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女性VTuber向け 朗読しやすい3分シチュエーションボイス台本集 〜季節イベント対応〜(無料・使用許諾不要)  作者: 常陸之介寛浩 本能寺から始める信長との天下統一
6月に合わせた台本集

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39/42

6月本編 第3話 傘の中って、こんなに近かったっけ (幼馴染/相合傘/長年一緒の相手)

朗読使用者への簡単な設定説明


この台本は、女性VTuberが「昔から一緒にいる幼馴染」として読むシチュエーションボイスです。

突然の雨で相手が傘を持っておらず、彼女の傘に一緒に入って帰る場面です。

昔なら何とも思わなかった距離なのに、今は肩が触れそうな近さや雨音の静けさを意識してしまう。

声は自然体で、最初は軽くからかうように。中盤から少し照れや戸惑いを混ぜ、最後は「昔と同じようで、少し違う」余韻を残してください。


-------------------------------------------------------------------------------------------


……あ。


やっぱり、傘持ってない。


ねえ、ちょっと。

そこで立ち尽くしてる人。

今からどうするつもりだったの?


……いや、空を見ても雨は止まらないと思うけど。


ふふ。

相変わらずだね。

朝、天気予報見なかったでしょ。


……見た?

見たのに持ってこなかったの?


それはもう、見てないのと同じじゃない?


……あ、拗ねた。


ごめんごめん。

でも本当のことだし。


六月の空なんて信用しちゃだめだよ。

朝は降ってなくても、夕方にはこうなるんだから。

ほら、さっきまで曇ってるだけだったのに、急にざあって来たし。


……で。

どうするの?


走って帰る?


……その顔。

走る気ないでしょ。


まあ、そうだよね。

この雨の中走ったら、たぶん家に着くころには靴までびしょびしょだし。

鞄も教科書も危ないし。


しょうがないなあ。


入れば?


……私の傘。


……なに、そのびっくりした顔。

別に、そんな大事件じゃないでしょ。

幼馴染なんだから。

昔だって、何回も一緒に傘入ったじゃん。


小学生のころとか。

急に雨降って、私の小さい傘に二人で無理やり入って。

結局、二人とも肩が濡れて、意味ないじゃんって笑ってたの、覚えてない?


……覚えてるんだ。


ふふ。

なら話が早い。


ほら、入りなよ。


……。


……近いね。


いや、今さらなんだけど。

でも、なんか。


傘って、こんなに狭かったっけ。


……あ。

今、ちょっと笑ったでしょ。


笑わないでよ。

私だって、自分で言ってて変だなって思ってるんだから。


昔は平気だったんだよ。

肩が当たっても、腕がぶつかっても、狭い狭いって文句言うだけで。

別にそれ以上、何も考えなかった。


でも今は、なんか……。


……いや、なんでもない。


とにかく、ちゃんと入って。

そっち側、濡れてる。

もっとこっち寄っていいから。


……そう。

そのくらい。


……うん。

やっぱり近い。


でも、離れたら濡れるし。

これは仕方ない。

雨のせい。

全部、雨のせい。


……なに。

そんな顔して。


私が言い訳してるみたい?


……うるさい。


ほら、歩くよ。


ゆっくりね。

傘の中で歩幅がずれると、どっちかが濡れるから。

昔みたいに競歩みたいな速度で歩かないこと。


……そうそう。

そのくらい。


雨の音、すごいね。


傘に当たる音って、近くで聞くとけっこう大きい。

なのに、まわりの声は少し遠くなる。

こうして一つの傘に入ってると、外と中で世界が分かれるみたい。


……私たちだけ、少し別の場所にいる感じ。


……あ。

今の、ちょっと恥ずかしいこと言った?


まあ、いいや。

雨の日だし。

傘の中って、そういう変なことを言っても、雨音が少し隠してくれる気がする。


……ねえ。

肩、濡れてない?


……見せて。


ああ、少し濡れてる。

だからもっと内側に入ってって言ったのに。


……いいから。

こっち。


……ん。


はい。

これなら大丈夫。


……近すぎ?


仕方ないでしょ。

濡れるよりはいいじゃん。


それに……。


……いや。

今のは、言わない。


……なに。

気になる?


気にしなくていいよ。

どうせ大したことじゃないし。


ただ、昔ならこの距離でも何も思わなかったのに、って思っただけ。


それだけ。


……うん。

それだけ。


でもさ。

変だよね。


同じ道で、同じ雨で、同じ傘に入ってるだけなのに。

昔と全然違う気がする。


君の背が伸びたからかな。

傘の位置も、前と違うし。

歩く速さも少し変わったし。

声も、昔より低くなったし。


昔は、私のほうが早く歩いて、君が後ろから「待って」って言ってたのに。

今は、私が歩幅を合わせてもらってる。


……いや、別に悔しくはないけど。


ちょっとだけ、不思議。


気づかないうちに、ちゃんと時間が進んでたんだなって思う。


……あ。

水たまり。


気をつけて。


……ほら、危ない。


もう。

今の、踏みかけたでしょ。

相変わらず足元見てないんだから。


……え?

私が急に近づいたから?


それは、転びそうだったからでしょ。


……まあ、ちょっとだけ、腕つかんだけど。


だって、危なかったし。


……なに、その顔。


昔もこうやって手、引っぱったことあったじゃん。

雨の日に走ろうとして滑りかけたときとか。

遠足の日に、ぬかるみに足突っ込みそうになったときとか。


……あったよ。

忘れたの?


私は覚えてる。


わりと、いろいろ。


雨の日の帰り道も。

水たまりを避けるくせに、結局どっちかが踏むことも。

傘が小さくて、半分ずつ濡れて帰ったことも。

家に着いたら、どっちの肩がより濡れてるかで言い合いになったことも。


……なんか、懐かしいね。


でも、懐かしいだけじゃないんだよね、今は。


昔と同じことをしてるはずなのに、同じじゃない。


肩が近いだけで、少し落ち着かない。

傘を持つ手が少しぶつかるだけで、変に意識する。

雨の匂いとか、濡れた制服の感じとか、君の体温が近いこととか。

そういうのが、前よりちゃんとわかる。


……ねえ。


傘の中って、こんなに近かったっけ。


……。


……答えなくていいよ。


たぶん、傘の中が変わったんじゃなくて、私たちが変わっただけだから。


……あ。


今、こっち見た。


そういう顔するの、ずるい。


なんか、君も同じこと考えてるみたいに見えるじゃん。


……考えてた?


……そっか。


じゃあ、私だけじゃないんだ。


……うん。


それなら、少し安心した。


でも、だからって急に何かが変わるわけじゃないよね。

私たちは幼馴染で。

同じ道を何度も歩いてきて。

雨の日に同じ傘に入るのだって、初めてじゃない。


ただ、今日は少しだけ、前より静かに歩いてる。


前より、近いことに気づいてる。


それだけ。


……でも、その“それだけ”が、たぶん大きいのかも。


……あ。

また雨、強くなってきた。


傘、もう少しこっちに傾けるね。

君、右肩濡れやすいから。


……いいの。

私のほうは大丈夫。


……え?

私が濡れる?


……ふふ。

やっと気づいた?


でも平気。

少しだけだから。


……あ、こっちに寄せてくれるんだ。


ありがと。


……。


やっぱり、近いね。


でも、今はそんなに嫌じゃない。


むしろ、ちょっとだけ……。


……ううん。

やっぱり言わない。


今日全部言っちゃうと、雨が止んだあと、ちょっと困るから。


だから、今はこのままでいい。


一つの傘に入って。

昔の話をして。

でも、昔とは少し違うって気づいて。

それを二人とも、言い切らないまま歩く。


……そういう帰り道も、悪くないでしょ。


……うん。


あ、もうすぐ分かれ道だね。


今日は、少し早く着いた気がする。

雨の日の帰り道って、もっと長いと思ってたのに。


……たぶん、一人じゃなかったからかな。


……あ。


今のは、普通に本音。


一人で濡れないように歩くより、君と少し狭い傘の中で歩くほうが、私は好き。


……言っちゃった。


でも、まあいいか。

雨の日だし。

傘の中だし。


……ねえ。


次に雨が降ったときも、もし傘を忘れたら。

……いや、忘れないほうがいいんだけど。


でも、もし忘れたら。


また、入れてあげてもいいよ。


その代わり、ちゃんと私の歩幅に合わせて。

肩が濡れないくらい、ちゃんと近くにいて。


……ふふ。

約束ね。


じゃあ、そこまで送る。


今日は雨が止むまで、幼馴染特権ってことで。


……うん。

そういうことにしておこう。


傘の中がこんなに近いって気づいたことは。

まだ、雨の秘密にしておこうね。


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