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blood 血の誓い  作者: さくらもち
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説明上手な猿



「横と上にキープを1セット15回、その次は縄跳びと走り込み、これを毎日しよう」



「えぇ?!こ、これを毎日?!」



出来て当然のように淡々と言う天明に、顔を引き攣らせれば、できるよね?と有無を言わせない笑みで返され、渋々はいと頷く。


けれど早速2週間後に、どれだけ成果が出てるか見せてと言われ、思わず苦笑いを浮かべた。



今しがた終えた、この腕を鍛える為のT字キープと腕上げキープ、それから縄跳びを30分ひたすら飛び、それを終えれば次はトレーニングルームに置いてあるランニングマシンで1時間走り込んだ。



これを毎日、欠かさず行わなければならないと思うと、流石に辛い



しかし、折角強くなるために天明の時間を貰っているのだから、ここで辞めるわけにはいかない。


ここまできたら、もう腹を括って言われた通りこの地獄のトレーニングを頑張るしか道はないのだ




「慣れたら余裕だよ、…でも取り敢えず休憩する?」



初手で、こんなにもハードな運動をした後だからだろう、正直体はバキバキで、足や腕はパンパンだ


ボロボロの体を引きずり、休憩場所へと天明と向かえば、いつの間にか帰ってきていた猿田と玲は隣の射撃場で2人楽しそうに練習をしている



防音設備が整っているからか、ガラス壁からは一切音が漏れておらず、隣の部屋に居た事に全く気が付かなかった。



音は全く聞こえないが、ハンドガンで奥の動く人形へと躊躇なく弾を放つ猿田と玲は撃つたびに振動が凄いのが見てわかる。


音が聞こえないから見ている側からすれば変な感じではあるけれど、これに音がついていたら、かなり迫力があるのだろう



観察するのは面白いので、じっくりと2人を見ていれば天明は冷蔵庫からルイボスティーと書かれたペットボトルを2つ手に取り、私にも差し出した。


ひんやりと冷えたペットボトルを受け取り、お礼を伝えると、冷たいルイボスティーを美味しく頂いた。




「次は射撃の練習だよ、休憩が終わったら次はあっち行こう」


天明は、ちらりと透明ガラスの先にいる2人に目線を移すと、次は銃の練習だと言い出す


流石に、鬼のトレーニングを終えたばかりだというのに、天明の次は、という言葉を聞き、まだあるのかと正直、動揺が隠せない



やっと今、あの過酷なトレーニングが終わったと言うのに、次は拳銃。


さすがに冗談だろと、天明に視線を送るが私の思いは通じる事なく、飲んだら行こうと笑顔で返された。

まだまだ元気な天明は冗談ではなく、本気で言っているらしい。




ちょっと…待ってくれよ、この腕の痛みのまま、本当にあの拳銃を握れという事だろうか?



ガラス越しに見える猿田の持つ拳銃は、見た感じは軽そうに見えなくもない


正直、双剣や刀と比べれば、あの小さな拳銃は軽いだろう


楽しそうに人形を撃つのは面白そうではある



心の中では、もう1人の自分が嫌だとごねているが、それを無視して美味しそうにテーブルの上にある干しプルーンを頬張る天明へと覚悟を決めた。




「弱木海、師匠に…ついて行きます!」




「…ふふ、良いネ〜」



気合いを入れて言えば、天明は満足そうに、にこりと笑うと私の頭をポンポンと優しく撫でる



天明が私の頭を撫でる度に、ふわりと金木犀の香りが、鼻を掠めた






「お疲れー!!頑張ってたね!」


射撃場へ入れば、イヤーマフを首にかけた玲が駆け寄り、隣から見てたよと声をかけてくれた


全然帰ってきたのが分からなかったと言えば、必死に頑張ってたから声をかけづらかったらしく、そっかと返すと天明が玲の使っている場所を指差す



「使う?」


「いや、俺今から休憩しようと思ってたから使って大丈夫だよ」


「そう?あそこ使うネ?」


「うん、じゃあ俺は向こうで見てる」



そういうとさっき私達がいた場所へと1人出ていく玲、猿田はこちらに気がつくと、すかさずイヤーマフを外し駆け足でやって来た




「おおー!おつかれー!今から射撃練習?」



「強ちゃんありがとう、そうだよ」



「今から教えようと思って、取り敢えずよく使うハンドガンとアサルトライフルでいいか」


「そっすね、ハンドガンはよく使うし良いと思います」


「うん、士郎が教える?」


「…撃ち方は俺に教わらない方がいいっすよ」



種類ならいいけど、と苦笑いを浮かべる猿田にそれもそうだねと辛口で返す天明、2人の話を黙って聞いていれば、猿田は手招きすると、ずらりと並ぶ武器の前まで行き、小さい銃を指差し説明を始めた。




「この小さいのは、俺が今使ってたハンドガン。これは片手で撃ちやすいし持ち歩けるから大体皆がよく使ってる。まぁ、ちっせーけど近距離に適した銃」



「本当だ…他のに比べると小さいね?」



「あぁ、後は…ハンドガンにもリボルバーとオートマチックって2種類あって、リボルバーだと弾数が6発、オートマチックは大体15発」



「…てことは、オートマチックの方がいいって事?」




「そう言う事でもないんだなぁ。リボルバーは確かに弾切れしたら交換に時間はかかるけど、1発の威力が強い。だから確実に当てないと無駄になる」



この中で1番小さい拳銃だが、結構威力があるらしく、確実に死人に当てれば1発で仕留められるらしい


けれど、弾数が決まっていると言うことは外せば無駄になる、確実に当てれるならばいいが初心者には難しいのではないだろうか



「難しそう…オートマチックは?」



「そっちは、正直リボルバーに比べると威力は劣る。その代わり連射できたり装弾数は多いし軽いから楽だけど…まぁ好みだね」



「うーん、…強ちゃんと師匠はどっち使ってるの?」



「俺?俺はもちろんオートマチックだろ」



「あ、そうなんだ。師匠は?」



「僕はハンドガンは使わない。これ使ってるから」



猿田の説明を黙って聞いていた天明はどっちを使っているのかと聞けば、ハンドガンは使っていないらしく、ハンドガンと比べると大きなアサルトライフルを指差した




「天明さんはアサルトライフル使ってるからな」


「え、この大きいやつ?」


「そう、僕これ好きなんだ」


「天明さんはな…撃つのもうまいんだよ」


「へぇ?!凄い…オールマイティーなんですね!」

 

 

「おぉ、良い言葉知ってるネ。…士郎説明して」



アサルトライフルが好きだと言う天明に、なんでもできるんですねと返せば、嬉しそうに笑い猿田に説明の続きをと促した



 

「はい、じゃあアサルトライフルの説明するぞー?」


「はーい!お願いします!」




猿田の説明が珍しくわかりやすく、元気よく次の説明を待てば、アサルトライフルを見ながらまたスラスラと説明を始めた



「これはなぁ、射程距離が長くて遠距離向きで、マガジン…ここに次の弾を準備しとくんだけど、弾数を多く装填できるのが強みかな。んでこれにもハンドガンと同じ2種類あるのよ」



「そう、僕はフルオートマチックじゃなくてセミオートを使ってる」



「説明すると、フルオートはトリガー…引き金の事な、ここ。これを引き続けると弾を連射できるんだけど、セミはトリガーを引くたび1発ずつしか撃てないから、フルと違ってここを引き続けても連射しないんだよ」



「てことは、難しいのを使ってるんですね」



「んー…かな?」



「そもそも、天明さんは難しいなんて思ってないと思うぞ」



猿田の言う通り、なにが難しいの?と不思議そうにしている天明の様子に、乾いた笑いを浮かべた


なんでもできる天才とは、こういう人のことを言うのだろう。


 

「…あはは、そうみたいだね」


「ちなみに弾数は30発ネ」




30発、さっきのハンドガンよりもかなり弾数が多く興味をそそられる


もし扱うならこちらの方がいいかもしれない



「多いですね!」



「ハンドガンよりは多いな、まぁ近距離と遠距離だとこんなもんかな。あとはサブマシンガン、スナイパーライフルとかあるけど…とりあえずおすすめはさっきのふたつだな」



猿田の説明はどれもとてもわかりやすく、とても勉強になった。


いつもはなにを言ってるのか、よく分からない事が多いが、銃の説明はよく理解できた。



きっと、彼は銃が好きなのだろう




「うー…色々あって覚えるの大変そう」


「まぁ、でもさぁ?結局、引き金引くのはどれも同じだし弾数と性能さえ分かってればいけるだろ」



それでも、どっちを選ぶか悩んでいれば猿田のごもっともな言葉に、確かにと天明と2人して頷いた。



結局は、引き金を引くのは同じなのだ、後は猿田の言う様にどういった性能か、弾数は何発までなのかを理解していればいいのかもしれない。


扱い方よりも、ちゃんと一つ一つの性能を覚えればそこまで難しい事でもない


実際、さっきの双剣よりは数倍簡単な気がしている





「うん。…取り敢えず、海はハンドガンを練習しよう」



 

天明も、とりあえずはハンドガンで練習してみたらいいと言ってくれているので、こくんと頷くと猿田から早速ハンドガンを渡された。







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