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色彩の無い怪物は  作者: 深山 希
第一章 元色と熾紅
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閑話 聖なるかいぶつ

 聖炎騎士団――浄化の炎と云うその名を、皮肉に感じるようになったのはいつからだろうか。少なくとも最初は、興奮に頬を紅潮させるその新入りと同じように考えていたはずだ。


「配属早々、聖務に就けるなんて光栄です!」


 スピネルという名の新人の態度に、苦笑を漏らすのは自分の他にもう一人。一番付き合いの長いそいつとは『聖務』の皮肉についても語り合っている。


 ――無抵抗な人間を殺す聖なる任務。もう笑うしかない。


 そう。抵抗してくれれば、まだ良かったのだ。なのに、怪物と呼ばれるそいつらは、抗うことなく、粛々と命を擲つ。さながら殉教者の如くに、だ。

 あれはたまったものではない。


 命を懸ける者、であれば戦いを生業としていれば見慣れていることだろう。愛する誰かのため、家族のため、或いは国家そのものや、誇りのため、兵士や騎士は命を懸ける。


 けれどアレは、アイツらは違うのだ。

 その身に宿すちからが危険だから、世界にとって有害かもしれない・・・・・・から、そんな理由で命を『棄て』られるのだ。


 それはもう、ヒトの在り様ではない。


 なるほど、無彩色のアイツらは怪物なのだろう。


 アレは。聖なる怪物だ。


 そんなことを思うようになって以来、魂の色彩が濁り始めた。

 もう、自分がいつまで『聖務』に耐えられるかわからない。


 この国ではありふれた名となった、スピネルの名を持つ少年が、そのまま狂信者となるのか、自分たちのように魂を濁らせていくのかはわからない。


 どちらがより幸せなのかも、わからない。

余裕がなければやらないつもりだった閑話です。連投します。

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