第22話 夢追人
錬金鋼術士。
それは魔力を使って金属を操る技だ。表向きは、ね。
ある意味、錬金鋼術はチートかもしれないが、術を発動させるためにはいろいろ工程や理解が必要になる。
何十回何百回何千回と金属を打ち、その性質や構造を理解する必要があり、思ったように打つには魔力が必要になるのだ。
金属も魔力で増やせるわけでもなく、減った金属は同じ金属を使わなければ修復することも出来ない。薄くなり穴が空いた鍋を修復するには鉄を溶かして繋ぐ必要があるのだ。
そのために収納の鞄が必要であり、商売道具の一つと言っていいだろう。
それをジージーに渡してもボクはシャレインが欲しかった。もしかしたら直せるかもしれないと思ったからだ。
技術が飛び抜けていて錬金鋼術が通じるかはわからない。ダメかもしれない。だが、それを覆せるくらいのロマンがあった。あれは一生を懸けても追い求めるに充分なものだ。
前世の記憶があろうと、いや、あるからこそSFを追いたいのだ。ボクは夢追人なんでね。
「レイ。これもお願いね」
次々と穴の空いた鍋やら切れ味が落ちた包丁とか持ち込まれる。
穴の空いた鍋は簡単だ。鉄の粒を溶かしてトンテンカンテ。五分も掛からないでハイ終了。包丁は鉄を足して叩いてかり研ぐので三十分くらいは掛かってしまう。
これも経験値と熟練度アップに繋がる。ちなみにステータスオープンは出来ません。レベルもありません。いや、どこかにあったりするかもだけど、ボクが知る限り聞いたことがないです。
「……魔法って凄いのね……」
「ボクからしたらジージーの使っているものも魔法みたいだよ」
高度に発展した科学は魔法と変わらない。まだ前世の記憶があるから科学と魔法の区別が付いている。そうでなければ魔法だと思うでしょうよ。
「レイ。お昼にしようか」
村長の奥さんが呼びに来た。
「はぁ~い。もう腹ペコで魔力が出なかったところですよ」
魔力は体内で生まれる。消えたら食事で補うしかないのだ。ボクは人より魔力が多いので食事も人より多く食べてしまうのだ。魔力チートで生まれたかったよ。
それは村長の奥さんもわかっているからたくさん料理を作ってくれていた。
「たーんと食べて午後も頼むよ」
「任せてください! こんな美味しい料理が食べられるならドンドン打ちますよ!」
美味しいものが食べれるなら百人力。すべてのものを打ってやるぜ!
「……その細い体のどこに消えているのやら……」
「魔力変換がいいからね。食べたらすぐ魔力になっているのさ」
か、どうかはわかりません。でも、魔力変換に優れているのは昔からだ。
お腹いっぱいになったらちょっとお昼寝。これがまた魔力変換を促進してくれるのよ。ぐぅ~。スヤスヤ~。




