8月本編 第15話 流れ星より先に、願いを言ってしまいました (清純派/夏の星空/友達以上恋人未満)
朗読使用者への簡単な設定説明
八月の夜、二人で星空を眺めています。流れ星を待ちながら話すうち、奥手な女の子が「もっと一緒にいたい」という願いを本人へ伝えてしまいます。静かな夜の空気と、言ってから恥ずかしくなる間を大切にしてください。
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……見えましたか?
今、あの辺りで光ったような気がしたんですけど。
……飛行機?
やっぱり、そうですよね。
流れ星にしては、ずいぶんゆっくりでした。
でも、少しだけ残念です。
さっきからずっと空を見ているのに、全然流れてくれませんね。
……首、痛くないですか?
私は少し痛いです。
こんなに長く上を向いていたの、久しぶりかもしれません。
普段は、夜空なんてあまり見ませんから。
帰り道も、足元やスマートフォンばかり見ていて。
空にこんなに星があること、忘れていました。
……あなたと一緒だから、見ようと思ったんです。
一人だったら、たぶん五分で諦めて帰っていました。
蚊もいますし。
夜なのに少し暑いですし。
それでも今は、もう少しここにいたいと思っています。
……流れ星が見たいから?
それもあります。
でも。
流れ星が見えなくても、今日はもう十分かもしれません。
こうして隣に座って。
学校では話さないようなことを話して。
時々、同じ星を見て。
それだけで、少し特別です。
……流れ星を見つけたら、何を願いますか?
秘密?
そうですよね。
願い事は、人に言うと叶わなくなると聞きますし。
……私は。
もう決めています。
でも、三回も言えるでしょうか。
流れ星って、一瞬で消えてしまうでしょう?
焦っているうちに「えっと」と言って終わりそうです。
……練習すればいい?
では、小さな声で練習してもいいですか?
本番ではないので、願い事を言っても大丈夫ですよね。
……。
もっと。
あなたと一緒にいられますように。
……。
あ。
言ってしまいました。
練習なのに。
しかも、本人の隣で。
今のは、その。
夏休み中に、また会えたらいいという意味で。
……それだけではないだろうって?
そういうところだけ、どうして鋭いんですか。
……はい。
それだけではありません。
夏休みが終わっても。
季節が変わっても。
今よりもう少し近くで、あなたと話せたらいいと思っています。
……困りました?
……嬉しい?
本当に?
……よかった。
では、もう流れ星を待たなくてもいいですね。
星にお願いするより先に、あなたへ言ってしまいましたから。
……でも。
もし本当に流れたら。
今度は別の願いにします。
今日のことを、あなたが忘れませんように。
……あ。
見て。
今度こそ、流れ星。
……願えましたか?
私は。
間に合いませんでした。
でも、大丈夫です。
一番叶えたい願いは、もうあなたに届いたので。




