第22話 恐怖
「ちょっとあんたたち……何やってんのよ!!」
ピンク髪の堕天使が叫んだ。
だが返事はない。
融合堕天使は気絶し、地面に沈んでいる。
「話しかけたって無駄よね……気絶してるんだから!」
彼女は怒鳴りながらも、声が震えていた。
「狙いは天空神だけなのよ!? なにをそんなに手こずってんのよ!
合体までして勝てない相手なの!? ……ありえないでしょ!!」
天空神は眉をひそめた。
仲間が気絶しているのに、この堕天使は一切心配していない。
いや――違う。
(……こいつ、怖がってる……?)
堕天使の言葉の端々から滲むのは、苛立ちではなく恐怖だった。
「私たちは……捨て駒なの!!」
ピンク髪は必死に叫ぶ。
「ちゃんと出来るって証明しないと……私が処分されるの!
証明しなきゃ……私が……天空神を殺せるって!!」
その声はもはや悲鳴に近い。
天空神はゆっくりと歩み寄り、冷たく問いかけた。
「答えなさい。――誰が黒幕だ」
「言うわけないでしょ!!」
ピンク髪の堕天使が吠える。
だが内心では焦燥が渦巻いていた。
(もう……戦えるのは私しかいない……! こいつを殺さなきゃ……殺さなきゃ……!)
天空神の瞳が光を帯びる。
再び低く、しかし圧倒的な威圧で問うた。
「……もう一度聞く。誰が黒幕だ」
圧迫感。
それは言葉ではなく、存在そのものから滲み出す威光。
ピンク髪の堕天使は、呼吸すら忘れるほどに押し潰されていった。




