第20話 走馬灯
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融合堕天使は、六枚の黒翼を広げて嘲笑った。
「これが俺たちの本当の姿だ。神だろうと抗えねぇ!」
瞬間、天が割れる。
斬撃とも衝撃波ともつかない黒の奔流が天空神を襲った。
「くっ……!」
身をひねって避けるも、肩口を裂かれ、鮮血が飛ぶ。
次の瞬間には背後。
「遅い!」
背骨を抉るような蹴り。天空神の身体が宙を舞い――
――ドガァァァンッ!
地面が陥没し、周囲の建造物が崩れ落ちる。
天空神は立ち上がるが、息は荒い。
(……速い。融合前よりも、圧倒的に……!)
「どうした天空神! さっきまでの威勢はどこ行った!」
「俺たちの力の前じゃ、貴様はただの餌だ!」
無数の黒翼が槍となって突き刺さる。
天空神は必死に回避するが、腕や足に次々と傷が刻まれた。
さらに拳が腹を撃ち抜く。
「ぐっ……!」
血を吐き、膝をつく天空神。
その目に、勝ち誇った笑みを浮かべる堕天使。
「終わりだ、天空神。神の時代は俺たちが終わらせる!」
――その時。
視界が滲み、世界が白く揺らいだ。
天空神の意識が遠のく。
(……ああ……これは……)
⸻
過去の記憶がフラッシュバックする。
これが走馬灯というものだろうか。
天界の皆の顔。翔の顔。神たちの姿。
その中で天空神はある記憶を呼び起こした。
「またきっと会えるわよ。だから泣かないで」
──誰だ?
どうして私の記憶にある?
いや違う。これは私の記憶だ。
いや私の魂の記憶だ。
「だから私の事忘れて」
誰だ?
「これは契約よ。私が貴方の事を守ってあげる。だから貴方の1番大切な記憶をちょうだい」
「100年だって200年だって守ってあげるから!!だからお願い!私の事忘れて!」
誰?この黒髪、まさかっ
その衝動で、彼女は気絶から目覚めた。
この間、わずか0.1秒。
⸻
「もう目覚めたんだな。さすがは神と言ったところだ」
融合堕天使が不敵に笑う。
天空神は吐血しながらも口角を上げた。
「神おちょくってんじゃないわよ」




