまた明日!」


「またな」


 会計を済まし、美結を家まで送って、俺は帰った。時刻は18時頃、父親が帰ってくるのは8時くらいか。それまでに食事なり風呂なりを済ませて、部屋に行かなきゃな。


 俺はそれらをすぐに終わらせ、布団に入った。イヤホンをつけて、布団を被った。


 ガシャん


 イヤホン越しにも関わらず、その音は頭の奥まで響いた。子供の頃からずっとだった。両親は仲が悪く、毎日のように喧嘩をしていた。俺も止めようと試みたことは何度かあったが、成功したことはなかった。気づけば全てを諦めていた。最悪な気分のまま眠りにつくことには、もう慣れていた。

 

 次の日の朝スマホを確認すると、一つの通知が来ていた。


 内容は、俺が所属する委員会の招集を忘れないようにといったものだ。そういえば、今日の放課後だったな。もうそんな季節になったのか。



読んでくださりありがとうございます。

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