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87話

「言っておくが、俺たちは何も喋らねぇぞ」


 とりあえず、三獣士というのをロープで縛り付けて、適当にぶんなぐって起こした。


 で、話を聞こうと思ったけど、口を横に結んでしまって、それ以上はマジで何もしゃべる気がなさそうだ。


 たく、さっさと終わらしてぇんだよなこっちは。死体とか転がってるの掃除させないといけねぇし。臭うからね。


「ここは妾に任せてもらえぬか? こういう手合を相手するのは得意だからのう」


「というかお前、少し離れてくれ」


「よいではないか、いけずじゃのう」


 デカマラの腕に自分の細腕を絡めるようにしながら、エロババァが三獣士に向けてSっ気たっぷりの笑みを浮かべてるね。


 デカマラがちょっとうざったそうにしてっけどね。


 で、三人の件は……まぁ確かにこのエロババァ拷問とか好きそうだけど。


 でも――


「あんまり時間もないしな。あたしが手っ取り早く終わらせるよ」


 そう言ってあたしは三人の前に近づく。牙って奴が、眉間に皺を寄せて絶対に喋らん! て意志を見せてるけどねぇ。


「ふぉおおおお! にゃ、にゃに、ぉ……」


「ぬふぉおお! 角が! 俺の角ふぁあぁん!」


「ぐぎゃらっひょ! ひゃべりゅひゅぅうう! ふぁんにぇひょ! ひゃべりゅっひゅうぅう!」


 はい、一丁終わりっと。


「いやぁ我々はですね。神宝を手に入れるのが本来の目的だったんでさぁ。でも逆にダークエルフの方が捕らえられたのを知って、攻めこんだったわけです」


「二人を攫ったのは、マリヤ様の行方を知るため。だけどあの二人全く答えようとしなかった」


「ぐぎゃりゃ! とりぇずっは! 二人共ウエーノ砦に連れていっかっれてる筈だぎゃっ!」


 あたしがちょっと身体を使ったら、こいつらの口が途端にゆるっゆるになって、ベラベラと喋りだした。


 全くあっさり過ぎて拍子抜けするレベルだね。


「ちょっと待つのだ! お前たちどういう事だ? 妾は確かにタイトウからやってきた使者に、七彩の神玉を渡したぞえ? それなのに取りに来たとはどういう事であるか!」


 エロババァがヒステリックに喚きだしたけど、三獣士ってのも困った顔してるね。


「エロイーヨ。お主は相手の所在をしっかり確認したのかな?」

 

 犬が右手を広げるようにしながら質問する。そしたら、うっ! とか喉を詰まらせて。


「そ、そう言われてしまうと妾も、そこまで細かくは追求しておらぬが……」


 エロババァの返しに犬が軽く頷いてみせるね。


「マリヤ様。これは恐らくチヨダーク侯爵の差金かと。恐らくはタイトウの使者のフリをして、七彩の神玉を奪っていったのかと思われます」


 あたしと犬がそんな話をしてると、火の玉が目を丸くさせて。


「あの、もしかしてそれは神宝とされる神玉の事ですかな?」


 そう聞いてきた。で、それには犬が回答する。あたしの股との関係は伏せたみたいだけどね。


「なんてこった! て事はうちもチヨダークってのに騙されてたって事かよ!」


 牙って奴が苦々しい感じに言うね。

 どうやら話を聞くに、タイトウ側にあのショタから話を持ちかけて、あたし達を捕らえるよう差し向けさせたみたいだね。


 まぁ何故そんな話になったのか、詳しい事はこいつらにもわかんないらしいけど。


 それで汚れ仕事はこいつらに任せて、自分は横からちゃっかり宝を奪っていったってわけね。


「……とりあえずマリヤ様。お二人のこともありますが、城の方も確認を取りましょう。メイド長や他の皆の事も気になります」


 あぁ、確かにね。犬の言うとおりかな。てか、全く色々と面倒な事になったね。





◇◆◇


犬やデカマラ、ダークエルフも一緒になって手分けして城の状況を確認させた。

 場内に転がってた侵入者の死体(あたしが殺ったのもあるけど)は、三獣士がゴブリンと協力して運び出してくれた。


 あいつらどうも、仲間の死にそこまで拘りが無いみたいだ。この領地の盗賊はそんなもんだってさ。


 で、ついでに盗賊団は抜けて、あたしに付くとも言ってきた。変なのがまた増えちまったよ。

 死体の処理はゴブリンに任せる事にした。あいつらにかかれば丁度良い畑の肥やしになるそうだ。

 

 そういえばあたしがいない間に周辺を耕すのは終わったみたいで、畑が出来てたね。

 そこにでも埋める気なのかもしれないよ。


 城に関しては、侵入者の盗賊たちは目的がはっきりしてたからか、城内は破損した箇所とかもあったけど、そこまで大きな被害は無かったね。

 オークもほとんど眠らされてただけで済んでたみたいだし。


 で、メイド長と他の女達も無事だったよ。侵入者がきた時点で、スラパイと馬鹿が囮になって助けたみたいだね。

 

 全くお人好しだね本当。そのせいで自分達が捕まってたらしゃあないっての。


「マリヤ様……私も一緒にと思っていたのですが、奥様と旦那様が私には他の皆を頼むと、でもこんな事になるなら」


 メイド長が泣きながら自分を責めるように言ってくる。

 たく、しゃあねぇな。とりあえず慰めの言葉をかけて。


「メイド長は言われたとおり他の女達を助けたんだろ? ばか……メルセルクとアリスの言いつけをしっかり守ったんだ。自分をそんなに責めるなって。それに人質として捕らえられたならとりあえずは無事だろうし。後はこっちでなんとかするよ」

 

 マリヤ様、て瞳をウルウルさせながら見てくるから、軽く撫でてやった。

 ……泣きながら頬を染めて、なんだかよくわかんない情緒になってるね。


「マリヤ様よろしいですかな? 落ち着いた……とも言ってられないのですが、今後のことで皆で集まって話し合いたいので……」


 犬にそう言われたから、あたしは一緒についていって、会議室として使うことになった広間に向かう。


 そこにはデカマラとエロババァ、火の玉、そんでゴブリンの長も居た。てか牙もいるな。しれっと。


 で、あたしが席につくと、先ず犬が牙に、一旦二人が連れてかれたっていうウエーノ砦に付いて聞く。


「へい! ウエーノ砦はまだこの王国が荒れてた時代に建設されたもんで、随分昔に建てられたもんとはいえ老朽化の様子もみれずまだまだ現役ってなもので、今回の作戦の為に再利用されてるもんです。砦には俺の所属していたマッドビーストの総勢五〇〇の人員が配置されてて、更に巨人対策の為に作られた、でけぇ城壁が特徴でさぁ」


 ふ~ん。でけぇ城壁ねぇ……て! はぁ!? 

「なにそれ! はぁ? 巨人!?」


 思わずあたしは声を大にして立ち上がったよ。いや、まぁ今更って気もするけど、巨人もいんのかよこの国。


「巨人の話は私も知っております。かつては脅威であった巨人ですが今は数も減り、更にタイトウに使える宰相率いる魔導師達の魔法で傀儡にされてるとの事であります」


「傀儡って、グランドオークに付けられてた首輪とかでじゃなくてかい?」


「はい。流石に巨人にあう首輪はありませんからな。魔法による印で操られている筈です」


 そうなると、なんか思ったより厄介そうだねぇ。


「巨人は砦にもいるのですかな?」


「へい。二体用意されてます。その内一体とは攫っていった連中が合流し、一緒に砦まで戻ってるはずでさぁ。巨人に運んで貰ったほうが早いので」


 なるほどね。で、更に犬が尋ねると、巨人でここまで攻めて来なかったのは、まぁ目立つからだそうだ。それもそうか。


「さて。後はそうなると二人の救出の作戦となりますが……」


 犬がそう言って顎を押さえたね。まぁ確かにそれが肝だよ。あとはカジノ。


「その件ですが俺にいい考えがありやっせ!」


 牙が立ち上がって随分自身あり気に言って来たね。


「奴等は俺たち三獣士が裏切るとは思ってもいない筈。だから――」


 ……成る程ね。話を聞く分には、あたしとかを捕えた事にして砦に侵入しようって事みたいだね。


「お待ちください。この者達を完全に信用なされるのは疑問があります」


 エロババァが声を上げた。で、犬も、うむ、とか唸ってるね。


「おいおい、ここまで話してる俺が信用出来ないってかい? そんな事いったらあんただって似たようなものだろう?」


「な、何を!」


「まぁ待ちなよ。信用できるできないはとにかく、方法としては悪くないんじゃないのかい?」


「ですがこれでマリヤ様にまで何かあっては……」


 犬が心配そうに眉を落としたね。


「アレックス様の言うとおりでございます。それにマリヤ様には私からも一つ聞いて欲しい事がございます」


 うん? 何だいエロババァは改まって。


「此度の件。タイトウ領の者も神宝を随分と欲していたようです。ならばそれを手に入れる事が出来れば強力な武器になります」


「手に入れる? でもあたし達はむしろ奪われたほうなんだけど」


「はい。それは……今となっては本当に愚かな事をしてしまったと思うとります。ですが、実はこのタイトウ領にも神宝の隠されている場所があるのでございます」


 エロババァが目つきを引き締めて言ってきたねぇ。てか神宝ってそんなに何個もあんのかい?

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