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僕ら古代遺跡探検隊  作者: タカリンク
第1章 4匹の妖精編
9/9

第7話 逃走

今回も少し展開が早いと思います

「な、なんなんだよ!?あの蜘蛛は!」

「私にも分かりませんわ。ただ……」

「ただ?」

「背中についているダイス……おそらく、あのダイスが原因ですわね」

「ダイス?」


蜘蛛の背中をよく見ると、確かに小さい銀色の八面ダイスが乗っていた。

強力な接着剤でも使ったのか、蜘蛛が動いても全く落ちる気配がない。

それに、そのダイスから何か黒いモヤみたいなのが見える。


あれは、心?

俺にもついに心が見えるようになったのか?

確信は持てなかったが、なんとなくそんな気がした。


「あのダイスには、復讐の心しかありません。一体、私たちと何か関係があるのでしょうか?まさか………ううん、あれは金色だから……」


ユリアが何か一人で呟いているが、今は蜘蛛から逃げることに集中しよう。

靴は、俺たちがさっき通った歯車があるところへと差し掛かった。

占めた!歯車を掴めばフェンスが閉まって通れないようにできる。

そうすれば、あの蜘蛛ともおさらばだ!


「左側に少し寄ってくれ!歯車を外す」


靴は、俺の言葉に反論することなく左側に寄った。



そして……タイミングを見極め、すかさず手を出し掴む!


「痛っ!?」



歯車を掴むことはできなかった。

けど、外すことはできた。

後ろの方で歯車の音が止まり、フェンスは一気に蜘蛛の前で閉まった。


しかし、蜘蛛はひるむことなく、フェンスをその巨体で突き破った。

さらに、全然痛みを感じていないのか、追いかけるスピードは落ちるどころか速くなっていた。

フェンスはかなり頑丈に作られているはずなのに……

だけど、もう一つ手はある!


「ユリア!大量の水が出てくるフェンスのレバーを引いてくれ!蜘蛛を流せるかもしれない!」

「分かりました!」


さすがのあの大きい蜘蛛でも水の流れには逆らえないだろう。

ユリアがレバーを引き、フェンスが開いた。

それと同時に、大量の水が蜘蛛に襲いかかった。



……流されたのか分からないが蜘蛛の姿は見当たらなかった。

とうとう、追いかけるのを諦めたか?

だが、違った。

天井に光る赤い目。

蜘蛛は、流されたわけではなかった。

壁を登り、天井に貼りついたまま何事もなかったかのように追いかけてきた。


どうすればいい!?

蜘蛛は、俺たちの行動を理解しているようだ。

もう何をしても無駄だ。ひたすら逃げるしかない!


「ねえ、私たちが入った井戸から脱出できるんじゃない?」

「それが、できればよかったけどな」


井戸の道は落盤によって塞がれていた。

井戸からの脱出はできなくなったが、きっとどこかに脱出できる道はあるはずだ。

だが、このまま蜘蛛に追いかけられてばかりでは脱出ルートを探す余裕がない。

靴はレバーで開いたフェンスのところへ向きを変えた。

蜘蛛も当たり前のようにフェンスを壊し、追いかける。

この蜘蛛をどうにかできれば……


……待てよ?

そもそも、蜘蛛って目が悪いはずだよな?

なんで、俺たちの居場所が分かられるんだ?

蜘蛛は目の代わりに糸を頼りにしている。

その糸の揺れを敏感に感じて、どこに獲物がいるかを正確に割り出す。

糸なんてないのに、どうやって?

いや、もしかしたらもうあるのかもしれない。

周りを糸がないかじっと探してみる。


よく見ると、空中に水滴がついているように見えた。

前、後ろ、左右のいたるところにあった。

そうか、やっぱり糸はあったんだ!

水滴の数だけ糸があると考えてもおかしくない。

だから、俺たちが逃げても蜘蛛は正確に追いかけることができるのか!

だったら、話は簡単だ。動かなければいいんだ。


前方に左右の分かれ道がある。

靴はとっさに左の道へと進んだ。

そして、また左右の分かれ道が出てきた!

俺は小声で靴に言った。


「右に行ったら、その後止まってくれ」


靴は、右の道を通った後に、動きを止めた。

バレてる可能性もあるが、これしか蜘蛛を回避する方法がない。

頼む、来ないでくれ!

みんな音を出さず、声も出さず、ただ静かにしていた。

蜘蛛の足音がわずかに聞こえる。

俺たちは足音が聞こえなくなるまで黙ったままでいた。


「…………」


足音は聞こえなくなった。

蜘蛛がいなくなった安心感から、思わず深呼吸してしまった。


「どうする?出口を探すにしても迂闊(うかつ)に動けないぞ」

「私に考えがありましてよ」

「ほんと!?」

「ええ。あの蜘蛛の背中についているダイスを取ればいいのですわ。そのためには………」




本当に大丈夫なのだろうか。

作戦はこうだ。

ユリアとティーナで、あの蜘蛛の囮になる。

左右に分かれてる道へ誘い込み、ユリアとティーナは左に行く。

蜘蛛が左の道へ行ったら、俺たちは右の道の出口の近くで待つ。

蜘蛛が左の道を通り過ぎたら、すかさずこの『大翼の靴』で一気に後ろへと近づく。

そこで、あの銀色の八面ダイスを取るというわけだ。

この作戦がうまくいけばいいけど……


ユリアとティーナは蜘蛛に居場所を教えるために動き回る。

そして、蜘蛛の足音が徐々に近づいてきた。


「ユリア、行きますわよ!」

「はい!」


蜘蛛はユリアとティーナの居場所を突き止め、二人を追いかける。

ユリアとティーナは、作戦通りに分かれ道で左の道へと入る。

蜘蛛も、二人を追いかけて左の道へと入る。

チャンスは一瞬!

失敗は許されない!


ユリアとティーナが出てきた。

そして、蜘蛛も道から出てくる。

今だ!!

靴は蜘蛛の背中にあるダイスにめがけて、一直線に近づいた。

しかし、蜘蛛がこちらに気づいてしまい、振り返ろうとする!


しまった、間に合わない!

俺は、ダイスを取ろうと手を出すが、人差し指がかする程度で、振り向かれてしまった。

作戦失敗だ……

俺はやられると思い、目を瞑ってしまった。




「あれ、動かなくなったよ?」


巡の言葉で目を開ける。

確かに蜘蛛は襲ってこない。

石になったみたいに全然動かなくなってしまった。

そして、蜘蛛の色がだんだんと黒くなり、消滅してしまった。

ど、どうして?


「サグル、やりましたね!」

「いや、俺は取ってない。かすっただけで」

「でも、ダイス落ちてるよ?」


巡がダイスを拾ったが、先程の蜘蛛と同じように黒くなって消えてしまった。

かすっただけで、ダイスが落ちるのか?

疑問に思ったが、蜘蛛の魔の手から逃れられたのは事実。

これで、安全に出口を探せる……と、同時に悪寒がした。


前の方から大きな音が近づいてくる。

そして、止まることを知らないくらい水が、急速に向かってきた!


「うわああああ!!」

「きゃああああ!!羽が濡れて飛べない!」

「ま、まずい……!」


靴を掴む暇もなく、俺たちは全員流されている。

息が………できない。

このままどこかに流されてしまうのか……

俺の意識は遠のいてしまった。





「…る!探!しっかりしろ!」

「はっ!こ、ここは?」

「公園だよ。巡もお前もなんでびしょ濡れになって……って、く、靴が勝手に動いたー!!!」

「し、しかも妖精?も二人いるわよ!!」

「お、おい探に巡!これはどういうことだよ!」


健吾、龍矢、咲にバレてしまった。

あとでいろいろ問いただされるんだろうな……

だけど、今はゆっくり休みたい。


「明日話すから……とりあえず帰ろう」

「あ、ああ」


健吾はティーナ。龍矢は大翼の靴。咲は巡を抱えた。

そして、まだ起きてないユリアを俺は抱え、家へ帰った。














10万字超えたらこの作品にESN大賞のタグをつけたいと思います

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