50.米! (25日目)【白ごはん、唐揚げ、目玉焼き、天津飯、鳥モモのガーリックソテー、焼きナス、チーズINサラダ、スポンジケーキ、クリームチーズ(カッテージチーズ)】
とうとう米です!
まったく意図していないにも関わらず、ちょうど50話に来るとはびっくりです。
久しぶりの料理パートです。苦手な方は流し読みorスルーしてください。
ダンジョン組の能力開発が終わりを迎えそうなある日の夜。
異空間部屋に来た私は、ニルヴァス様から告げられた言葉を脳内でリフレインさせていた。
ニルヴァス様が指し示した所には、重そうな布袋が置かれている。
「…米? ……今、米と言いました?」
そう、ニルヴァス様は「米を持ってきたのである」と言ったのだ。
脳内でグルグル回り続ける「米」と言う文字が、やっと白い粒の映像と繋がった。
薄めの布袋を押し上げるあの小さい粒の形、確かに米に思える。
期待をして覗いたら、「実は間違いでした」なんて事はよくある。今まで生きてきた中で、散々それは学んできたのだ。
ほら、メンチカツだと思って買ってきたら、実は普通のコロッケだったとか。(段違いのを間違えて買ってきただけ)チョコレートコーティングされた美味しそうな通販のケーキが、切ってみたら見るからにパッサパサの生地でがっくりきたとか。(写真に騙されてはいかん!)
だから、私が喜びの雄たけびを上げるのは、ちゃんと確認が済んでからなのだ。
慎重に布袋に近付いて、ゆっくりと袋の口を開ける。白い粒だ。
ひとつまみ取って、手のひらに載せてじっくりと観察する。うむ。見間違うことなく。
「米だぁあ~~~~~~ばんざ~~~~~~~~~~い!!!!!」
お米を握りしめて叫んだ。 だって念願のお米だ! お米だお米だお米だぁ~~~~!
米をゲットした私は、すぐにお米を食べるための準備を始めた。
米を計量カップで180CCまで入れて、それを3杯すくって洗って、鍋に入れる。それを2つ作った。合わせて6合だ。
そこに水を入れて放置。吸水させるためである。
放置している間に、ご飯のお共を作るのだ。
まずはキュウリとナスと白菜を別々に塩と砂糖で浅漬けにし、白菜のには輪切りにした唐辛子を入れておく。
そして小鍋にケチャップとみりんと醤油と砂糖を全部同量ずつ入れて、そこに片栗粉を入れて、常にかき混ぜながら加熱する。とろみとツヤが出てきたら火を止めて「保温」をかける。
ボウルに醤油とみりんとおろし生姜とおろしニンニクを入れ、鳥モモ肉をひと口大に切って入れる。本当なら酒が欲しいが、無いので水と砂糖を少々だ。そうして揉み込んで、30分ほど放置する。
フライパンにスライスした豚バラ肉を切って並べ、塩コショウを振ってからそこにクシ切りにした玉ねぎを載せ、その上に、大きめのひと口大に切ったキャベツをわさっと載せた。そしてフタをして弱火で加熱だ。
別のフライパンを出して腸詰を並べ、フタをして弱火で加熱する。
さらにまたフライパンを出してスライスしたニンニクを広げた後、削ぎ切りにした鳥モモ肉にしっかりめに塩コショウをしてから並べる。そしてフタをして弱火で加熱する。
また別のフライパンを出し、ナスを縦半分に切って切り込みを入れて油を敷いて並べる。フタをしてこちらは弱火と中火の間くらいで加熱。
葉ネギを刻んで、おろし生姜と一緒に小皿に入れてテーブルにセットして。
野菜が足りんな。そう思ったのでサラダを追加する。
レタスを洗浄壺から引き上げ(便利だったので、こっちにも用意したのだ)、キュウリと人参とチーズを出す。
レタスはざく切りにしてボウルに入れ、キュウリと人参は千切りにして、それもボウルに。チーズは小さい四角に切って、バラバラッとかけ、全体を手でわさわさと混ぜ合わせる。
マヨネーズをかけるのが確定している時、ここに薄く輪切りにした竹輪を入れると最高なのだが、まあしょうがない。早く竹輪獲りに行きたいな!
浅漬けの味見をして塩を足したりした後、それらを器に盛って「冷却」をかけてテーブルへ。
そして米をザルにあけて水を切る。吸水は1時間くらいだろうか。
水が切れるのを待っている間に、フライパンたちの中身をチェックする。
ナスはひっくり返してまた放置。豚バラ肉と玉ねぎとキャベツの方は加熱を中火に上げて炒め、最後に肉味噌の肉を入れていない味噌ダレを混ぜて味付けをした。
それを大皿にどかっと載せて「時間停止」をかけてテーブルに持って行く。
弱火で焼いていた鳥モモ肉はいい感じに焦げ目が付いてきていた。ひっくり返して今度は中火で加熱だ。そして少しの間放置する。
さあいよいよだ。
見た目は土鍋な、本当は土圧縮で作った鍋に、「不着」「不壊」「耐熱」を。効果があるか解らないが「土鍋」も付与しておいた。それを2つコンロに設置する。
水を切っておいた米を入れ、3合の米に対して200CCの水を3杯入れた。
そしてフタをして強火で加熱だ。これでボコボコ言い出すまで放置である。
1つのコンロに常時設置してある揚げ鍋を、強火で加熱。揚げ油の用意だ。
味を付けて寝かしておいた鳥モモ肉に、片栗粉をまぶす。
油が熱くなる前にナスが焼けたので、皿に移して「保温」をかけてテーブルへ。
鳥モモ肉も出来上がった。焼いている間に出て来た鳥の脂も、余す所なく皿に盛る。
その間に揚げ油の準備が整ったので、鳥モモ肉を揚げていく。
揚がるのを待つ間に、テーブルのセットをした。
小皿を多めに用意して、フォークとスプーンと箸も用意した。
唐揚げをひっくり返して。
まだ土鍋がボコボコ言い出さない。ボコボコ言い出してからと蒸らしの時間を入れれば、まだかなり時間がある。
「う~ん」と考えて、この間出来上がったばかりの型を使ってケーキを焼こうと思い立った。
村に作ったように、ここにも作ったガラスの扉付きのオーブンの1つに「180度」で予熱をする。
2つのボウルに黄身と白身を分けて入れた。型1個につき、普通は卵を3個~4個使う。ここの卵は大きいから、2個でいいだろう。
黄身の方に砂糖の半分を入れ、泡だて器で少し白っぽくなるまでしっかり混ぜる。そこに牛乳と溶かしバターも少し入れて、さらにしっかりと混ぜる。
それが終わったら、唐揚げが揚がったので出して、次のを入れた。そして唐揚げを載せた皿に「保温」をかける。
土鍋がボコボコと言い出したので、とろ火に。一番弱い火で加熱するのだ。
確かうちの炊飯器が壊れた時にやった時は、3合で10分~15くらい? だった気がする。
15分やっておけば間違いが無いだろうか。もし焦げがひどいようなら、次からは時間を短くしていけばいいだろうと考えている。
そしてケーキ作りに戻る。
今度は白身のボウルの方を、砂糖を3~4回に分けて入れながら、しっかりと泡立ててメレンゲを作った。
はい、ここで唐揚げをひっくり返して。
黄身の方のボウルに、メレンゲの3分の1を入れて泡だて器でしっかり混ぜる。その後は、残りのメレンゲを2回に分けて入れて、その都度ゴムべら(創り出した)で切り混ぜる。「の」の字をボウルの壁も使ってしっかり書くイメージで。
そうして混ざったら、そこに壺の中で風魔法で攪拌した薄力粉を少し上から空気を含ませるようにハラハラと入れて、それも「の」の字で切り混ぜる。
その生地を「不着」「耐熱」の付与をした型に、流し入れた。
その後、布を畳んで厚くしたところに数回落として空気抜きをして、オーブンへ入れる。焼き時間は…ガラスだから見てたら判るだろう。
揚がった唐揚げを取り出し盛る。…まだ時間があるな。
よし、カッテージチーズを作ろう。
今日食べる分では無い。ケーキ生地を焼いているので、それを薄く切ったのを取っておいて、レアチーズケーキを作りたいのだ。
牛乳を1リットル鍋に入れて中火で加熱する。あったまってきたら、かき混ぜてから弱火にする。
沸騰させてはいけないので、なるべく全体の温度を均一に保つためにかき混ぜながら加熱するのである。
合間に酢を用意する。大さじ4だけ使うのだ。これをしっかりと覚えているのは、クリームチーズが高くて手が出ずに、自分で作っていたからである。
酢でなくてレモン汁の方が美味しいとは思うが、無い時は酢でやってしまう。
あったまるのを待っている間に、土鍋から少し香ばしい匂いがしてきた。時間的には14分くらい。
あと少し待つか。どうするか…。いやあと1分なら待てるさ! それぐらいなら焦げたとしても大事にはなるまい。
迷いを断ってあと60秒を心待ちにする。
え? 数えたよ? だって記念すべきこの世界で初の米だもん。秒読みしてしまうと思うよ誰だって!
よし。火を止める。今から10~15分くらい? 蒸らすのだ。とにかくめったにやらないので、うろ覚えもいいところなのだ。米と水の分量と炊き方を覚えていただけでも自分を褒めたいと思う。えらいぞ私!
液体が沸騰する手前を見計らうのは、わりと難しいと思う。私はフツ…フツ…っとなってきた牛乳をかき混ぜて、少し待ったらまたフツ…フツ…の状態になればOKだと判断している。
そこで火を止めて、酢を回し入れる。そしたら分離してくるまで放置するのだ。
待っている間に茶碗とどんぶりを用意する。
そしてフライパンに油を敷いて中火で加熱したところに、卵を1つ割り入れる。1個で目玉焼きが作れるなんて、すっごくいいよね! まずはそのままフタをして、卵の白身のフチが焦げてきた所で火を止める。あとは蒸らすのだ。
もう1つのフライパンも同じように卵を割り入れ、今度は塩コショウを振る。私は黄身に、白身より多めに振るのが好きだ。当然そうする。そして同じところで火を止めて、蒸らす。
先に蒸らしていたのを取り出して、皿に載せて「時間停止」。保温では黄身が硬くなってしまうから、絶対に時間停止だ。
空いたフライパンに、また同じように割り入れ、今度は片方だけに塩コショウを振る。お分かりだと思うが、私の分である。
なにせ晩ご飯はもう済んだのだ。ニルヴァス様と同じようには食べられない。
塩コショウを振った方も取り出し、同じようにしてテーブルへ。
今度はボウルに卵を2個割り入れ、菜箸でガガガッと勢いよく溶く。
私の分の目玉焼きも取り出し、そこにまた油を、今度は少し多めに入れる。そして強火で加熱。
卵を溶いた菜箸を入れて、ジュワー! と勢いよく言ったらOKだ。
そこに溶いた卵液を勢いよく流し入れる。
卵液のフチが、すぐに火が通って固まるのだが、油が多いので揚がっているのだろうフワフワに膨らんでくる。それを菜箸で真ん中にサッサッと寄せると、真ん中へんの火が通っていない卵液が、外に向かって流れていき、同じようにフワフワになる。
後は好みでそれを止めて、お皿に盛った米に載せれば天津飯である!
米がまだなので、そのフライパンに「時間停止」をかけるのだ。
ほんと、順番を無視できるって、時間短縮になるよね! 段取り的にも本当に助かる。
さてと。いよいよ土鍋のフタを開ける時が来た。
鍋掴み代わりの布でフタを持ち、ゆっくりと開ける。
ぶわりと米の匂いに襲われて。
や、やばい! 鼻の穴が広がっていくのが、止められない~~~~~!!
未だかつてないほど鼻の下が伸びて、穴が広がっていく感覚があった。こんな顔、誰にも見せられんと思うのだが、どうあっても止められないのだ。
吸い込めば吸い込むほど、脳みそが「ファ~」となって、意識を持っていかれそうになってしまう。
過呼吸の時や、塩分が足りていない時の感じだな、コレは…。
「ヨリ…ヨリ! …ヨリ!! これヨリ!」
「ファ?」
…気が付けばニルヴァス様に肩を揺すられていた。あれ? 私は横になっていた。テーブルと椅子の脚が見えるのだ。
ん? まさか米の匂いに倒れたというのだろうか。
「えーと、ニルヴァス様、私どうなったんでしょうか?」
「フタを持って動かなくなり、その後倒れたのである」
どこも痛くないということは、ニルヴァス様が助けてくれたのだろうか。…いや服に「対物障壁」「衝撃無効」付けてるから、そうとも限らないな。
ニルヴァス様の顔を見上げると、心配そうな顔をしていた。
「大丈夫です。たぶんですが、米の匂いが余りに久しぶりで、気持ち良くなり過ぎてしまったんだと思います」
そう言って身体を起こした。床に転がっていた土鍋のフタを拾う。
不壊を付与していて心底良かったと胸を撫で下ろした。
うむ。身体に痛い所は無いし、気分も悪くない。米はちゃんと白く光り輝いて「私を食べて」と誘っている。
「さあ、食べましょう!」
木しゃもじを握りしめて、心配気なニルヴァス様に、何事も無かったかのように笑顔で宣言する。
…食べ物の匂いで気を失うとか、めっちゃ恥ずかしいから無かった事にして欲しいのだ。しかも、あり得ない程のアホ面をしていただろうなと思うし…。
ニルヴァス様には記憶の彼方に葬り去ってもらいたい! それには料理を食べさせるのが一番だ!
大皿にご飯を平らになるように盛り、そこに天津飯用の卵を載せて、作っておいたケチャップダレをしっかりかける。そして大き目のスプーンを添えてニルヴァス様の席の真ん前に置く。
中くらいの少し深い皿を3つ出し、それぞれに平らにご飯を盛って。
ニルヴァス様用の2枚には、それぞれ目玉焼きを載せる。
私のは載せない。なぜなら先に塩コショウの方を載せて食べて終わった後に、何もかけていない方のも載せて醤油をかけて食べたいからだ。
更にどんぶりにご飯を盛った。こっちは他のおかず用だ。
私は少しずつもらえばいいので、ほとんどがニルヴァス様用のつもりで作った。
さあ準備は揃った! 念願の米を食べるぞ~~~~!
「いただきます!」
ん? この世界に来て、初めて合掌して言ったような。まいっか。
「ニルヴァス様、これは目玉焼きといいます。こっちが塩コショウで、こっちの方には醤油をかけます」
説明しながら、醤油をかける予定の方に醤油をちょちょっとかける。
「スプーンで下の米と一緒にすくって食べてみてください」
私が自分の皿のをスプーンですくって食べて見せると、ニルヴァス様も同じようにした。
私が食べたのが塩コショウの方だったせいか、ニルヴァス様も塩コショウから食べ始める。
ひと口頬張ったニルヴァス様は、モグモグと噛み始めてすぐに、鼻から息を吸い込んで目を瞑って首を小さくゆっくりと振り出した。
何度か、というか、いつも見ているのでもう解っている。
これはニルヴァス様の堪能している時の動きなのだ。
好きになってくれそうで良かったなと思いながら、私も久々の米を堪能する。…ああ。
今日だけはニルヴァス様と同じ動きになってしまいそうだ。
2人で向かい合って食事をしているというのに、揃って目を瞑って首をフリフリ食べているなんて、ちょっと可笑しいとは解っているのだが。
身体が勝手にそうなってしまうのは止められない。
米と半熟卵が口の中でまろやかに混ざり合って、そこに塩コショウと油が絶妙に絡み合うんだよね~~~~!! ああ、醤油も最高~~~~!!
米と卵の絶妙なハーモニーに酔いしれて、私はペロリと目玉焼きご飯を食べ切ってしまったのだった。
「うむ。米というのは美味であったのだな」
食べ物が口から無くなるごとに「美味である」「うまい」と言っているニルヴァス様に「でしょう!」「そうなんです!」と返しながら、私は自分の欲求を満たすのに夢中だ。
「ニルヴァス様、これ少し下さいね」
大皿の天津飯を空いた皿に少しもらう。これは最初からそうするつもりだったからいいのだ。
だが私の前には、それとは別に小さい茶碗に盛られた米が。
いや、本当は食べるつもりは無かったんだよ? でもね? 久しぶりの米に、それに合うためだけに作ったおかず達。
…おかずを食べると米が欲しくなるんだよう! 解ってくれるだろう諸君?
だが私は耐えたのだ。途中までは我慢していたのだよ。でもさ、ほらケーキが焼けたのだ。それを取り出しに行ったらさ、鍋の牛乳が分離していたのだよ。
それを静かにかき混ぜて、もっとしっかり分離するまで待つんだけどさ。そのすぐそばに、土鍋があったんだよね…。え? 言い訳じゃないさ。状況を説明してるだけなんだよ?
やはり唐揚げには白い米だよね! 野菜炒めにも白い米だよね! 漬物には絶対白い米だよね?! アツアツの腸詰にも、やっぱり白い米だよね? マヨネーズで半分溶けてるチーズと野菜のハーモニーにも白い米! そして焼きナスにもやっぱり白い米だよね?!
更に極め付けはこの鳥モモ肉のガーリックソテーの、この脂に! 白い米を絡めて食べる至福~~~~~~!!!
天津飯は美味しかった。他も全部美味しかった。やはり米があると、確実に3倍は美味しく感じるな~~。ガーリックソテーは10倍ね。
えっと、米は後どのくらい残ってるかな~。…ん? あれ? もうほとんど無い。
6合炊いた。わりと多いが、ニルヴァス様には少なかったかもしれんな。うんうん頷いて納得していたのだが、頷きながらよぎった記憶に固まった。……思い出したのだ。自分が何杯お代わりしたのかを。
「ぎゃああああああ! また食べ過ぎてしまったああああああ~~~!!!」
今までもついつい食べ過ぎてしまっていたのだが、今日はひどい! 今日はやばい!!
ガタガタガタッと大きな音がした。
涙目で振り向くと、涙で歪んだ視界の中に椅子ごと倒れたニルヴァス様がぼんやりと見える。
「……大丈夫ですか? …ズビッ」
「それを言いたいのは我の方である!」
ガタガタと椅子を直して座り直したニルヴァス様に訊かれた。
ニルヴァス様には取り繕うつもりは無いので、涙と鼻水を垂れ流しながらぶちまける。
「私、食べ過ぎてこのままじゃ、デブまっしぐらです!」
「デブというのは何であるか?」
そっからか! 内心で突っ込みながら、「太り過ぎた体型の事を、うちの世界じゃそう言っていたんです」と教える。
そうしたらニルヴァス様が首を傾げて私を見て。
「言っておらなんだか? おぬしの身体は我の魔力で出来ておるゆえ、体型は変わらぬぞ?」
「ズビッ?」
は? なんだと?
「あまり満腹感も無かろう? 食材で色々試すには、試食も欠かせんと聞いたのでな。どれだけ食べても満腹にならず、体型も気にせずとも良いようにした方が良いと奴が言っておったので、そうしてあるのだ」
……じゃあ私は。心配しなくてもいいことに、いつも悶えて反省を繰り返していたと。
「ズビビッ! ……そういう事は、もっと早く教えてくださいよ」
最後の鼻水を啜り上げ、ニルヴァス様に少し恨めしく言ってやった。
でもそうか。いくら食べようが、気にしなくていいのか。素晴らしいな!
…しかしその素晴らしい助言をしてくれた「奴」とは誰なのか。
もしかしたらうちの世界の神様かもしれない。会う事は無いだろうが、心からの感謝を捧げよう。
……うむ黙祷終わり。思い付く限りの感謝の言葉を述べておいた。
終わったなら次にやるべき事は。
「さあニルヴァス様、ケーキを切りますよ!」
いくら食べても大丈夫なら、デザートは欠かせない。本当は味見程度に食べるつもりであったのだが、
ガッツリ8等分に切って、そのうちの2切れを食べてしまった。
久しぶりのスポンジケーキに手が止まらなかったのだよ。モグモグ。
もちろん底の焦げ目が付いた所は、薄く切ってお皿にとっておいた。
この後さっそくレアチーズケーキを作るのだ。
え? まさか! さすがにこれは今日は食べないよ。だって作ってから1日は冷やしておかないとベストの状態にならないのだ。それまでは、我慢だよ我慢!
米を食しました。
6合を2人で完食です。
ヨリのうらやましい事実が発覚しました。
この設定は、作者の願望100%です! きっと同志は多いハズ!
鳥モモ肉のガーリックソテー様の存在が抜けておりました。
そこに関連する所を加筆しました。…食べたくなりました。
次話は、まだ伝えられていない事を伝えられます。だってまだニルヴァス様は言ってませんよ、あのコトを!




