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厄介事は私だってごめんです

 病んでれ予備軍の教師にドナドナされる私。鈴木がいればたぶんきっと助けてくれたに違いないが、いないものは仕方ない。職員室ではなく、数学準備室に連れていかれた。何故に?


「さて、北條」


「はい」


「北條を魔族の「お断りします」


 言わせないよ?とばかりに遮ってやった。互いに無言で笑顔である。鈴木係なる意味不明係に私を任命しやがった担任がナニを言うかなど予想がつく。


「嫌です無理です自分でなんとかしてください!」


 ノンブレスで言い切った。鈴木だけでも両手に余るどころか流出してるっつーの!!さらに蓮ちゃんと…お嬢様っぽい彼(名前を忘れた)まで面倒見られませんから!!


「内申点サービスするから!もうさ、俺だって辛いわけよ!若手だからってなんでもかんでも押しつけるなよ!俺だって鈴木だけでキャパオーバーしてんだよ!」


「あー…」


 病んでれ予備軍教師も私とほぼ同じことを考えていたらしい。新任に毛が生えた程度の病んでれ予備軍教師…京極先生は頭を抱えた。


「つか、それを丸っと私に放り投げないでくださいよ。アンタに色々押し付けた教師共と同じじゃないですか」


「うぐっ!?」


 自覚があったらしく、病んでれ予備軍教師はダメージを受けた。まあ、鈴木と蓮ちゃんは友だちだしお嬢様っぽい彼はおまけでついてくるから関わらざるをえないだろう。


「係とかにはなりませんが、鈴木と蓮ちゃん…天堂さんは友人ですから自分の負担にならない範囲でフォローします。もう一人はよくわかんないからお約束できかねます」


「それでいいから!ありがとう、北條!!」


「はあ」


 その後散々病んでれ予備軍教師の愚痴を聞かされてから教室に戻った。1限は優しい歴史のおじいちゃん先生だ。


「じっちょん先生、戻りました」


「おやおや、おかえりなさい。京極先生にも困りましたねぇ。叱られていたわけではないのでしょう?出席扱いにしておきますからねぇ」


 じっちょん先生、癒し…!


「ありがとうございます!」


「いえいえ、それでは授業を再開しますよ」


 自分の席に戻ると、返り血がついていても爽やかな鈴木と、ボコボコで原型をとどめていないお嬢様っぽい彼がいた。鈴木ぃぃぃ!?と叫ばなかった私を、誰かほめてください。







 休み時間になり、お嬢様っぽい彼は陽菜ちんに治癒していただいた。返り血も陽菜ちんに消していただいた。お嬢様っぽい彼は陽菜ちんの強さを見抜き、アプローチしたが穂積に阻まれた。陽菜ちんの幼馴染なだけあって、穂積は案外強い。なんでも、無茶する陽菜ちんをどうにかするために強くならざるをえなかったらしい。

 そこはわりとどうでもいい。嫉妬する穂積に喜ぶ陽菜ちんがかわゆいだけだ。それよりも鈴木である。


「鈴木、お話があります」


「はい」


「向こうじゃ拳で語らうのが当然かもしんないけど、こっちだと下手したら事件になります」


 私はちゃんとボコった相手を脅迫して、その辺りもきっちりカバーしてるからなんの問題もないが、鈴木は違う。下手に捕縛されようものなら、人と魔族の全面戦争になりかねない。それをキッチリと説明した。鈴木は真面目に聞いてくれた。


「わかった。ミチルちゃんと居たいから、我慢するね。今度から、向こうでボコボコにする!」


「よし!」


 よくはないが鈴木が怪我しても嫌なので、仕方ない。話し合いを終えると、蓮ちゃんが話しかけてきた。


「人間はかなり高度な教育を受けていますのね。なかなか興味深い話でしたわ。いくつか疑問がある場合はどうしたらよいのかしら?」


「休み時間にじっちょん先生に聞いたらいいよ。簡単な質問なら私でも答えられるよ」


「なるほど。では次の休み時間にうかがってきますわ」


 そんな会話をしていたら、陽菜ちんも話に加わった。


「天堂さんとミチルは友人なんだよな?天堂さん、私とも友人になってくれないか?」


「え!?」


「あ、アタシもアタシも~。アタシともオトモダチになりましょうよ」


「え、えええええ!?み、ミチル!ちょっと来てくださいまし!」


「え?うわわわわわわ!?」


 蓮ちゃんに腕を引かれて走るはめになった。天堂先輩の妹だけあって、力が強いし足も早い!気が利く小文吾がそっと私を持ち上げてくれフォローしてくれていた。ありがとう、小文吾。君がいなかったら引きずられて大惨事になっていた気がするよ。


 あっという間に裏庭へ到着した私たち。蓮ちゃんは私の手を放してくれたものの、落ち着きなくウロウロしている。


「ミチル…ミチルのおかげですわ」


 なんでそうなった。またしても拝まれる私。私のおかげ?まあ、今回に関しては間違いでもないかも。陽菜ちんやむっちゃんは、蓮ちゃんが私の友だちだから声をかけたんだろうし。


「そうかな?よかったね、蓮ちゃん」


「あ、ありがとうございます!わたくしにお友だちが二人もできてしまうなんて…わたくし、幸せ過ぎて明日死ぬんじゃないかしら」

「生きて。もっと楽しいこといっぱいあるから」


「たのしいこと?」


 蓮ちゃんが首をかしげた。


「そうそう。帰りに友だちと寄り道して、買い食いしたりカフェでお茶したりカラオケ行ったりね」


「買い食いなんてしたことがありませんわ。かふぇに、からおけ??」


「今度一緒に行こうね。今日はバイトがあるけど、仕込みが終わったらカフェごっこぐらいはできるかな。時間はある?」


「作りますわ。ミチルと過ごすためでしたら、書類の山などどうとでもいたしますわ!!」


「じゃ、約束」


「はい!」


 蓮ちゃんは楽しげに笑った。陽菜ちんもむっちゃんも優しいし、きっといい友だちになれるだろう。


「あら、流石マオマオね。こんなとこにいたわ~。授業、始まっちゃうわよ」

「ミチル、天堂さん!戻ろう」

「ミチルちゃん、教室に戻ろう!」


 むっちゃんと陽菜ちん、鈴木もわざわざ探しに来てくれたらしい。蓮ちゃんは決意した様子でむっちゃん達に近寄った。


「あの…わ、わたくしとお友らちににゃってくだひゃい!!」


 噛んだ。

 盛大に噛んだ。

 蓮ちゃんが涙目だ。


「もちろんよ。アタシのことはむっちゃんって呼んでね。蓮ちゃんって呼んでいいかしら?」

「もちろんだ。私は陽菜でいいぞ。蓮と呼んでいいか?」


「はい!むっちゃん、陽菜、よろしくお願いいたしますわ」


 蓮ちゃんが嬉しそうで良かった。二人と手を繋いで、アワアワしつつも楽しげな蓮ちゃんを見守る。鈴木が近寄ってきた。


「ミチルちゃん、大丈夫だった?」


「ああ、途中から小文吾が持ち上げてくれてた」


「後で叱っとくよ。人間は魔族ほど身体能力が高くないし」


「そこはよろしく。怪我させたら蓮ちゃんも精神的に傷つくだろうしね」


 さりげなく鈴木が手を握ってきた。て、手汗が…と焦ったが、鈴木の発言で一気にときめきが霧散した。


「むっちゃんって…どっちが好きなんだろう」


 前方には蓮ちゃんと陽菜ちんとキャッキャするむっちゃん。BL小説(純愛でエロなし)を読むのは知ってるけど…そういやむっちゃんが好きな子って聞いたことがない。


「…ど、どっちだろう」


 気になるが考えても答えがでなかったので本人に聞いてみた。


「え?男と女、どっちが好きかって?とりあえず、ミチルは好みじゃないわねぇ。お友だちでいましょうね」


 はぐらかされた上に、なんかフラれたっぽくて無駄にへこみました。それを聞いてた鈴木がいかに私が可愛いかを語りだして止めました。結局むっちゃんは、どっちが恋愛対象なのかを教えてくれませんでした。謎だ。

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