第16話 森の食材探し!
村長が壇上に上がると……。
村長が祭りの開催を盛大に宣言するのを見届けようと、全員が一斉に壇上へと集まってきた。
「よし、祭りを開幕する前に、まずは住民代表たちと合意した本日のプログラムを発表する!」と村長が声を張り上げた。
「はぁ……いつものやつね。絶対に長くなるわ」とノウカがぼやいた。
村長は挨拶を続けた。
「端的に言おう……! これより収穫祭を開幕する! そして最初のイベントは……森の境界エリアでの食材狩りだ!」と村長が叫んだ。
「あ、あはは……なんだか急に気分が悪くなってきたかも」とフィンが引きつった笑顔を見せた。
「これをもって、森の境界エリアでの食材狩りを……スタートする!」と村长が再び叫んだ。
イベントに参加する村人たちは、我先にと森の境界エリアへとなだれ込んでいった。
森の前にて、四人は食材を探す方向について話し合っていた。
「二手に分かれましょう。それぞれ食材を集め終わったら、またここに集合するのよ」とフィオナが提案した.
「だめだよ、いくら境界エリアとはいえ森の中でバラバラになるのは危険だ。一緒に行こう、それにみんな一緒の方が楽しいしな」とフィンが言った。
「えぇ〜? フィン、一人になるのが怖いんじゃないの〜?」とノウカが冷やかした。
「ふんっ、自信過剰になるなよ。アンタがそう言うのは、誰かと二人きりになりたいからだって分かってるんだからな」とフィンが言い返した。
*ガサッ……ガサガサッ……*
ノウカとフィンはやぶをかき分け、その周辺に生えている植物や料理の材料を探した。
「何も見つからないな」とフィンが言った。
「私も同じよ」とイーファが同意した.
*ガサゴソ……*
四人は草むらの中を探し回った。
「ここにもない、あっちにもない……なんでここには何もないのよ?」とノウカが文句を言った。
イーファは自分たちの立ち位置から森の外を眺め、森の縁にいる村人たちの姿を目にした。
「みんな、手分けして探した方が森の食材をもっと早く見つけられるんじゃないかしら」とイーファが言った。
「賛成! 行こう!」とノウカがすぐに飛びついた。
彼らはそれぞれ散らばり、森の奥へと足を踏み入れ直した。
ノウカは地面に目をやり、何かを探しているフリをしながら、手前の土や草むらを払いのけた。
一方、
フィンは何かキノコや野菜が手に入らないかと期待しながら、草むらを掘り返していた。
イーファの場所では、
イーファは毒がなさそうで、派手な色をしていないキノコを慎重に摘み取っていた。
しばらくして、彼らは再び集まった。
遠くから、ノウカが大声で叫んだ。「みんなー! 美味しそうで食べられそうなものは見つかったー!?」
彼らは集まり、各自が手に入れたものを報告し合った。
フィンが真っ先に口を開いた。
「野菜は見つからなかったけど、野蒜みたいな香辛料とか、香りのいい葉っぱは見つけられたぞ」
「え? ニンニクって香辛料なの?」とノウカが不思議そうな顔をした。
イーファは葉っぱで覆われた、キノコでいっぱいの編みカゴを見せた。
「キノコがたくさん取れたわ。草木が多い場所にはキノコが生えやすいみたいね。今度は倒木を中心に探してみるのもいいかもしれないわ」
「私はお兄ちゃんについて行っただけだから、何も見つけられなかったわ」とフィオナは野菜探しから逃げるように言い訳した。
三人は一斉にノウカへ視線を向け、隠すように抱え込まれたノウカのカゴを見つめた。
「え……私? 私の……土って森の野菜に入ったりするかしら?」とノウカは誤魔化すように苦笑いした。
(入るわけないだろ、このアホ)とフィンは恥ずかしさのあまり引きつった笑いを浮かべながら心の中で突っ込んだ。
その時、四人の耳に足音が飛び込んできた。
遠くから、マルとキチがこちらに向かって猛スピードで走ってくるのが見えた。
「えっ? キャーッ! 轢かれるー!」
フィオナは横へ飛び跳ねて急いで避けた。
*ストッ*
フィオナはほんの数センチしか跳べなかった。
そのまま突っ伏すように地面へ倒れ込んだ。
「いたたた……」とフィオナが弱々しく呟いた.
マルとキチは倒れたフィオナを障害物とみなすように、その背中を踏み台にして通り過ぎていった。
*ビューン!*
ノウカとイーファの横を風のように走り抜け、巻き上がった土煙が二人の顔に直撃した。
イーファはまだ横たわったまま咳き込んでいるフィオナを見た。
「ケホッ……暴力的な二匹ね……」
マルとキチはフィンの前にちょこんと座り込むと、リンゴを丸ごと口にくわえていた。
イーファはマルの口元にあるリンゴを見て目を丸くした。
「リンゴ……? まさか、うちのおじいちゃんの木から盗ってきたんじゃないでしょうね?」
ノウカは手に付いた砂埃をパッパと払い落とした。
「イーファのおやつのストックが狙われちゃったみたいね、ヒヒッ」とノウカが笑った。
イーファがノウカを睨みつけた。
「あんたのペットなんだから、おじいちゃんの木に近づかないようしっかり見張っておきなさいよ」
フィンはマルの口からリンゴを受け取った。
「二人とも、これどこで見つけてきたんだ?」
フィンの後ろでは、ノウカが先ほどのマルとキチの旋風で乱れたイーファの髪をそっと整えてあげていた.
髪を整え終えると、イーファは自分の顔の近くにあるノウカの手をデコピンで払いのけた。
イーファはフィンに歩み寄り、尋ねた。
「ところでフィン、そんなにたくさんのキノコをどこで見つけたの? カゴ一杯になるなんて」
「ああ」とフィンはキノコを見つけた具体的な場所を思い返した。
「それなら……さっき見つけた場所はもう採り尽くしちゃったみたいだから、もう少し探して追加分を集めようか」
ノウカが突然二人の間に割り込んで立ちふさがった。
「それなら、また散らばりましょう! 今度はフィンの側から離れないからね!」
フィンはノウカの脇腹にすかさずデコピンを食らわせた。
「いたっ!」
ノウカは悲鳴を上げた。フィンは親鳥を追うヒヨコのようなノウカに頭を抱えた。
「頼むから落ち着けよノウカ。まずは村に戻って、この香辛料とキノコを置いてこよう」
ノウカはフィンを促すように背中を押したが、ノウカが再び森へ走っていこうとした瞬間、その髪をイーファにガシッと掴まれた。
イーファは無表情のまま、ノウカの髪を強く引っ張った。
「少し静かにできないかしら?」
「いたいたたた! 痛いよイーファ!」
ノウカは身をよじり、髪を掴むイーファの手に触れようとしたが, イーファは容赦なく引っ張る力を強めた。
「キャァァァッ!」
……。
イーファはそのままノウカの耳を引っ張りながら、村の集会場所へと連行していった。
「ごめんなさいイーファー!」
「分かればいいのよ」
イーファは耳から手を放すと、今度はノウカの両頬をぎゅっと挟み込んだ。
「今日はもうこれ以上、私たちを困らせないでね」
「ひっ……! 了解ですっ!」
それを見ていたフィンとフィオナは、額に冷や汗を流しながら引きつった表情を浮かべるしかなかった。
「イーファって、怒るとめちゃくちゃ怖いんだな……」
「お兄ちゃん……今回ばかりは同感だわ」




