アルベルトの冒険~②
ちょっと下ネタを含みます
色々とやらかしながらも何とか書類作業を終わらせたアルベルト達は漸く迷宮へと向かう準備が出来た
「今回は騎兵部隊の訓練も兼ねてるから騎乗で移動だよ」
「ふふん。私の騎乗技術を見せてあげるわ」
アルベルトの言葉に誇らしげに愛馬に跨り颯爽と登場したエリザベスがドヤ顔でヴィクトリアに自慢気に見せつける。 まぁ正直、魔導兵を指揮する立場なのだから馬に乗れるかどうかは然程重要では無いのだが彼女の中では淑女の嗜みに入る部類らしくその差を見せつけるに足る話しらしい
実際には結構仲の良い二人なのだが、偶に自分の優位を誇りたいのかこうやって勝負を挑むエリザベスの姿は良く見られるのだが・・・
「ん・・・私は乗れないからアルと一緒」
「クッ!その手が在ったか・・・」
抱っこをねだる子供の様にアルベルトに両手を差し伸べその前に乗せて貰うヴィクトリアの姿に自分の選択を後悔するエリザベス。 まぁこの様に大体が勝負を嗾けたエリザベスが敗北する結果に結びつくのだった
「ハァ~本当にエリザベス様は懲りないわね」
「まぁそういうお年頃でしょうから」
「がはは、可愛いもんじゃねぇか。お姫様も恋する男の前では只の女って訳だ」
そんな三人のやり取りを見つつ同行者のカイヤ、サーム、バイマトの三人も同じように騎乗の人となり、彼等に付いて行くように馬を進めて行く。
何事も無駄にしないウマルの提案で今回は私兵隊の騎乗の訓練も兼ねている為、ハサンも同行しているのだが、彼は迷宮には同行せずにアルベルト達が迷宮に潜っている間は訓練にあたる事になっている
貧乏くじだと笑っていたがその表情は然程残念な様子は見せて居なかった。 一応は騎兵隊の隊長の自覚が有るという事だろう
そしてもう一人の貧乏くじを引いたカルルク将軍は本気で悔しがっていた。 アルベルト達がセイレケの街を留守にする以上は誰かが街を護らなければいけない訳で、誰が一番の適任という事になれば自ずと彼に白羽の矢が立つのは当然であった
「殿下!モタモタしてたら訓練にならないので飛ばしますよ」
「うん。ハサンに任せるよ」
『ほっほっほ。馬での移動は久しぶりじゃ』
先頭にいるハサンが手綱を扱くと速度を上げ、それに付いて行くように後続のアルベルトや私兵達も速度を上げて軽快に迷宮への道のりを進んで行くのであった
☆△☆△
「あのアルベルト様・・・野営でこんな・・・」
「ああ、訓練だし気にしないでいいよ。だけど流石に戦場じゃあ、こうはいかないから覚悟しておいてね」
女性の魔導兵が申し訳なさそうにアルベルトに礼を言うとタオルを胸にそそくさと簡易のお風呂に向かって走っていく。 アルベルトもにこやかに冗談も交えながらそう答えているので本気で気にしていない様子だ
冒険者や傭兵であれば女性の比率も高くなるのだが兵士の場合は男性で構成されている事が殆どだ。 当然アルベルトの私兵も殆どが男性で構成されているのだが、魔導兵に関しては少し事情が変わる。
魔法の才能と言うのは男女関係なく発現する物だし、元々体力的な能力を求められている訳では無い為、性別に関係なく編成するのが普通で女性の魔導兵が少なくない数で部隊に存在する。
しかし本来は後衛に控えている魔導兵が騎乗の訓練をする事自体が珍しく、この様に訓練で野営をする事など殆ど無い。
では何故、魔導兵達が今回の訓練に参加しているかと言うと、王女であるエリザベスが迷宮の探検に参加する為の口実に使われたという訳だ。 そんな、とばっちりで参加させられた様な彼女達の為にせめてお風呂位はサービスという訳でアルベルトがちゃちゃっと魔法で創り上げたのだった
「いやいや殿下は女性にお優しいこって」
「なんか棘が有るんだけど?」
「いやどうせならこう、覗けるように・・・」
「バイマト殿。ヴィクトリア様やエリザベス様も御一緒ですので不謹慎です」
「チッ。なんだよサームは生真面目だな。男は水浴びだけなんだから少しくらいは良いだろうよ」
覗き云々は別にしてもバイマトの言う様に女性陣が優遇された野営であるのは確かだ。 お風呂だけでは無く女性陣は専用の天幕が用意されているのに対して男性陣は基本的に寝袋だけな為、それだけを見れば聊か男性陣に不満が溜まるのは判らないでも無い
しかし、男性陣には振る舞い酒なども用意されているのでそう言った面も含めれば不遇という訳でも無い。 どうせ領内での訓練だし魔物や魔獣の報告の無い場所だ。 少しくらいは飲んでも大丈夫だろうと言うアルベルトの好意もあって兵士達には不満は無さそうである
「で、アルよ。あの二人とはどうやってるんだ?」
「どうってなに?」
「なにってナニの事だよ」
「ああ、それはね・・・」
男所帯で酒が入ればこういう話になるのは当然で、しかもどちらかと言えばそう言う話が大好きなバイマトがいる以上は避けられない話題だ。 ブレーキ役のカイヤも女性陣の方に合流しているのでバイマトを止める者はこの場にはいない
生真面目な苦労人であるサームすらこの手の話を止めないのには実は理由がある。 この国で婚約者を持つ者であれば共通の悩みが存在するのだ
貴族であったり、貴族では無くてもそれなりの地位にいるものであれば婚約者は早めに見つけるのが習慣であり、見つけられなっかったとしても世話焼きなおばさん達がそれとなく紹介をしてくれる。 なので婚約者を見つける事自体はそう難しい事では無い
婚約までは仕来りだとか常識だとか煩く言われる為なかなか二人で会う事など出来ないのだが、一度婚約がなってしまうと逆に二人きりで仲を深める事を積極的に進められる
そうなれば若い二人は当然男女の仲に進んで行く事になる訳で・・・と言うかサッサと手を出さないと婚約に不満があると思われて婚約破棄に至る上に有らぬ噂まで立てられる始末だ
そこまでなら特に問題は無い。 寧ろ男にとってみれば目の前の据え膳に手を出す事を進められるのだから有り難い話なのだが、此処から先が婚約者を持つ男性が持つ共通の悩みの部分になるのだ
つまり男女の仲になれば当然避けられない妊娠と言う話。 しかし結婚前に妊娠させたりしようものならば激しく非難されるのだ。 それならば婚約後にサッサと結婚してしまえば良さそうだが、それもまた何故か禁止されており婚約後一年の期間を置いて結婚するのが理想とされている
もうこうなると嫌がらせの域に達しているのだが、何故か自分達だって苦労した筈の父親連中はこの不条理な制度を見直そうとはしない。 アルベルトの場合はヴィクトリアは兎も角エリザベスは王女である。 政治的な判断から婚約は発表されていないが当然この仕来りに従わざるをえず、しかも妊娠でもさせてしまったらエライ事になるのは目に見えている
ってな訳で婚約者の居る男性ならば他の男性の話を聞きたいし、これからの男達も後学の為に関心の高い話題であるの為、男だけの酒の席では定番の話題であるのだ。
「で、どうしてるんだ?やっぱり外にか?」
「しかしその方法は無理があります」
若い欲望を持て余した男が余裕を持って外にという訳にもいかず、多くの失敗例を出している方法であるが、それしか想像がつかないので一番一般的な方法でもあるそれをバイマトが口にする
「えっとね。みんな物理障壁は張れるよね?」
「うん!?まぁ別にそれ位は出来るが、それが何の関係が有るんだ?」
「あれって外からの攻撃だけじゃなく中からも攻撃できなく出来るでしょ?」
「ええそうで・・・ま、まさか!いや、しかしそれでは感触も糞も無くなってしまうじゃないですか」
「だからちょっと工夫してナニをナニしてナニに薄~くね」
「で、殿下!!是非その方法を教えて下され。じ、実はそれが怖くて元帝国兵達は婚約に踏み切れないのです!!」
サームが言う通り、先程の習慣と言うか風習は王国独自の物であり、帝国ではそのようなことは無い。実際に帝国の場合は婚前に手を出す事自体が禁止されているのでそんな心配は無いのだから、サーム達元帝国兵で独身だった者達は王国に来るまで特に気にしていなかった
しかし、アルベルトに私兵として雇われるに当たっての教育の中で、その事を知った独身組は戦々恐々としていたのであった。 特に私兵の中でも指揮官としての地位にいるサームにはお見合いの話も多く断るのが限界に近かった事も有って非常に切実な悩みであったのだ
「まぁサーム卿ったら・・・」
「そんな悩みが在ったから婚約者がいなかったのね。てっきり男色かと・・・」
「これで優良物件を・・・じゅるり」
バカな男達が酔いながら焚火を囲んで大声で話していた内容は女性陣の天幕まで届いていた。 それによって元帝国兵達の悩みの内容がバレしまう事になり目聡い女性陣に目を付けられる結果となってしまうのだった
結局、アルベルトの指導の元で物理障壁の訓練を行った私兵達は、結果として魔力操作の訓練にも成りその実力を更に高める事になる。 こうしてアルベルトの私兵達はその名声を高めていくのだが、その一因にこんな話が有ったのは歴史書にも記載されてない事だ
『いつの時代も男は馬鹿よのぉ~ほっほっほ』
アルベルトにその方法を伝授したマーリンは月を見ながら笑うのであった
前の話でアルと二人の恋人の様子を見ていたサームの様子にはこんな秘密が有ったのです
・・・って話を書きたかったんですが、そのせいで迷宮に到達できなかった(T_T)
次話は迷宮での冒険になる・・・ハズデス
読んで頂いて有難う御座います




