第十九話 違う環境、違う文化
カリフォルニア・・・。
明るいな・・・。
ぼくは到着早々街中をひとり歩いていた。
言葉の通じないドイツに行ってから感覚が麻痺してきたのかな。
初めての街でもあまり気にしなかったし、母さんもも「気をつけてね~」と相変わらずの反応だったしね。
そして街中で人の声に釣られていった先はバスケットのコートだった。
所謂ストリートバスケと思っていたけれど・・・。
いろんな肌の色の人がボールを追いかけていた。
学校の体育の授業でやる程度だったバスケ。
簡単なルールぐらいしかわからない。
そして、ぼくはドリブルが出来ない。
リズム感がないわけではないのだろうけれど、ドリブルすると手と足がばらばらになるからバスケに興味が湧いたことはなかった。
でもね、スポーツは見るの好きだ。
特に攻守がめまぐるしく変わるスポーツは好きだ。
もうすごいね。
ぼくの目からしたらプロかってぐらいのバスケ。
ダンクまで決めているよ・・・。
それから数日そのバスケットコートに通った。
ただ見るために。
「お前、中国人か?」
突然、話しかけてきた少年がいた。
多分、少年だ。
だって身長180センチはあるよ。
「いや、日本人」
ドイツでコミュニケーション苦労したため、みんなが片言の英語で話ししてくれたお陰か英語での答えは返せた。
「バスケやるか?最近見に来ていたよな」
「いや、バスケってやったことない」
「「マジか!!」」
どうもバスケをやらない人間=人間じゃね~みたいな空気が流れた。
「授業でやったぐらいしかないんだ」
その空気に負けて答えた。
「まあ、日本人だしな~」
ムッときたよ。
日本人代表して馬鹿にされたようで。
代表していないけれど。
「小学生か?」
ムムッときたよ。もう。
「中学生だよ!」
なんだよ、そのちいせえなぁ見たいな目つき。
それがマイクとの出会いだった。
それから誘われるままにドリブルの練習から始めた。
腰を落として両手でドリブル。
それから歩きながらドリブル。←これが出来ないぼく・・・。
ストップアンドゴーのダッシュ。
ストリートバスケをやっている人たちだよね?
1週間が経ち、2週間が経ち、1ヶ月が経ったころぼくは普通の人並みのドリブルが出来るようになった。
人並みって言ってもフェイントなんて無理だったけれど。
その間も、マジメな基礎トレーニングをしているマイクたち。
理由があった。
コートを優先的に使うために試合で決めているからだった。
漫画の世界みたいとか思っていたけれど、彼らは真剣だった。
基礎トレーニングをしているときは別のグループがコートを使っていただけ。
そして彼らは強かった。
「俺さ、将来NBAでプレイしたいんだ」
そういうマイクはぼくより2つ上だった。
ハイスクールのバスケは弱いらしい。
ただ、だらだらとやっているだけで、隣のハイスクールが強くいつも負けている。
ストリートバスケでも続けていたら誰かの目に留まってチャンスが来るかもしれないと。
真剣だった。
ぼくのストリートバスケのデビューはそれから半月した頃だった。
マイク曰く「ミズホはポイントガード向き」らしい。
でも、ドリブルがヘタなぼくは実際にはポイントガードなど出来ないから使えないだろうというと「ミズホって周りをよく見ているからね」と。
ボールが来たら奪われるのが嫌ですぐにパスを出していた。
ワガママな連中が多い中、パサーは貴重だと。
それだけの理由で翌月のコートの使用優先を決める試合に出た。
マイクは身長があるのにポイントガードだった。
「だからミズホには同じ匂いがしたんだ」だって。
ぼくはマイクの月のように周りをカバーした。
マイクのプレイは派手ではないけれど光っていた。チームの太陽のように。
チーム内でも中心プレイヤーだったから相手のマークも厳しかった。
自分の技術だけで突破も出来るけれど、確実な勝利のためには限界があったと。
マイクは囲まれるとぼくにパスを出す。
ぼくはすぐにフリーの仲間にパスを出す。
ニタリと笑うマイク。
シュートを決めて喜ぶ仲間。
ただ単にぼくはドリブルしたくないだけなんだけどね。
試合は大差で勝った。
「ミズホって月というよりマイクの人工衛星だよな」
チームのポイントゲッターのトミーに言われた。
仲間になったと感じた瞬間だった・・・。




