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魔王になろう(本当の異世界を少女と歩むMMO-RPG)  作者: Tand0
Saga 4 砂丘トトリーの戦い
38/52

けもなー大崎

(な、なんなんだよこの始まり方はよ――)


 大崎は目を見開きながらMMO-RPG「魔王になろう」の画面を食い入るように見つめていた。


 キャラクター選択後、いきなり始まるイベントの数々。


 他のプレーヤー(魔王)が実況している動画とはまるで違う始まり方。

 ストーリーラインがまったく見えない。

 この世界がどういう世界かとかいったよくあるチュートリアル的な説明もまったくない。


GM4『こんにちは、(アジア鯖)の魔王。――って、その名前さすがに直球すぎなのでは?』


 ふと見るとメッセージウィンドウに文字が書かれている。

 通常の会話とは色の違う会話(wis)メッセージ。

 GM4というのはおそらくこの倒れた猫耳娘の前に立っている金髪ロリ巨乳の女性のことであろう。頭にでっかくGMの文字がぐるぐる回っていることから一目瞭然だ。


大崎だ『ほっとけ。ってGMさんこばわー』

GM4『2万課金ポイントもキャラ選択に課金全振りして猫耳娘とか所望するのですもの。私、思わずイベント起こしてしまったわ』

大崎だ『ほぅ』


 何か課金をしたことで嬉しいイベントがおきたようだ。

 しかしこのゲーム。この程度のお金で既に廃レベルなのだろうか。


GM4『ところで野生の猫耳娘がそこに倒れているけど、彼女をキャラクタとしてGETしてOK? Y/Nで答えましょうー。えーっと、ダイアログを出すコマンドは――っと』

大崎だ『そりゃ、ここでN選ぶ人はいないだろう。ぽちっとな』

GM4『ご契約ありがとうございます (^_^)。課金したお金はもう戻らないからね』

大崎だ『はいはい。この商業主義者め』

GM4『酷い。酷いよ大崎くん。ならサービスで1時間無敵にしてあげました』

大崎だ『おぉ』

GM4『今まで誰も気づかれていないだけで、契約時1時間無敵は実は誰にでも付いているってことは私と大崎くんだけの秘密だよッ』

大崎だ『をぃ。それのどこがサービスなんだよ』


「はっ。」


 などと喋っているような時間はなかったようだ。

 男が女――GM4に掴みかかろうとしている。

 まさに男が女の身体に触れる瞬間、女の姿は消える。


GM4『後は頑張ってよ。来週日曜、トイザーの街のキャラクター用冒険者ギルドで会おう。んじゃよろしく』

大崎だ『おぃまてや。チュートリアルとかねーのかよ。チュートリアルは!』



 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


「どこにいった。探せー」


 男が叫ぶ。

 だが、さきほどの女はどこにもいない。


「どこに行きやがった――。まったく脅かしやがって……」


 男は背筋になぜか汗が流れるのを感じながら、ドーラの元に迫る。

 だが、今のドーラはそれどこではなかった。


 自らの正面にナゾの魔法陣――四角いウィンドウ群――が並んでいるのだ。


『ほぅ……。しかし無敵っていったってこのステータスじゃぁなぁ……。速くクラス指定しないと……』


 その一つに浮かび上がる魔法文字(メッセージ)

 一体、何が起きているのか。


『よし、シーフだ。シーフ系にしよう。シーフなら隠密系スキルとかあるんじゃね?』


 次々に浮かぶメッセージに戸惑う。


「なにこれ……。なんなのよ……」


『げ。クラス取ってもスキルポイント1しかねぇーよ。これでどうやってスキル取得するんだよ。2ポイントたりねーよ、むりげーすぎる……』


「なんなのよ、これは一体。貴方はいったい……」


 ドーラがつぶやく。この魔方陣は何なのか。そしてこのメッセージの主は誰なのか。


『お、ドーラちゃん。こんばんわ。あー、だめだこりゃ。これは一旦死に戻るパターンかなー』


 ジアのつぶやきに反応するメッセージ。

 しかし、ドーラは疑問に思う。なぜ名前を知っているのだろうか。


「なんなのこれ? なにこの魔法陣?」


『ん? あー。ウィンドウのことを魔法陣って言っているのか。なるほどなるほど』


「なにごちゃごちゃ言っているんだよ。おぃ」


 男は再びドーラを掴み、無理やり立ち上がらせる。

 それだけでドーラのHPは減少した。


『うわ死ぬ。攻撃しろよ攻撃』


「そんなのできるわけ――」


「なんだ、誰かと話しているのか?」


『おぃGM、やっぱこれ、無理なんじゃね?』


 メッセージがGMなる存在を呼ぶ。しかしGMからの返事はない。

 その代わり画面上に新たな魔法陣が開く。


≪≪エセネア様よりパーティの申請がありました。参加しますか?(Y/N)≫≫


 魔法陣のYの部分が勝手に押され、ドーラは慌てる。

 エセネアとは誰のことなのだろうか?


 そこに現れたのは熊のような大男だった。

 というか、顔面が熊だった。ちなみにメロンは付いていない。


「まったく、次から次えとーー、て、クマー?」

「がぉー」


 かわいい声で叫ぶ熊。だが威圧感は恐ろしいものがある。

 ドーラが凝視するとウィンドウが開きエセネア/モンクLv31という表示が見えた。


「あいつはAランク冒険者のエセネアだ!」


「なぜ分かったぁ!」


「その熊の体系みりゃー分かるに決まっているだろうが!」


 どうやらこの熊はかなり有名な熊らしかった。


「そういうお前らはどこのごろつきだ。こんな街中で女の子をかどわかして売り払う外道どもが――」


「はぁ、やる気かおら。タンドー組に目を付けられて生きていられるとー」


「おぃ! よせ!」


 寄ってきた男が手を振るう。しかし熊は当然のようにびくともしない。

 対抗して振るった熊の一撃は男を吹き飛ばし、空中で三回転させてようやく着地する。

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