表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/52

第41話 衝撃です!

「ノアは今どこにいる?」


低く、しかし強く押し出されるような声だった。

先ほどのように乱暴に掴みかかってくることはない。それでも青年の目は明らかに異常で、焦点が定まりきっていない。血走った瞳が、逃げ場を探すように天空神の顔を射抜いていた。喉の奥で押し殺したような呼吸音が、かすかに震えている。


その執着は、ただ事ではないと一目で分かるものだった。


「ノア……ノアかぁ……」


一方で、問われた天空神はというと、顎に指を当て、どこか間の抜けた顔で首を傾げている。視線は宙をさまよい、まるで記憶の引き出しを雑にひっくり返しているかのようだった。


「……誰?」


空気が、一瞬で凍りついた。


「お前いま箱舟の話してただろ!?」


青年の声が一気に荒くなる。額に青筋が浮かび、苛立ちと焦燥がそのまま言葉に滲んでいた。そんな様子を見て、翔も思わず顔をしかめる。さすがに今の流れで分からないのはどうなんだ、という呆れが隠しきれていない。


天空神はその視線を受けて、ようやく「あっ」と小さく声を漏らした。次の瞬間、ぱっと表情が明るくなる。


「あ〜!!ノアくんね!」


思い出した、というよりは今ようやく繋がった、といった顔だった。


「ここ数百年は浮世では見てないから、天界なんだろうね」


あっけらかんとしたその一言に、青年の表情がぴくりと歪む。


「浮世……天界……?」


聞き慣れない言葉を反芻するように、ゆっくりと口に出す。眉間には深い皺が刻まれ、口元は引きつり、乾いた唇がわずかに開いていた。理解が追いついていない苛立ちと、不安が混ざり合っている。


「天界ってなんだ?」


その問いは、疑問というより確認に近かった。だがその言葉を聞いた瞬間、今度は天空神の方が明らかに動揺する。


「……え?」


目を丸くし、まじまじと青年を見つめる。まるで信じられないものを見るような視線だった。


(ルールの代理人の“使者”なのに……?)


言葉には出さないが、その違和感ははっきりと空気に滲んでいた。


青年はそんな視線に気づいたのか、ばつが悪そうに頭を掻く。指先が髪を乱暴にかき混ぜる。


「俺、長く生きすぎてさ……昔の記憶とか、結構抜けてんだよな」


自嘲気味に笑うが、その笑みはどこか空虚だった。大事なものが抜け落ちている自覚だけが残っている、そんな顔だ。


天空神は少しだけ表情を引き締め、問いを変える。


「……ノアっていう子がいなくなったのは、いつ?」


青年は視線を落とし、ほんの一瞬だけ迷うような間を置いたあと、低く答えた。


「……随分前だよ。……三千五百年前だ」


その数字が空気に落ちた瞬間、天空神の瞳が大きく見開かれる。


「え!?そんなに!?」


素っ頓狂な声が思わず漏れる。驚きがそのまま顔に出ていた。


神の任期は基本的に一億年単位。

それに比べれば三千五百年など一瞬に等しい。しかしそれが人間ならば別物だ。

そして三千五百年前はルールの代理人が罪を犯した年。


(その時期……まさか……)


脳裏に一つの可能性が浮かぶ。


(ノアが……二代目ルールの代理人……?)


確信には至らない。だが、辻褄は合い始めていた。


天空神はゆっくりと顔を上げ、青年をまっすぐ見つめる。


「……君、天界に行かないの?」


声は落ち着いているが、その奥には確かな意図があった。


「ノアくん、多分そこにいるわよ」


その言葉を聞いた瞬間、青年の目がわずかに揺れる。忘れていた何かに、無理やり触れられたような反応だった。


「あ……」


小さく声を漏らし、眉が寄る。


「……思い出した」


断片的に記憶が繋がっていく感覚。だが同時に、顔にははっきりとした苦さが浮かんでいた。


「でも俺、使者だけど……行けないんだよ」


「なんで?」


即座に返す天空神に、青年は一拍置いてから答える。


「……壊れたんだ」


その言葉はやけに重く、地面に沈むように響いた。


「何が?」


翔も思わず口を挟む。嫌な予感が、じわじわと広がっていた。


青年はゆっくりと顔を上げる。どこか諦めたような、しかし未練を断ち切れていない目だった。


「ノアの――箱舟」


一瞬、理解が追いつかなかった。


天空神と翔の顔に、まったく同じ「?」が浮かぶ。ここはただの島だ。見渡す限り、巨大な船影など存在しない。ましてや“天界”と繋がるような代物など。


だが青年は、そんな二人の反応を見て、呆れたように鼻で笑った。


「お前……五大神のくせに知らねーの?」


軽く肩をすくめ、次の瞬間、はっきりと言い切る。


「ノアの箱舟はな――天界と浮世を行き来できるんだぜ?」


その言葉は、雷のように二人の思考を打ち抜いた。

おまけ


その後の2人の反応

「えぇ!!??!?」という感じです。

神は基本自分の仕事しかしないので浮世で起きてることは自分関連の出来事じゃなければ知りません。

(例)天空神の場合

重力の重さと天気はある程度地球全体のバランスを見て調節してる!!だけどそれ以外は何も分かりません!

なのでノアの箱舟の話も創造神から聞いた事しか分からないよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ