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第一章:軍神の娘、やらかす(建安5年・春/5歳)
転生してから五年。
曹冲として生きることにもすっかり慣れた俺は、気づけば宮廷で“神童扱い”されるようになっていた。
まあ、中身が現代知識持ちの二十九歳なのだから、多少ずるいのは認める。
そんなある日――
ガッシャアアアアアン!!!
宮廷の展示室から、この世の終わりみたいな爆音が響いた。
(嫌な予感しかしないんだが!?)
慌てて部屋に飛び込むと、そこには粉々に砕け散った
ペルシャ産・超高級の翡翠の巨大香炉
そして――ホウキを握ったまま固まっている幼い少女の姿。
関銀屏。
軍神・関羽の娘である。
(よりによって父上(曹操)の一番のお気に入りを……!
しかも関羽の娘が壊すって、これ明日にも戦争じゃん!?)
銀屏は青ざめ、今にも泣き出しそうだった。
その顔を見た瞬間、俺は悟った。
――この子、絶対に守らなきゃ。
「銀屏ちゃん、心配しないで。僕が守るから、僕を信じて!」
銀屏は涙を拭い、小さな俺をじっと見つめた。
「……うん! 信じる! ありがとう、私のダーリン!」
(……ダーリン!?
いや待て、今の流れでそうなる!?)
俺の脳内に警報が鳴り響いた。
――この日を境に、俺の人生は“軍神の娘”にロックオンされることになる。
まだこの時の俺は知らなかった。
この子の愛が、後々“物理的に”重くなることを……。




