プロローグ 告解
私は致命的に間違えた。
私の選択が……いや、何も選ばなかった消極が、総てを壊した。
こんなことになるなんて思いもしなかった、などとは言えない。この可能性があることをわかった上で、私は何もしなかったのだ。
言葉で警告する以外、何も。
まるで覚悟が足りていなかった。魔女に託されたこの楽園を、私が、私こそがこの手で護るのだという意思が、決定的に不足していた。
その結果が、怠惰の代償が、この事態だ。
だから。
だから、私はその選択をやり直す。
なにもかもを無かったことにして、今度こそ、選び取る。
傲慢? 非道? 独善? そんなことは承知の上だ。それで彼女たちが泣かずに済むのなら、その程度の罪などは易いものだ。他に手段が無いのならば……私は、もう、迷いはしない。
同胞を護るため、必要なことはなんでもすると決めた。
だから、私は魔王で良い。
人間が我らを魔と呼び、蔑み、貶め、辱めるというのなら――私は魔の王として、らしく在るまでだ。
ただ静かに隠れ住むだけの同胞を狩りだし、それを正義と嘯く人間に鉄槌を。一度くらいは、すり潰される側に立ってみれば良かろう。
怪物相手なら何をしても良いと考える愚か者は、逆もまた真であるとは考えないのだろう。相手が真に怪物であるのなら、何をされてもおかしくはないのだと。
奴隷として虐げられ、家畜として消費され、害虫として叩き潰される。そのような扱いが望みだというのならば、私がそれを叶えよう。
私が。
私、だけが。
優しいひとたちは、優しいままでいてくれれば良い。
適材適所、というやつだ。
元よりこの身は罪にまみれている。手を汚す、などと言う以前に、既に全身泥まみれだ。汚れ、穢れ、濁り切っている。
だから。
――私だけが、魔王で良い。
この語り部はまたやらかしました。二章でも不穏な導入です。
それと章タイトルが予定と変わっています。一章と繋がりを持たせるため、色を入れることにしました。




