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元最強の執行人は平穏を願う  作者: 朝霧 新翔
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第2話 入学試験

 俺は入学試験を受けるため王立第1学院に訪れていた。


 王立学院は国内に8つ存在する。学院には騎士団や魔法師団を目指す貴族の子息や国内の実力者たちが集まるため、学院に入学することは大きなステータスになると言われている。

 その中でも第1学院は王都にあるため、人気が高く王立学院の中でも最難関と呼び声が高い。


 そんな王立学院の試験は魔法試験と戦闘試験の2分野で行われる。


 俺は魔法試験を受けるべく会場である演習場へ向かった。


 演習場に行くと多くの受験生が列をつくっていた。

 俺もその列に並び試験の順番を待っていると俺の前にに並んでいた女子から声をかけられた。


「あの〜今暇じゃありませんか?もしよかったら順番が来るまでお話ししませんか?」


「あぁ、俺もちょうど退屈してたんだ。」


 俺がそう答えると彼女は嬉しそうに笑った。


「私の名前はミラ、気軽にミラって呼んで。」


「わかった、ミラ。俺はアレンだ。」


 ミラは綺麗な赤い髪を後ろで束ね、一本の剣を腰に刺している、いかにも美少女剣士という容姿をしている。


「それじゃ、ミラは第1学院をうけにわざわざ隣国からここにきたのか。」


「そーなの!なんたってロベルツ王国の第1学院はレベルが高いって有名だからね!」


 第1学院はどうやら隣国でもかなり有名らしく、ミラは受験するために1人で国境を超え旅してきたらしい。そのことからミラはある程度実力があることがわかる。


「アレンはどうして第1学院に?」


 ミラにそう聞かれるが即答をするのをためらってしまう。流石に部外者には組織の話はできない、ここは適当にごまかすことにする。


「育ての親に勧められたんだ。今まで外部とは接触せずに家で修行してたから友達でも作ってこいって。」


 これは別に嘘の話ではない。長官に言われたことを要約するとこんな感じだろう。


「この年まで友達がいないって本当⁉︎」


 確かに15歳の子供なら友達が1人もいないのはおかしいだろう。驚かれるのは当然だ。そう思っていると彼女から意外な言葉が発せられた。


「実は私も友達がいないの!だからアレン、私と友達になろう!」


 俺はその言葉に唖然としてしまった。今までの話からミラはかなりフレンドリーな性格の持ち主だと推測できる。その彼女が友達が1人もいないということは、俺と同じように人には言えない複雑な事情があるのだろう。俺は感じた疑問をそのまま自分の胸にしまうことにした。


「ああ、よろしくな!」


 こうして俺は初めて友達ができた。


 ミラと話している内に俺たちの順番はすぐそこまで来ていた。


「次の方どうぞ」


 ミラに順番が回って来た。魔法試験は魔力測定と実技が行われる。

 魔力測定は魔力を測るための装置が設置されていて、その装置に手をかざすと装置が光り、その光の色によって魔力量が測定される。

 魔力が小さい方から赤 黄 緑 青 紫 白のように光る。


 実技は用意された的に魔法を使って攻撃し、その威力や精密さによって判定されるみたいだ。


「ミラです。よろしくお願いします!」


 ミラが壇上に上がり名乗ると試験が始まる。


「それでは装置に手をかざしてください」


 試験官の指示によりミラが装置に手をかざすと装置が青に光る。ミラと話していた時に他の受験生をチラチラ観察していたが青より上の光を出したのは10人くらいしかいない。間違いなくミラの魔力量は同年代の少年少女より多いだろう。


「やった!」


 ミラは俺の方を向いて嬉しそうにガッツポーズする。


「次は自分の得意魔法で的に向かって攻撃してください。」


 ミラは腰に刺してあった剣を抜き呪文を唱える。


「炎よ我が剣に纏え《フレイムソード》」


 次の瞬間ミラの剣に炎に包まれた。


「喰らえぇー!」


 ミラが炎の剣を振り下ろすと炎の斬撃が生まれる。斬撃は一直線にまたに向かって飛び的に一筋の線を刻んだ。


「すごい…」


 試験官や周りの受験生から驚きと感嘆の声が聞こえる。どうやらまたは特殊な素材で出来ており傷をつけることはかなり難しいらしい。


「どう見た?凄いでしょ!」


 ミラはそう言って俺に駆け寄ってくる。


「ああ、凄いな。いいものを見せてもらった。そのお礼にいいものを見せてあげるよ。」


 きょとんとした顔をしているミラを置いて俺は壇上に上がる。


「アレンです。よろしくお願いします。」


 未だミラの魔法により呆然としている試験官に名前を告げると試験官も俺に気づいたみたいで装置に触れるように指示する。


 俺がそのまま装置に触れれば装置は確実に白く光るだろう。装置が白く光る=魔法師団長クラスの魔力を保有することを意味する。

 まだ学院に入学していない学生がそんな魔力を保有しているのは普通ではない、しかし俺が目指しているのは普通だ。

 幸い今回の魔力測定装置は体内から放出されている魔力を感知するタイプだった。俺は装置に触れる前に身体から放出される魔力量を魔力コントロールにより10分の1まで抑える。俺が装置に触れると装置は紫色に光った。


「この歳でなんて魔力…」


 試験官がそう呟いていたのが聞こえた。10分の1でこれだけ驚かれるのだから魔力を抑えた俺の判断は正解だった。


 次は実技試験だ本当はあまり目立ちたくないがその場のノリでミラにいいものを見せると言った手前無様なものを見せられない。


 俺は10分の1の魔力のまま魔力を練り上げ右手に集中させる。


「切り裂け…」


 俺が右手を振り下ろすと右手から魔力の斬撃が生じる。その斬撃は的に向かって真っ直ぐ飛びまたを真っ二つに切り裂いた。


 辺りが静寂に包まれるが1人の少女によって静寂は崩された。


「すっごい!すっごい!すごい!今のどうやったの?私にも出来るかな?アレン教えてっ!」


 ミラが目を輝かせながら俺に飛びかかってくる。


「あとで教えるから少し落ち着け」


 俺はそう言ってミラを連れて戦闘試験の会場へと向かった。



 戦闘試験場に行くまでの間ミラにさっき見せた魔法について教えた。


「さっき見せた魔法は魔法であって魔法じゃない。なぜかというと俺が放ったのはただの魔力だからだ。」


 ミラは俺の説明を相づちを交えて真剣に聞いている。


「体内の魔力を右手に集め圧縮しその圧縮した魔力をさらに形質変化させて剣の刃のようにする。それを一気に放出することで…」


 と、ここまで話しているといきなりミラが俺の話を遮った。


「ちょっと待って!形質変化ってなに?」


 形質変化とは魔力コントロールによって魔力を自由自在に変形させ新たな性質を与えるで、俺がが使った魔法は魔力に切るという性質を与えたためあのようになったこと。

 そして魔法を使う時、魔力を火や水、風に変換するときみんなが無意識に行なっていることを魔力コントロールによって意識的に行なっていることで、魔力コントロールをマスターすれば誰でも出来ることだと説明した。


「それなら魔力コントロールさえ身につければ私にもあれが出来るのね!絶対にマスターして見せるんだから!」


 そう言うとミラは体に魔力をまとい始めた。


「ミラまずは第1学院の試験に合格しなきゃいけないだろ、魔力コントロールなら入学後俺が教えてやるから今は試験会場に向かおう」


 俺がそう言うとミラは本来の目的を思い出し、俺とともに戦闘試験会場へと急ぐのだった。



 戦闘試験は魔法無しの純粋な戦闘を評価する試験だ。この試験では試験官とはを潰した武器で模擬戦を行い、試験官に一撃入れることが合格の最低条件である。

 試験官はこの学院の在校生が行うらしい。しかしあくまで入学試験ということからかなり手加減してくれるようだ。


 試験会場に着くと魔法試験の会場と違って長い列はなかったためすぐに俺たちの順番が回ってきた。


 ミラは数ある武器からやはり剣を選び模擬戦に望むようだ。


 ミラと試験官が剣を構えて見つめ合う。

 審判の始めの合図と同時にミラが試験官に斬りかかった。試験官はミラの剣を受け止め押し返す。今度は試験官から仕掛けるがミラはそれをステップを踏むように上手くかわしていく。試験官が少しだけ大きく振りかぶったその隙を見逃さず一閃、ミラは一太刀入れることに成功した。


「そこまで!」


 審判の合図により模擬戦は終了した。魔法試験の結果も踏まえてその場でミラの合格が言い渡された。


「次はアレンだね!頑張って!」


 ミラは笑顔で俺を応援する。その応援に応えるためにも頑張らなければな。


 俺は用意された武器から短刀を選ぶ。


 審判の始めの合図により試合が始まるが俺も試験官も両者とも動かない。しばらくすると試験官はしびれを切らし俺に斬りかかる。俺は短刀で試験官の剣を受け流すと瞬時に背後に回り試験官の首に短刀を突きつける。


「そ、そこまで!」


 一瞬審判である教師もなにがあったがわからなかったが目の前の光景を見て試合終了の合図をする。


 この瞬間俺の合格が決まった。


「やったねアレン!これで一緒に学院に通えるね!」


 この瞬間を誰よりも喜んだのは俺ではなくミラだった。



元最強の執行人を読んでいただきありがとうございます。



更新は私の想像力と文才によるので不定期になります。よろしくお願いします。

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