第54話 ダイのアレ的な感じ
地面を転がり、キィンって音が耳に届いた。
慌てて起き上がり、巨石獣の腕を見たらライアスさんが剣を振り下ろした状態で固まっていた。あれ? 体に負担掛けちゃった?
「──すっ、スゲェェェェェェッ!!」
大丈夫? と近寄ろうとしたらライアスさんがまさかの絶叫。な、なんなのさ!?
「なんだこれ? 黒竜の首すらパンのように斬れそうな勢いだったぞ! 人生最高の一撃だった! 見てくれ!」
少年のように喜ぶライアスさんに苦笑し、巨石獣の腕を見た。
「なとも綺麗な斬れ口だ」
宇宙技術が魔法に敗北した瞬間だ。ヤベーな、ほんと。
「熱心で溶けたあともない。完全に技で斬った感じだ」
こうなることは予想していても実際に見ると呆れるばかりだよな。金属で金属を斬るとか漫画だよ。いや、魔力は纏っていたけどさ。
「魔剣を見せて」
「ああ」
魔剣を受け取り、刃をじっくりと見る。
こぼれたところはなし。槌で叩いても異音はなし。完成したときの状態のままだった。一回は問題なく耐えるってことだ。
「やはり魔力は一撃でなくなっちゃったか。少しは残ると思ったんだけどな~。ライアスさんの一撃に全部持って行かれたか……」
二割くらいは残ると思ったんだけどな~。やはり作り手と使い手とでは感じるものが違うってことか。まだまだ修行が足りんな。
「ありがとう。魔剣を鞘に戻して」
鞘は魔石の魔力を原動力としているので、剣先を鞘に差したら自動で展開してくれるのだ。
「ちゃんと戻ったね。歪みもないし、隙間もない。よっし!」
さすがボク。いいものを作ったぜ!
「黒竜の魔石は凄いね。あの一撃を可能にするくらい魔力を吸い取ったはずなのに、まだ触るのが怖いくらいの魔力を秘めているよ」
秘める魔力も凄いが、それを倒したライアーズ冒険隊もマジ凄いわ。バケモノばかりの世界だよ。
「これならしばらく使えそうだが、魔剣のほうがもたないか。鞘も普通の鉄だしね」
あんな技を何発も撃っていたら剣のほうが壊れるだろうよ。負荷は絶対に掛かっているんだからな。
「いい、ライアスさん。今のは連発しないこと。どうしてもなら二度。三度は責任持てないから。よく覚えておいて」
壊れてもいいってんなら五回までは行けると思う。だが、製作者としては二回がやっと。三回目は知らん、だ。
「わかった。心に止めておこう」
さっきの少年のようなはっちゃけ振りはなく、一流の冒険者な顔になっていた。
「まあ、こんなのと出会う確率のほうが低いんだけどね」
そんな不運なら長生き出来ないって。




