066 ③
誤字を見つけたので修正しました(2015/10/28)
「ふぅ…」
和秋は一気に体の力を抜いてその場に座り込む。
荒い息を整えながら周りを見渡せばいつも一緒に行動しているメンバーが誰一人脱落していないのを見て安堵する。
いつも真っ先にからかってくる友哉でさえ今は大の字になって寝転がっているのだ。
「皆様お疲れ様です。ここにいる方はこれからもマリン様の授業を受けてくださることになるのでよろしくお願いします。本日の授業はこれで終わりにします。本日の授業はこれで終わりになります。
皆様、お部屋でごゆっくりとお休み下さい。湯浴みの準備もしてあるのでどうぞご自由にお使いいただいても結構ですよ」
サーキスはそう言って座り込んでいる生徒達を放置し、マリンと一緒に訓練場を出て行ってしまった。
訓練の後はいつも真っ先に湯浴みにいく女子達は、今回ばかりはすぐ動く気になれないらしい。よたよたと立ち上がっては覚束ない足取りで次々と訓練場を出て行く。
やがて男子達も出て行きだし、訓練場には和秋達と一人の男子生徒しか残っていない。
「……俺達もそろそろ行くか」
「そうだな…」
和秋の言葉に悠馬が頷き、完全に寝ているであろう友哉の頭を軽く叩こうとしたその時、
「…ちょっ!待ってくれっ!」
いきなり友哉が叫びながら飛び起きた。
「「「…………」」」
友哉はキョロキョロと辺りを見回し、そして悠馬と和秋に気づいた。
三人揃って沈黙する。
「……おはよう」
取り敢えず和秋は挨拶した。
「……俺、寝てた?」
「そりゃもうバッチリ」
「あ〜ごめんごめんっ!」
友哉は寝惚けた顔をしながらも申し訳なさそうに謝る。
「…友哉お前なんの夢見てたんだ?」
「ん?そうか、和秋そんなに気になるのか!よ〜しよし仕方ないからおー」
「やっぱ良いわ」
ニヤケ顔の友哉に和秋は言い切る。
「おい、和秋。早く行くぞ」
「おー」
そう言って悠馬と和秋は訓練場を立ち去ろうとする
「待って待って!俺を一人にしないでっ!!」
友哉は急いで立ち上がって二人を追いかけた。
和秋は友哉のその言葉に違和感を覚え、後ろを振り返る。
訓練場には騒がしい友哉を除いては静まり返り、和秋達三人しか残っていなかった。
「なぁ」
「なんだ?」
和秋の呼びかけに少し前を歩いていた悠馬が反応する。
「俺達の他に誰かいなかったか?」
「言われてみれば…いたような気がするな」
訓練場を見渡すが、やはり誰もいない。
「そうなの?俺が起きた時は誰もいなかったけど…戻ったんじゃねぇ?」
二人に追いついた友哉がそう言ったが、和秋は納得しないような顔をする。
「いない、ってことはそうなんだろ。早く戻るぞ」
悠馬は疲れているのか大分投げやりに返し、訓練場を出て行く。それに友哉が続いた。
和秋は何度も後ろを振り返りながらも諦めたようにその場から立ち去った。
「……………もうそろそろいいか」
そう言って一人の男子生徒が遥か高い訓練場の天井から飛び降り、何事もなかったかのように着地した
「それにしても…」
彼は溜息を一つ落とし、そして遠い目をする。
(以外に、バレなかったな…)
そう、この男子生徒は和秋達が訓練場を出るのをずっと天井の柱にしがみついて待っていたのである。
「あーぁ、肩凝った」
男子生徒は少しストレッチしながら一人、訓練場で体なおしをした。
(今日はラッキーだな。いつも訓練と授業で王宮とか探検する暇なんてないし…)
「それにしても…今日の特訓で何であんなに倒れるんだよ、謎過ぎる」
事実、彼にとっては今日の特訓など痛くも痒くもなかった。ずっと立ち続けていたので精々暇だな、という認識しかしていなかったのである。
不思議そうな顔をして考え込むような仕草は普段の彼を知っている者にとっては目を疑うような光景だった。
ストレッチを終えると彼は気を引き締めたよう顔をし、口がにやけそうになるのを抑える。
「んじゃまぁ、粗探しの冒険にでるとしますか」
彼は常日頃から思っていたことがある。
これはきっと生涯においてもそうだろう。
彼は縛り続けられるのが嫌いである。
ずっと王宮の中で授業と訓練だけして過ごすことに耐えらるはずがなかった。
我慢の限界、というものである。
そしていつも耐えられなくなった時、この言葉を口にするのだ。
「自由、万歳」
彼は、自由主義者である。
男子生徒
職業自由人
能力:???




