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魔王になろう(本当の異世界を少女と歩むMMO-RPG)  作者: Tand0
Saga 4 砂丘トトリーの戦い
40/52

完全に一致

 高校のお昼休み。


 女どもが早速ジアちゃんに群がっているのを横目で見ながら俺と大崎は2人でひそひそ話しあっていた。


「(やっぱあれ、完全に一致じゃねーか)」

「(ほぅ。俺にも俺の知っている誰かに完全一致なんだが)」


 ふと2つ隣のジアちゃん席のほうに目をやるとジアと目が合う。

 軽く手を振ると手を振り替えしてきた。


「(あきらかに向こうはこっちを知っているようだぜ大崎)」

「(タッキー、これはどういうことだ? ここは落ち着いてあの金髪碧眼ロリ巨乳の少女について整理しよう)」

「(あぁ、ではまずは大崎から)」

「(ありゃ、『魔王になろう』のアジア鯖のゲームマスター・七日野亜細亜だな。昨日ゲーム画面内でそっくりな彼女を見たんだ。頭にGMって文字がぐるぐるまわっていたぜ。あぁ、実際彼女そのものがモデルになっているだけのキャラで中身は違うかもしれないが。ては、なんでキャラならともかくなぜ俺まで知っているんだ? 名前はもろばれかもしれんが。じゃ、タッキーどうぞ)」


「(あれは、ディストピア世界のうちの嫁で、ジア・スルターナだろう。この前空間転移のスキルでこっちの地球世界に来ていたから何らかの手段で――きっとGMとかかな? と交鈔してサプライズのために学生として俺の学校に潜入してきたに違いない)」


 ――などと供述したところ、大崎は俺の肩に手を置いた。


「(たっきー。おまえは中二すぎる……。俺でも引くわ)」


「(えー。冗談じゃないのにー。この前も――いやいや、あれ言っていいのか?)」


「(お? なんか知っているのか? 吐け。さぁ吐け)」


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 放課後、思ったとおり学校の女の子達に囲まれた私――七日野亜細亜は、可愛い、などきゃいきゃい言われながら、矢継ぎ早に行われる質問に対して淀みなく答えていく。

 ようこと一緒に頑張って作成したQA表はちゃんと機能していた。


「どこから来たの」「東欧のアスター侯国です」

「どうして日本に」「日本のお父様についてきて」

「なぜ七日野?」「お父様の姓です。ちなみに香辛料や車は売っていませんよ」

「どうしてこの学校に?」「校長とツテがあって。外国人枠ということで急遽きました。大学も外国人枠で情報系に行こうと思ってます」

「日本語ウマいですね」「えぇ、死んだ両親の変わりに引き取ってくれた義理のお父様に教えていただきました――。言葉が偏っているかもしれないけれど、そこは――」


 ポイントとしては家族系の話を振られたらちょっと涙ぐんだ表情を作って話を盛ることだ。それでいろいろ『察して』くれるので会話をうまく打ち切ることができる。


 そんな中、タッキーとふと目が合った。

 なんとなく手を振ると、タッキーは手を振り替えしてくれる。


「あれ? やっぱりタッキーと大崎君って知り合いなの?」


「えぇ。ネットゲームでこの前知り合いましたけど?」


「え、ネトゲ?」


「日本のテクノロジーって憧れるんですよー。だから私もちょっと会社創ってゲームで遊んでいるんですよー、あとゲイシャとかニンジャも好きです。クノイチさんっていつもあんな感じなのかしら?」


「すごーぃ」「さすが外国の人スケールがちがーぅ」「ここに何か間違えた外国人がいるー」「誰だよいたいけなジアちゃんにネタしこんでるの」


 それに返ってきた反応は概ね変な感じのものではあったが、それは仕方がない。だって適当なのだし。彼女たちと交流することがそもそも目的じゃない。


 私の目的はタッキーの動向を探ることなのだから。


 GMたる中二の美少女ちゃん――ようこの話によれば「タッキーと私?は今の世界ではうまくやっている」とのことだったが、あまり信じられない。いつも強引なタッキーのことだから、きっと私にいろいろな迷惑が掛かっているはず。それなら場合によっては――


「なるほどー。へー。ネットゲームの知り合いだと一緒にランジェリーショップに来ちゃうんだー」


 ピキ――

 私の表情が強張る。


 そこには背の高い一人の女生徒がいた。

 いや、学校の教室で生徒と先生以外いるわけないのだけれど。


「えーっと、どなた?」

「あれ? 別人? やっぱ雰囲気違うね――。私は浅井瑠奈。何かものすごくー似た娘がタッキーと一緒に連れ歩いているのを見たんだけどぉー」


「うわー」「なにやっぱり海外の娘は違うわー」「進んでいるー」「あのオタに彼女なの?」「タッキーすげー」


 周りの女の娘たちが囃し立てる。


「いやいや。私じゃないけど、興味あるわね。いつくらいの話なのでしょう?」


「先週の土曜日だったからしら? 覚えていないの?」


 ニタニタとした顔で聞いてくる浅井女史。


「あんにゃろー」


 私はタッキーを睨み付けたがタッキーはこっちを見ていない。

 私はタッキーと一体どこまで進んでいるんだろう?


「ねぇ、放課後、そのタッキーと話をしたいのだけれど、どこか落ち着ける場所とかって学校の近くにあります?」


「駅前なら喫茶店があるわよ。2人きりでじっくり話したいならカラオケとか――」


「カラオケは――良くないわね」


 私は立ち上がった。


「そんなのところにいったら、孕みそう――」


「ちょ、おま……」


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