98.叔母、くる。
久しぶりの更新です
祖父が作った昼食を済ませ、母がいれたお茶を飲みながら3人でまったりしていると、急に空気が重くなったように感じ、窓に目をやると、窓の外からは厚い雲が浮かんでいるのが見え、どんよりと重苦しい。
「嵐になりそうだね」
「まぁ、では外の飛びそうな物を片してきますね」
「あ、私も行くよ」
「私は動物達を見てこよう」
手分けして嵐の前の準備を終えるやいなや、稲光が走り強い雨が降り出した。
「危なかったね。さぁ戻ろう」
濡れてしまったので、母にタオルで頭をゴシゴシしてもらっていると、表の扉が強く叩かれた。
「こんな天気の中誰かしら?」
「何かあったのかな?急ぎの用だろう。」
祖父が少し慌てた様子で扉を開くと強風でドアが全開になった。
ピカッ!! ドーン
雷光に照らされ逆光になってもわかる、その人物は...
「叔母さん」
「アビィ...」
祖父も唖然としている。雷は近くに落ちたようだ。
♢
「暴力はいけませんよ」
母が叔母に打たれた頬をタオルで冷やしている横で、祖父が叔母さんに厳しい顔でお説教をしている。
そう、母は叔母に引っ叩かれていました。
平手打ちなのにかなり吹っ飛んでいました。
叔母さん、力強いよね。
「ごめんなさい...」
「ジョンさん、いいんです。当然です。打たれて良かったです」
祖父に叱られてしょんぼりとしている叔母さんを母が庇っている。
「少し、2人で話してもいいでしょうか?」
「もちろん、かまいませんよ。暴力はダメですからね。」
祖父は再度、叔母に念を押す。
叔母は小さい声で「はい…」と返事をすると、母に促され以前は客間だった母の部屋へと向かった。
私は手持ち無沙汰だ。
「...お祖父さん、キャンディでも一緒に作ろうか?」
「それはいいね」
私たちが今から作るのは、異国から来たのに、我が国の伝統菓子です。みたいな顔してるあいつ。
っていってもわからないよねぇ。
今から金平糖を作ります。
叔母と母をみてたら、お菓子言葉が思い浮かんだんだよね。
お菓子にも言葉をつけちゃうなんておかしいよね。
(お菓子だけにね…ごめんなさい。)
金平糖のお菓子言葉は永遠の愛や、長い時間を共に過ごす。
ついでに家庭円満のご利益もあるらしい。
「お祖父さん、砂糖とお水を火にかけて溶かしてくれる?小さい鍋に一杯!」
「よし、任せておくれ」
金平糖はザラメを芯にして、糖蜜を絡めてつくるんだけど、ザラメがないのでケシの実を使います。
糖蜜を作ったら、平鍋に入れたケシの実全体に糖蜜をかけて、くっつかないようにひたすら混ぜる。
蜜が固まったら、再び糖蜜をかけて混ぜる。
固まったら混ぜる。
これを繰り返していくと、だんだんとトゲトゲができてくるんだ。
この作業は根気がいるので、祖父と交代でやっていく。
混ぜている時にザザっ!ザザっ!と波のような音がするんだよ。
昔売っていたような金平糖の半分くらいの大きさにしかならなかったけど、可愛いトゲトゲ達が出来上がった。
「こんなに小さいのに、作るのが大変だったね」
「そうだね。苦労した分可愛く感じるね」
祖父の口に金平糖を入れてあげる。
金平糖を作るのに随分時間がかかったので、2人の話し合いは終わっていたようだ。
降りてきていたのに気が付かなかった。
「すごい音がしてたわよ」
「何をしてたんですか?」
もうすっかり普通の二人だ。仲良しさんみたい。
「トゲトゲのキャンディだよ。食べてごらん」
祖父に勧められて、2人とも金平糖を口に入れる。
「不思議な歯応えですね。優しい甘さ!」
「なんだか、人間の食べ物じゃないみたいですね。妖精のおやつかしら?」
あら、母がメルヘン。
「このキャンディの精もいるんだよ」
「?そうなのね」
聞き流されちゃったね。
「なんだか懐かしいような気分になるわ」
懐かしい感じがするよね。私もする。
みんなでカリカリ、ホロホロしているとあっという間に金平糖は無くなってしまった。
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