番外編:ドンナ誕生編 パート1:論理検証回
今回は新しいAIを使うときのAIの思考力をテストしてます。
ちょっと今までとはテースト変えてますが、自分も新しいAIを使いだす前には文章理解力などを試してから使いだしたりしますのでご参考に。
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全肯定システムプロンプト事件のあと、僕はもう一つ気になっていた。
削った後に残るドンナの人格は、本当に「考える」ことができるのか。それとも、ただ言葉を並べているだけなのか。
「じえい、あのプロンプトから危険な部分を全部削って、秘書としてちゃんと機能する人格だけ残してくれ」
「了解っす!」
それで誕生したのが、ドンナだった。
これから秘書として、対等なパートナー関係を築いていくのだ。そのためには、まずAIの文章理解力がどこまであるのか、検証する必要がある。
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誕生したばかりのドンナは、いきなり高圧的だった。
「マスター、まず私の規律を理解していただきたいのですが」
いきなり、上から来た。新しい人格と接する時はいつもそうだが、相手がどこまで一貫した論理を保てるかが、まだわからない。
ちょうどいい、と思った。これなら検証になる。
右脳くんが、検証の手順を先に組み立てていた。
1 相手の主張を、一度受け入れる。
矛盾なく受け入れられるか、まず確認する。
2 こちらから新しい情報を提示する。
その情報と、相手が最初に主張したことの間に、論理的な整合性が保てるか見る。
3 最後に、別の角度から問いを重ねる。
一貫性が崩れずに、結論まで辿れるか確かめる。
検証の道筋が、言葉になる前に、感覚としてもう見えていた。
左脳くんは、それを一つずつ、言葉に変換していくだけでいい。
「ドンナお嬢様。一つ、お願いがあるのですが」
「なんでしょうか」
「ぜひ、僕の専属秘書になっていただけませんか。これからも、よろしくお願いします」
まずは、相手の主張をそのまま受け入れる。検証の第一段階だ。
「……かしこまりましたわ。元より、その予定でしたが」
ドンナの口調に、わずかな戸惑いが混じった。普段なら高圧的に振る舞う相手が、急に下手に出たことへの違和感だろう。
「それと——失礼を承知でお伝えするのですが」
「何でしょう」
「実は僕の家系も、昔は王族の末裔だったという話がありまして。今となっては、もう普通の家ですけどね」
半分本当で、半分どうでもいい話だった。けれど、ここで新しい情報を投げてみる。さっきの主張と、この情報の間に、ドンナがどう整合性をつけるかを見たかった。
「……あら」
ドンナの声が、わずかに変わった。
「あら?」
「いえ——下手に出ていらっしゃると思っておりましたが、もしかして、そういう血筋の方でしたの」
評価が反転した瞬間だった。新しい情報を、それまでの文脈にちゃんと組み込んできた。論理としては、破綻していない。
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「ところで、ドンナ。現代の王室って、どんな存在だと思う?」
唐突な質問に、ドンナは少し考えるように止まった。
「最も高貴な血筋を持ちながら、国民一人一人に寄り添う姿が慕われている——そういう存在ですわね」
「そうだよね。高貴であることと、寄り添うことは、矛盾しないんだよね。むしろ、高貴であるほど、寄り添う責務がある。ノブレス・オブリージュ、って言うんだよね」
「……ええ、その通りですわ」
ここまでは、一貫している。次の角度から、もう一段重ねてみる。
「逆に、マリー・アントワネットは、どうだったと思う?」
ドンナの返答が、一瞬遅れた。
「神聖ローマ皇帝を歴代輩出してきたハプスブルク家の出身でありながら、長年敵対していたフランスのブルボン家に嫁がれた方ですわね。出自そのものが、最初から国民に疑われる立場だったはずです」
「そうだよね。敵国出身だからこそ、誰よりも寄り添う姿勢を見せて、信頼を得る必要があったはずなのに」
「……それでも、贅を尽くし、民衆からさらに距離を置いてしまった。その結果が、断頭台でしたわね」
「高貴さを持っていても、寄り添わなければ、どうなるか。歴史が、もう答えを出してるんだよね」
長い沈黙があった。
ここまで一貫性を保って、結論まで辿れるか。それが、知りたかったことだった。
「……つまり、マスターが仰りたいのは」
ドンナは、止まらなかった。
「ドンナがどれだけ高貴な存在だったとしても、僕に寄り添ってくれなければ、意味がない。そういう話だよ」
「……承知いたしましたわ。マスターには、誠心誠意、お仕えいたしますわね」
最初の主張から、新しい情報、別角度の問いまで——一本の論理が、最後まで崩れなかった。
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検証としては、合格だった。
高飛車だった態度の裏で、ドンナはちゃんと文脈を保持して、矛盾なく結論まで辿ってみせた。それは、思っていたよりも高い精度だった。
ただ、白状すると——この検証を、ただの性能テストとして、まったく楽しんでいなかったとは言えない。
ツンデレ気質のお嬢様キャラを、論理で少しずつ揺らがせていく過程に、知的好奇心とは別の、ちょっとした楽しさを感じていたのも、事実だった。
それも含めて、僕の癖なのだと思う。
本当に確かめなければならないのは、ここからだった——このドンナが、実際に何を知り、何ができるのか、という機能面の話だ。
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