塩×塩 甘×甘
高校デビューとは一つの分岐点だと思う。
僕、汐田大智はそんなことを考えながら席に座る。
中学までは普通の男子をやっていた。しかし…
「付き合いたいなら相応の努力して堕としてみなさい」
と、憧れの人から言われたあの日から、先輩らのコネを今までない程にフル回転させ、何とか先輩の理想になった。
制服はそれなりに着こなして。
髪の毛は少し長めに。
鞄にはかわいいストラップを何個かつけて。
そして一番のキーポイントは
「ねえねえ大智くん。遊びに行こうよー」
「なんですか。週末は忙しいんですよ。話しかけないでください」
(週末は先輩を堕とすために作戦を立てないといけないんだ…ごめんな、名もわからぬ少女よ)
こうして、塩対応を貫くことだ。
先輩はベタベタくっつくより、こうしてさっぱりした男の方が好きらしい。
想像はつかないが、先輩曰く
「甘雨は自分自身が甘えたいやつだからな。相手もベタベタだと胃もたれすんだろ。ほら、ラーメンと同じだよ。塩とんこつはいけるけど味噌とんこつは無理みたいな」
ちなみに僕は行きつけのラーメン屋で味噌とんこつを食べている。
まあ、とりあえず先輩はあっさりが好きといううことだ。
というわけで、僕は塩対応しているということだ。
まあ、性に合ってないことをしていることは自負しているが、先輩と付き合えるなら万々歳だと思って頑張っている。
そして肝心の先輩はと言うと
「何してるの?早くいくわよ」
仲良くはなったけど…なんか違う。
絶対振り向いてないじゃん!相変わらず鬼冷たいんだけど?どういうこと!!!?
はあ…やっぱり振り向いてはくれないかなぁ…。
でも…
「はい。これ」
「?何ですか?これって」
「ジュース。たまには自分労わりなさい」
と言って、頬にジュースを頬に当てて微笑んだ。
もちろん返答は
「あ、ありがとうございます」
と澄ます。
しかし心の中では
(ふわぁぁアア!今ぴとってやった!ジュースでぴとって!!!)
といった感じに舞い上がっていた。
(もぉーーーーーー好き!好き好き大好きぃ!今すぐに甘えたいいい!)
……振り返ればあれだけど、よくあっさりした態度が取れていたなと思う。
こんなに好きなのに、突き放さないといけないなんて…辛いなぁ…。
そう思いながら、先輩から渡されたエナジードリンクを一口飲み込んだ。
いつも飲んでるその味は、今日は少し酸っぱくて。少し顔をしかめてしまった。




