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未知との遭遇

 冒険者ギルドは、町の中心部にある広場の隅にあった。古ぼけてはいるものの堅牢さを感じさせる立派な佇まいで、広さもかなりのものがある。

 

「ここが冒険者ギルドだ。冒険者にはガラの悪い奴も多いが、この町を拠点にしてる奴らは心根は腐っちゃいねぇから……」


 ゴードンは何故かそこで言葉を途切れさせて、こちらをチラッと見る。


「おめぇみたいなガキには要らない心配だったな」


 うん!?何が言いたいかわからないが、テンプレ的な初心者に喧嘩を吹っ掛けてくるような人はいないということだろうか。


 迷うことない足取りで冒険者ギルドに入ってゆくゴードンの後を、小走りで追いかける。

 入って右手に受付嬢が並ぶカウンター、左手にはカフェかそれとも酒場なのか飲食をしている人がいて、奥には上階へと向かう階段が見える。

 ゴードンは既にカウンターの1つを占領し、獣耳がキュートな事務員と話をしていた。


「ゴードンさんがこんな時間にギルドに来るなんて珍しいですね」

「おう、ちょっとな」


 と、こちらを振り向いてちょんちょんと大きな手で招く。


「こいつの登録を頼むわ」


 これから長い付き合いになるだろう職員さんの第一印象は大事。しかも獣耳だし!


「ヒカリです。お姉さん、よろしくおねがいします、ね」


 対女性に通用するかわからないけど、頭をコテンと傾げ、つぶらな瞳をイメージしてじっと見つめてみる。


「か、か、か、かわぁぅぃいいいいいい!」

 

 一瞬、眼鏡をかけたチャラいお笑い芸人の顔が過る。


「なんですか!大きな瞳に白い肌、キラキラ綺麗な髪の毛という恵まれた容姿を持っているにも関わらず言葉とは裏腹に全く感情のこもっていない文字の羅列!だが、それが『ちょっと背伸びをしているおませな女の子』という微笑ましさも感じさせていますですっ!無表情なのに傾げる仕草をするあざとさなんかもあって、年端もいかない少女なのに5年後には魔性を発揮するのではないかという期待感も持たせる!やっと、やっと出会うことができました!自称・美少女ウォッチャーを自負する私が探し求めた『ザ・アンバランス美少女』の完成版がここに、ここに権限しましたのですっ!」


 ……正直、半分以上は何を言っているのかわからなかった。

 ゴードンを含め、冒険者ギルドにいる全員が呆気に取られて固まっているのだけれど、これ、どうやって収集するの!?


 誰がこの場を収めてくれるのかなぁーと、10歳らしく他人任せを決めたところに、新たな人物が登場した。


「アニカ、何を騒いでいるんだ。上階(うえ)まで聞こえてきたぞ」

「ギルド長!す、すみません、つい興奮して仕事ということを忘れていました」


 テヘっという感じに笑った騒ぎの元凶、自称・美少女ウォッチャーはアニカさんというらしい。

 この場の空気を一新してくれた低くダンディーな声の主を振り返れば、そこには堂々たる存在の新人種がいた。


「ヘルマン、いところに来てくれたわ。アニカの暴走で用事を忘れるとこだったぜ。今日はな、ほれ、このガキを――って、おい、ヒカリ口が開いてっぞ!」


 ……だって仕方ないじゃないか!

 パイプから煙をくゆらしながら2本脚で立っていたのは、立派な毛並みを持った虎そのものだったのだから!



 


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