表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
30/44

第五章⑦キャシーの覚悟

第五章⑦キャシー

 ほとんどのものは知らないのだが、ギルマスの部屋には緊急脱出用の通路がある。

 使うことなんて無い、誰もがそう思っていたし、ギルマス自身もそうだった。

 存在自体は半ば都市伝説のように語られていたが、実際にどこから入ってどこに出るかを知るものはほとんどいない。

 なのだが……。

 知っているものは知っているもので、とある情報屋からレナードは多額の金銭を渡してどうやら詳しい情報を得たらしい。もっともなところ、その情報屋は後日死体となって見つかったわけだが。


「ふむ、この地下通路から暗殺部隊を送れば、あやつとて対応できまい。」

「数人はやられるかもしれぬが……この戦争を終わらせるには、多少の犠牲など致し方ないこと。SSクラスの強化兵士を、それもとびきり暗殺に長けたものを配置せよ!」

「はっ!」

 レナードは少しため息をつく。

「王国のため、本来ならば冒険者どもも利用したかったのだがな……。」

「だが、これで魔族との戦争に専念できる。失ったものは多いが、我らには強化兵士がいる……。SSSクラは未だハクトー一体のみだが、今後適性の高いものだけを集めればきっと……。」

 夜はどんどん更けていった。


 SS強化兵士の暗殺部隊は27名揃った。どれも並大抵の冒険者では太刀打ちできない者ばかりだ。そう同格と見られる緋水ですら相手にできないレベルの者ばかりだった。

 早速、地下通路へ入りこむ暗殺者たち。

 しかし、眼前には一人のポニーテールの少女が一人、佇んでいた。

「あんたたちの好きにはさせないわ。」

「……。」

 暗殺者の一人が影から這い寄る。しかし、キャシーの魔力場はその異常を軽々と感知する。

「そこね!プリズムレイ!」

 魔法で強化された視力は、暗闇で敵を視認できる。もっとも、魔力を使い続けなければいけないのが難点なのだが……。

「ふん、あたしの魔法なら、たとえ相手が強化兵士でも!」

「さぁ、どんどんかかってきなさい!全員、あっち側に送ってあげるわ!」

 影たちが静かに、そして素早く離散する。

「アークツリー!」

 暗殺者を一人、どこからともなく生えてきた木が貫通する。

「ブライトネスアロー!」

 遠方から魔法を唱えようとしていた暗殺者を一人直撃する。

 見事に相手の息の根を止めた。

「ああ全く!数が多いわね!」

 (魔力回路、保つかしら。温存したいけど、そんな生半可な攻撃じゃ殺せないのよね。)

 (あたしも全力で行かないと!)

「エアブレード!」

 奇襲を仕掛けようとした暗殺者は、真っ二つに切断された。

「ああ、焦ったいわね!こうなったら超大技で一気に決めるわ!」

「喰らいなさい、最強最悪の深淵魔法……クリムゾンパレス!」

 暗殺者たちは一瞬、足を止めた。

 しかし、何も起こらなかった。

「魔力回路が保たないのね……。でも、ここでおめおめと死ぬわけにも行かなくてね!」

「魔力回路、暴走させるっきゃないわね。」

 体が、そして魔力の保持量が限界を超えていく感覚。体に激痛が走る。そして吐血した。

「くっ、ここでくたばれ、魔石人間!」

「クリムゾンパレス!」

 暗闇の物質がキャシーを中心に集う。

 そして閾値を超えて……一気に暗黒魔力が拡散する。

 その威力は、半径300メートルにまで及ぶ円形の大穴を作った。

 全ては崩壊した。暗殺者は見事なまでに暗闇に飲み込まれ一人、また一人と壊滅していった。

 その余波はギルマスの執務室すら吹き飛ばした。

 キャシーはギリギリの状態で、ただ立っているのがやっとだった。

 もう暗視を維持する魔力もない。

 あるのは体にたびたび現れる激痛だけ。

「くっ!」

 再び吐血するキャシー。

 暗殺者は全滅した。はずだった。だが、一人だけ、虫の息のものがキャシーを狙っていた。

 そしてさっと飛びかかる暗殺者。

「あーもう!こうなったらあんたの首を道連れにしてやるんだから!」

「プリズムレイ!」

 暗殺者は明るい光に包まれ絶命した。

 そしてキャシーは何も言わず、倒れ込んだ。

 夜はまだ、夜のままだった。


 少しして、慌てて現れたのはローレンスだった。

 そしてキャシーを見つけ、周囲を確認して全てを悟った。

「キャシーさん、あなたという人は……。」

「これは私が始末書を書かないといけませんね。」

 そう言って、ギルド本部へとキャシーを連れていった。

 ザービは先ほどの爆発はキャシーによるものだと直感していた。

 だが、現実は見たくなった。それでも、キャシーの手当てをしないといけなかった。

「……馬鹿な子。暗殺を察知したなら、相談しなさいよ。」

 それからキャシーが目覚めたのは3日後だった。


「アラミスさん。」

「……。大体のことは聞いている。緋水はもう……。」

「ええ、全て私の責任です。シュバルさんは利き腕を喪失、バーシスさんはおそらく戦死、そしてキャシーさんも魔力回路はボロボロです……。」

「いや、聞きたくない話だな。それより何か用か?」

「ええ、大事な話です。」

「私と共に二人でレナードの首を落としに行きましょう。」


 続く

そろそろ戦争パートも終盤っぽいですね。


さて、どうなることやら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ