100万人記念特別コラボ配信! 17
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遺跡の最奥まで来たというのに、逆にゾンビは少なくなっていった。それはつまり、ゾンビは何かを守ろうとしていたわけではなく、行動原理は別にあるということだ。
であれば、壁に穴をあけた途端に私達に向かってきたゾンビ達は、何を求めていたのか……。
その行動を、『私達に向かってきた』ではなく『穴から外に出ようとしていた』と考えれば合点がいく。
つまりゾンビはたまたまそこに空いた出口に向かっていただけだったのだ。
「ほぼ一本道なのがラッキーだったアルね!」
「でも結構時間が経ってるから何体外に出てるか分からないぴょん!」
「巣穴を突いて放置ってなると、多方面に問題が発生しますね……!」
憂炎さん達と口々に話しながら、一目散に出口に向かって疾駆する。
一体一体は比較的弱いとはいえ、最深部まで行くのに道中のゾンビを倒しつくしたわけではないし……他の道にも大量のゾンビがいただろう。
すると、今頃どれだけの数のゾンビが外に出てるのか……あーっ! 日差しに焼かれて消滅とかしてくれたら楽なんだけどなぁ!
「なんて言っても仕方がないし……」
……結局、あのゾンビの正体は何だったんだろう。肉とか骨に継ぎ接ぎされた跡があるのだから、確実に誰かが手を加えたのだろうけど……。
あれほどの数がいるんだから生半可な意志ではないだろうし、出口が開いた瞬間に外に出ようと殺到するだなんて、よほどあの場所に居たくなかったのだと考えられる。
『胎動する世界樹』と繋がっているんだし、エルフ関係なのは確実なんだけど……
「うーん……これはやっぱり『アーカイブ』に丸投げ案件かな……」
「カローナちゃんは余裕があるアルね!?」
「まぁ素のAGIがかなり高いしね」
とはいえ私だけ先行しても仕方がない。
私達はとにかく外に向け、ひたすら走り続けるのだった。
♢♢♢♢
ぶち破った壁を潜り、遺跡の正規の出入り口へと向かう私達。
足跡もぼろ切れも……何ならゾンビの肉片も落ちてるところを見ると、外に出てしまっていることは間違いないようだ。
「んっ……?」
「カローナちゃん、どうしたアルか!?」
「モンスターの鳴き声が聴こえたわ。もしかしたら遺跡の周りに何かいるのかも……」
もしかして、外に出てきたゾンビを狙って他のモンスターが寄ってきた? それなら逆にラッキーなんだけど……ゾンビが遠くまで行かないからね。
ただ、ティラノサウルスぐらいの相手ならいいんだけど……今の鳴き声、ゾンビでも恐竜でも無かったように思ったけど……。
「外に出ますわっ!」
「っ……!」
セレスさんの声が届くと同時、魔法の光ではなく太陽の明かりが私達を包み込む。そこに広がっていた光景は───
「おいおい……これならまだ大量のゾンビの方が良かったぞ」
「この威圧感……どう見ても特殊個体ですわね……」
「と言うか他人事じゃないわよ。あの刻印……私と同じ模様だもの」
周囲に散らばるのは、数えきれないほどのゾンビの破片と、ティラノサウルスにトリケラトプス……その他複数の恐竜の肉片。
その中心に堂々と立ち、ゴリゴリと音を立てながらティラノサウルスの後ろ足を噛み砕く異様なモンスターは、間違いない。
私の……と言うか、女王蜂の系譜……!
『ユニークモンスター: ゲルナグラン・ディアボリカ──"女王隷属"が出現!』
・ひぇっ
・なんかあのカマキリ、ヤバくね……?
・女王隷属!?
・ティラノサウルス食ってるように見えるんだけど……?
・トリケラトプスも狩ってるような……
・あの爆撃蛾と同じ系列やんけ!
あーっ! やっぱりね!
アナウンスによって明かされたそのモンスターは、『ユニークモンスター』であるだけではなく、『女王隷属』なんていう二つ名までついている。
女王とは、間違いなくあいつだ。私の頬にも刻印を付けた、目下最強と謳われるアナザーユニークモンスター……『邪龍魔皇蜂──"女帝"』。
レベルが300近いあいつの眷属が、弱いわけがない。
「おい、あいつレベルが170越えてないアルか……?」
「明らかに別格ですわね……」
「恐竜以外のモンスターもいるぴょん……?」
「いえ、昆虫系のモンスターは本来『極彩色の大樹海』にいるのがほとんどですわ」
「ってことは、あの化け物カマキリは十中八九エサを求めてここまで飛んできたってことね」
これだけ高レベルのモンスターともなれば、それぐらいやってのけるだろう。
恐竜を狩る昆虫とは……やっぱりアネファンは魔境か?(n回目)
「まぁでも、配信にはこれぐらいのイレギュラーは大歓迎ってことで……」
「『これぐらい』には限度があるぴょん」
「もしかして、戦う気満々アル?」
「そりゃあね、私にとって女王蜂はただならぬ関係だし……」
具体的に言うと、女王蜂の『因子』と私の『ファンタジア』をお互いに交換するぐらいの関係だ。
あれ? つまり同じ血が流れる姉妹的な……?
なるほど、だからこのカマキリや爆撃蛾は、女王蜂に近寄る羽虫ってことで───
「そんなの、お姉ちゃんは許さないわよ……!」
「バカなこと言ってないで、来るアルよっ!」
「キュルルルルルルルルルッ!」
ゲルナグラン・ディアボリカの声が響き───なんとも締まらない雰囲気で戦闘が始まった……!
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