↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守護霊様は賢者様  作者: 桐谷鎭伍
第三章 少年編
92/179

伝説の賢者マーリン~⑮

「うわ~綺麗だね」


「魔物が消えるのは普通のダンジョンと同じだけど、この演出は見る価値あるわね」



 ジョゼルのダンジョンでの初対戦を終えたアルベルト達一行は目の前で消えゆく闇落ちしたダークドラゴンが光の粒子となって消え去るのをウットリとした表情で見ていた


 ダンジョン内という事でその大きさは野にいる古竜よりもやや小ぶりだったが、それでも身の丈10mを超える身体が光の粒子となって部屋の中を乱舞する様子はそう簡単には見れない幻想的な物だった



「ん・・・魔石」


「おお!流石に魔石を持ってたみたいだね」



 ダンジョンの魔物は、その他の場所にいる魔物と違って魔石を持っていない事が多い。しかし強力な魔物の場合は体内に魔石を持っている事が有り、生命維持に魔石の力を使わない分ダンジョン産の魔石は純度が高く色々な用途に重宝される貴重なお宝だ



「あら、宝箱まであるわよ!?」


「って、べス勝手に開けちゃ危ない!!」



 アルベルトは慌てて制止の声を上げるが、お構いなしに宝箱の蓋を開けたエリザベスは白い煙に包まれる



「べス!マーリン回復魔法を・・・プッ!」


『ふむ、見慣れてくると案外似合っておるの』


「ちょっと!何なのよ、もう!」



 ボスのドロップする宝箱以外には罠が仕掛けられている事が多い為、不用意に開けるとそれが発動してしまう。 今回の様に煙が出るパターンは毒ガスや状態異常を引き起こす場合が多い。 自身の回復魔法よりも強力なマーリンの魔法での治癒を頼んだアルベルトだったが煙から出てきたエリザベスを見て思わず吹き出してしまう



「ん・・・アフロ再び」


「って、またこれなの!!」


「っと、え~と中には何が・・・は、早くここから出ようか」



 ヴィクトリアに指摘されお気に入りの紫の手鏡で確認したエリザベスは羞恥と怒りで真っ赤な顔をしている。 紫の手鏡に若干引っ掛るアルベルトだが今、エリザベスを直視してしまうと笑いを堪える自信が無い為宝箱の中身を確認する振りをして視線を逸らす


 そしてその中身、そこに入っていた一枚の紙を取り出すと慌てた様に背後に隠してさっさとジョゼルの部屋に続く扉へと向かおうとする。 明らかに不審な行動であり何か不都合な物が入っていた事は間違いない



「ちょっと!アル後ろに隠した物を見せなさい!」


「い、いや大したものは入ってなかったよ。き、気にしない方が良いんじゃないかな?」


「そうはいかないわよ。私の髪型を犠牲にした中身を確認しないなんて出来る訳ないでしょ!!!」


「ん・・・興味津々」



 何とか逃げようとするアルベルトを婚約者二人掛かりで追い掛け、後ろに隠し持っていた一枚のチケットを手にしたヴィクトリアとエリザベス。 その表情は初めはポカーンと、そして吹き出すように笑うヴィクトリアと更に怒りを増したエリザベスへとまるで別の表情へと変わっていく



「あのチビッ子め~!こんな下らない事仕込みやがって」


「ん・・・自業自得、ップ、クスクス」



 其処には≪ジョゼルのラブラブ肩叩き券≫と、そして裏面を見ると≪慌て者にはお仕置きよ♡≫と書かれており、先程の宝箱及び罠が誰の仕業であるか一目瞭然であった。 つまりお仕置き♡というのがエリザベスの現状なのだろうが、金髪アフロになってしまった彼女にしてみれば悪質ないたずら以外の何物でも無かった



「ぶっ殺す!!」


「べ、べス!?落ち着こうよ!暴力反対!!」


「そんなこと言ってらんないのよ!傷つけられたプライドは、10倍にして返してやるのよ!」



 叫ぶと同時にジョゼルの部屋へと繋がる扉へと走り出したエリザベスはアルベルトの制止を振り切り乱暴にその扉を開ける。 その後ろを予想される惨劇を食い止めるべく走るアルベルトと、まるで楽しいイベントへと向かう感じでニコニコしながら追いかけるヴィクトリア



「このクソガキ!・・・って、あんた誰?」


「べスっちょっと・・・ッブ!」



 先程の戦闘中にも出さなかった殺気を振りまいて勢いよく部屋に飛び込んだエリザベスだったが、室内にいた人物に毒気を抜かれたのか急に立ち止まる。 その結果後ろから来たアルベルトは勢いよくエリザベスに突っ込んでしまうが金髪アフロの弾力でその衝撃は全て吸収される。 まったく世の中何が役に立つか判らないものである



「旦那様そんなに急がなくても妾は逃げやせんぞ!?」


「って、その口調!あんたジョゼルなの!?」


「如何にもそうじゃが・・・おお、そうであったな人化の法を見せておらんかったか」


「ん・・・吃驚」



 着流した色彩豊かな一枚物の不思議な衣装を纏い、だらしなく肩の部分を露出したその姿は妖艶な色気を醸し出しその雰囲気をもって不思議な完成度で見る者を魅了していた。 それは部屋を出る前のチッビ子な幼竜からは想像できない姿であり三人が驚くのも無理は無かった



『ほう・・・東方に伝わる衣装じゃな』


「ほほほ、流石に賢者殿は博識じゃな。如何にも妾は東方の守護者でもある故にな」


『では、伝説の青龍で良いのか・・・フム興味深いの~』


「え?暗黒竜王じゃ・・・」


「ングッ・・・旦那様そこは触れんでくれ」


「ん・・・厨二病?」



 ヴィクトリアの止めの一言でガックリと項垂れるジョゼル。 だが前屈みになった姿勢は闇落ちしたダークドラゴンの魔力を得て成長した彼女の豊かな谷間を強調してしまう



「ちょっとバカベルト!どこ見てんのよ!!」


「えっ!どこって!?うわ!ジョゼル胸元隠してよ!!」


「おお、そうじゃ旦那様に喜んで貰える様に特盛にしておいたのを忘れておった」



 先程まで落ち込んでいたジョゼルは胸元を強調するように下から持ち上げるように腕を組んでアルベルトに見せつける。 それは、たゆんたゆんのばいんばいん、と言った感じでアルベルトの視線を奪ってしまう



「ック!やっぱりお胸が大好きなんじゃない!アルのバカ―」


「い、いやそんな事無いよ。ほ、ほら小さい方が足元も良く見えるし良いじゃない。大き過ぎると何もない所で躓いたり靴紐が結べないとか良い事無いって話だよ!?」


『いや、だからアルよ。フォローになっておらんぞ?』


「ん・・・私位が丁度イイ」



 プルンと自らの胸を揺らしながらヴィクトリアも自身の胸を強調する。 彼女の場合は体自体が細いので人型のジョゼルには負けるもののそのお胸はボリューム以上に大きく見える。



「フフン、旦那様心配せんでも良い。妾のお胸は≪ぱっしぶそなー≫と≪かそくどせんさー≫内蔵型じゃ。足元の障害物は十分に感知できる上に戦闘時の敵の動きや自身の身体の制御も思うが儘じゃ」


「何それ?そんな便利な機能がお胸に内蔵されてるの!?」


『そんな訳なかろう!ジョゼルもヴィクトリアもいい加減にせんか!』



 いい加減話が妙な方向へとズレて行くのをマーリンの一喝が押し留める ここぞとばかりに二人のアピールと睨み付けてくるエリザベスの視線を躱す為に慌ててアルベルトがマーリンに尋ねる



「ほ、ほらジョゼルのダンジョンにダークドラゴンがいたのはなんでだったんだろうね?」


『うむ。おそらくはあの邪竜は正常な進化の道のりを歩んでおらんと思うぞ』


「正常な進化?」


『うむ。余剰魔力が強すぎた為に異常な速度で進化したのじゃろう。本来古竜がもつ知性とは時間を掛けて獲得する物じゃからな。力だけに溺れた結果があの闇落ちしたダークドラゴンじゃったのだろうよ』



 アルベルト達がジョゼルを放っておいたが為に余剰魔力で成長し過ぎた結果、精神が身体能力の成長に追いつかなかったというのがマーリンの考えだった。


 もっと言えば偶々生み出された魔物がドラゴンだったのが悪かったという面もあっただろう。 他の魔物ならば魔力を吸収したとしても一定以上の進化から先は望めない筈だった。 最強の幻獣である竜種が生み出され精神的な成長を経ずに力だけが何処までも伸び続けた結果が今回の邪竜の反乱の原因だろう



「って事は、アルがダンジョンを放置し過ぎたって事?」


『まぁそうなるの』


「って、僕のせいなの!?」



 正直この一か月を振り返っただけでも、ダンジョンに来れなかった原因の大部分はマーリンの仕出かした事にあると言っても過言では無いだろう


 装備の問題であったり、戦闘の仕方を基礎から学ぶ為の時間という必要な物であったのも確かだし、そのお蔭で邪竜が倒せたとも言えるかも知れない。 だがマーリンが色々やり過ぎた結果時間が掛かり過ぎて邪竜が生み出されたのも間違いの無い事実だ


 この一か月を振り返れば、ちょっとした思い付きで新しい酒を開発しその結果ドワーフ達を巻き込んだ一大事にまで発展させてしまう。 更にその酒を餌に装備品を製作して貰うだけの筈が作品発表会の規模にまで話が膨らみドワーフ製の装備品の供給にまで影響を与えてしまうという始末


 アルベルトの訓練といってマッドレンジャーという規格外のマッドゴーレムに、これまた規格外のスキルを仕込んで模擬戦を行い魔法戦士として三人をたった一か月で規格外の戦士にしてしまう


 それだけでは無い。武器にエンチャットすると言う失われた技術も再現するわ、過去に造った魔道具がアーティファクトと勘違いされてるわで、今迄の世界の常識をアッサリと塗り替えてしまう事ばかりだった


 伝説の賢者マーリン・・・彼がアルベルトと共に成した事は既にこの世界に大きな影響を与えている。 またアルベルト本人も常識に欠けると言うか、生まれついてからずっとこの賢者と過ごしている為に段々とそれが普通になってきているのも問題であった


 この一か月だけでも伝説の賢者がやらかした事は両手でも足りないかもしれない。 しかしそれはセイレケの街の内部に収まっているだけマシであり、情報伝達の手段が限られているこの世界ではまだ他の街までは噂話程度で収まっていた


 彼等がセイレケの街の枠では収まらなくなった時、しかしその時がアルベルトの物語の始まりになる事を二人は未だ知らないのであった


このお話で第三章は終わりという事で


この後、閑話を挟んで第四章へと移行します


本文中で冗長になりそうでカットしたお話や、何処かで書きたいなぁ~と思っていた話が溜まって来たので・・・け、決して四章のプロットが出来て無い訳じゃないんだからね!


はい・・・ごめんなさい。時間稼ぎですm(__)m


一応今週は連続投稿しますのでご勘弁を

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今更ながらTwitterを始めてみました。感想、ご批判、リクエストなど何でもいいので、よろしくお願いします
@B9MPf3sFTaLkbKj
前作も宜しくお願いします
スキルの取り方間違った
↓↓こっちもポチッとして貰えると作者が喜びます↓↓
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。