第21話 違和感
「しかし……お前、相当な大怪我なのにまだ動けるとはな」
(あったりめぇだろクソ堕天使ィィ!!
こちとら肺に肋が刺さって血が逆流してんだわ!!
息するたびに地獄の痛みなんだよ!!)
肋骨折──現5本。
鼻血。吐血。頭部出血。
満身創痍。
それでも立っているのは意地と矜持、神の名を背負う誇りだけ。
一方の堕天使は融合の力で回復能力を増していた。
裂けた肉は瞬時に閉じ、焦げた肌も新しく塗り替えられていく。
「どうだ? 絶望したか? これが俺たちの“真の姿”だ!」
双声のように重なる堕天使の声。
天空神は血を拭いながら、低く笑った。
「絶望ぉ? ……そんなもんとっくに通り越したわ」
(まだ……終われない……!)
瞳が見開かれる。
「私は――天空を司る神だ」
全身から蒼き雷光が噴き上がる。
潰れかけていた左眼にも、蒼い光が宿った。
堕天使が一歩退く。
「な、なんだ……この力……!?」
天空神は大地を踏みしめ、天を睨む。
「これが――渾身の一撃だッ!!!」
拳が振り下ろされる。
轟音が天地を揺らし、爆風が空間を引き裂いた。
「ぐ、あああああああっ!!!」
堕天使は壁ごと吹き飛び、肉体がめり込み、攻撃すらできず叩き潰される。
爆音。雷鳴。
そして、絶対的な静寂。
天空神はもう一度、渾身の一撃を叩き込んだ。
グーパンで。
轟音を上げながら殴り飛ばされた堕天使の先には――
……意外な人物。
「どうしたの!?天空神さん」
そう、平和神がいたのだ。




