8月本編 第17話 浴衣の帯、苦しくない? 少し直してあげる (お姉さん系/夏祭りの支度/年上の親しい女性)
朗読使用者への簡単な設定説明
夏祭りへ向かう前、慣れない浴衣を着た相手の帯や襟元を、年上の女性が整えてあげる場面です。落ち着いた余裕を見せながら、自分も相手に見つめられると少し照れてしまう、大人っぽい甘さを表現してください。
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動かないで。
もう少しだから。
……帯、苦しくない?
大丈夫と言っても、あなたは我慢してしまうでしょう。
息を吸ってみて。
……うん。
少しきついね。
このまま祭りへ行ったら、屋台を二つ回ったあたりで具合が悪くなるよ。
せっかく浴衣を着たのに、椅子に座って休んでばかりではもったいないでしょう?
少し直してあげる。
後ろを向いて。
……そう。
帯を触るから、驚いて動かないでね。
ん……。
ここを少し緩めて。
形は崩さないように、結び目だけ上げる。
……近い?
着付けを直しているんだから、これくらいは仕方ないでしょう。
それとも、私に近づかれるのは嫌?
……嫌ではない?
ふふ。
正直でよろしい。
はい。
今度はどう?
……楽になった?
よかった。
それなら、屋台の焼きそばも、かき氷も食べられるね。
……全部食べるつもりなのかって?
夏祭りに行くのに、食べないつもりだったの?
私は遠慮しないよ。
今日のために、お昼を少し軽くしたくらいだから。
……笑わないで。
大人だって、祭りの日くらい浮かれるの。
あ。
襟元も少しずれてる。
こっちを向いて。
……じっとして。
ん。
これで大丈夫。
……どうして目をそらすの?
近いから?
さっきから、そればかりだね。
私が触れているのは浴衣だけなのに。
……顔が近い?
それは。
否定できないけれど。
……ねえ。
そんなに見られると、今度は私が落ち着かない。
あなたの着付けを直しているだけなのに、私まで変に意識してしまうでしょう。
……私の浴衣も似合ってる?
……ありがとう。
実は、少し迷ったの。
年上らしく落ち着いた色にするか。
もう少し明るい柄にするか。
あなたに見せるなら、どちらがいいかなって。
……今のは秘密。
祭りへ行く前から、あまり素直にさせないで。
ほら。
最後に帯を軽く押さえて。
……うん。
きれいに整った。
よく似合ってるよ。
普段より少し大人っぽく見える。
……でも。
人混みで勝手に先へ行かないこと。
慣れない下駄で転びそうになったら、ちゃんと私につかまること。
帯が苦しくなったら、我慢せずに言うこと。
……子ども扱いしているわけじゃないよ。
ただ。
今日一日、あなたの隣で楽しく過ごしたいだけ。
だから、帰るまできちんと私に面倒を見させて。
……ね。
準備できた?
それじゃ、行こうか。
祭りが終わるころまで。
今みたいに少し近いままで、歩いてくれたら嬉しいな。




