プロローグ『崩壊』
初投稿で初めて書いたので、読みにくいかもしれませんが、読んでくれると幸いです!
――人は、安心を手に入れるために生きている。
◇◇◇
少年は目を覚ますと、自室のベッドから土砂が崩れるように落下した。
「いってぇ!」
彼のベッドは二段構造になっており、落下したのはその二段目からだった。
落下時に腰を酷く打ち付けてしまった彼はあまりの痛さに言葉すら出てこなかった。
「もぉ、大丈夫〜?」
彼の部屋は二階の階段を上がったところのすぐ手前にあるため、下からの母の心配の声がよく聞こえた。
「大丈夫だよ」
彼は腰を自身の手で擦りながら階段を下り、母のいるリビングへ向かった。
「何時に行くの?」
彼は友人と外出する予定があった。なんでも、今話題の映画のチケットが取れたというのだ。
彼自身、その映画には興味があったし、断る理由も特になかったので誘いを受けいれた。
「あー、もう一時間したら行くよ」
「夜ご飯は?」
「いらね」
素っ気なく返事した彼はただ黙々と朝食を口に運んだ。
◇◇◇
「それじゃ、行ってくる」
「気をつけるのよ」
母の言葉を聞き流し、彼は歩みはじめた。
歩き慣れた歩道には多くの自動販売機があり、彼はそれに百円玉を二枚入れ、好物の清涼飲料水のボタンを押した。出てきた飲料は長らく自動販売機の中に置いてあったのか雪のように冷え冷えとしていた。
待ち合わせ場所は、彼の自宅の最寄り駅から三駅離れた場所にあり、約十五分程の時間を要する。
時間に余裕が無いのか、彼は急ぎ気味に駅の改札を通り抜けた。
十五分間電車に揺られ、目的地の最寄り駅に到着した。
通勤ラッシュ真っ只中のこの時間だからなのか、いつもより多くの人に彼の肩はぶつかっていた。
改札を通り抜け、目的地方向の出口を目指す。出口がどこなのか覚えていない彼は自身のスマートフォンの電源をつけようとした。
「やべ、昨日充電してねぇじゃん」
彼はここに来るまでの自分に心の中で叱責した。こんなときにスマートフォンの充電がないとは。
「仕方ねぇ、勘で行くか」
こういったとき、多くの人はどのような選択をするだろう。きっと大半の人が群衆に着いていくと思う。だが、彼はあえてそうしなかった。
ほんの少しの興味だった。それが彼の判断を誤らせてしまったのだ。
二つに分かれた出口、彼から見て向かって右側の出口は駅にいた人々が行き、向かって左側には誰も行っていない。
彼の友人は人目の付きにくい場所を好んでいた。そのこともあってか、彼は向かって左側の出口を選んだ。
「まぁ、どうにかなるだろ」
彼は歩き出した。誰もいない左側の出口へと。
誰もいない道はあまりにも静かで、彼の足音だけが響いていた。足音が響く通行路の中で、彼の脈拍は早くなっている、それは興奮によるものなのか、はたまた恐怖によるものなのか、彼自身もわかっていない。
――人は、安心を手に入れるために生きている。
安心というのは、心の安らぎのことだ。友人を作って心の穴を埋めたり、なにか表彰を受けて自己肯定感を高めたり、それらは全て安心という感情へと繋がる。
では、周りに人が居なくなったら安心というのは出来るのだろうか。
その答えがわかるときが彼にはすぐに来る。
――ようやく光が見えた。
彼は今歩いている暗闇の道から光の見える出口まで意気揚々と歩いた。
先刻は一人なことに少しの不安を感じていたが、光の先で活気のある声が聞こえる。そのことが彼の心の中にある一抹の不安をかき消した。
外の様子が肉眼で目視できるくらいの距離になったとき、彼はその不可解な状況に困惑した。
周りに人がいないとき、安心というのは出来るのだろうか。
彼は、その答えを脳で理解した。
駅の出口から出た先に待ち構えていたその景色を見たときに。
――そしてその瞬間、湊の日常は崩壊した。
何か、改善点があれば教えて頂きたいです




