59話
2014/09/19 修正版と差し替えました
あたしやゴブリンも含めて、全ての視線が、あの二体に注がれた。
正直子作りをチラつかせてしまえば、そのままなし崩し的にソッチに持っていけるかと、今思えば安易な考えで攻めていったんだけどね。
その期待は見事に裏切られて、寧ろこの長ってのを怒らしちまってやばいなとか思ってたところに、思わぬ助け舟って感じだ。
「ゴブオ! ゴブロウ! 無事だったか!」
いや! 無事だよ! 話聞いてなかったのかよ! 寧ろツヤツヤだろって感じだ。
で、そのツヤツヤの顔をクイッと下げて、ゴブオとゴブロウが大丈夫だとアピった。
まぁそりゃそうだってね。
そして二人揃ってこっちに近づいてくる。てかペチャが何か眉を顰めてみてるね。
あぁもしかしたらあの事を思い出してるのか。まぁありゃ確かに黒歴史だよね~っと。
「ゴブオにゴブロウよ、丁度聞きたいことがあったのだ。何故こいつらは檻から出てきている? ちゃんと見張っていたのであろう?」
ゴブボンが二体に尋ねる。けど、お互い顔を見合わせて頭を掻いてるね。
なんと答えていいか判らないといった感じかなぁ。
「……それにだ、何故止めた?」
お、意外と鋭い目つきで二体を睨みつけたね。まぁ止めたってのは勿論あたしたちの処刑の事で、あたしからしてみたら大助かりなわけだけどね。
そう考えるとトドメとか刺さなくて良かったよなぁとは思う。
「申し訳ない長よ。正直そこの口の悪いのはどうなったって構わなかったのだが」
「なっ!?」
うん。あたしじゃなくてペチャの方に言ってるね。おかげでペチャが喉を詰まらせて驚いてるよ。
「……という事はこっちの人間には何かあると言うのか?」
長があたしを指さして聞いてるよ。
で、あのゴブリン二体が一旦顔を見合わせて頷き合ってと。
「……我々にはどうしてもそこの人間が悪い者には思えない。いや、そう、他の人間とは違う何かを、感じているのだ」
おっと。これはいい方向に転がってるね。悪い人間じゃないって……見る目ねぇなって気はするけど、出来るだけのっかっておきたいところってね。
「馬鹿な……人間どもに何を――拐かされたか!」
……まぁ、そう言っちゃえばそうなんだけどねぇ。で、ゴブリン二体が一旦目を伏せてって、おい! 負けんなよ!
「確かにそう言われると身も蓋もない。我らはその女と触れ、そして気を失っていたのだから」
ほら見たことか! と長が叫ぶ。
「だが! そこの者は我らが気を失った後も何もしてこなかった! トドメを刺そうと思えば刺せたものを!」
「そう! これがこれまでの人間であれば、きっと問答無用で我らの命を奪っていたことだろう!」
お? なんかペチャが罰が悪そうな顔をしてるね。あぁあいつは最初トドメ刺したがってた感じだからなぁ。
「それで処刑をやめろというのか? しかし気を失わされていたのは確かだろう。その場では何もしていなくても何か魂胆があっての事かもしれん」
「そ、それなんだが……」
どっちがどっちかはわかんねぇけど、一体のゴブリンが後頭部を擦りながら、何か言い淀んでる感じだね。
で、また一旦ふたり顔を見合わせた後。
「た、確かに気は失った。が、その、悪い気はしなかったのだ」
長ってののコメカミがピクリと動いたね。で、周りも若干ざわつき始めたよ、
「どういう事だ? 気を失わされて悪い気はしなかっただと?」
「そうだ! こ、これはなんと言ってよいか言葉に迷うが……」
「き、気持よかっただろ?」
ここであたしがフォローするように言う。て、うわ! めっちゃ睨まれた! 黙ってろって雰囲気だね。でも――
「そ! そうだ! 気持ちよかったのだ! わ、我々はその女の所為に寄って、凄く気持ちがよかった!」
よっし! もう一体が訴えてくれて……で、ペチャは何か頭を抱えてるね。まぁそっちはどうでもいいけど。
「気持ち……いいだと?」
「そうだ。これは我々にとっても初めての経験だった。こんな、こんな至福の瞬間があったのかと感動すら覚えた。そうまるで柔らかい包み込まれるような、それでいてとても暖かい……」
何か思い出したみたいに恍惚とした表情を浮かべているね。全くこのあたりが童貞くせぇ気もしないでもないけどねぇ。
「そう! あれはまさに神秘! この者の力は神秘であり奇跡ともいえた。何せこの者の所為によって、我々は恵みすらも引き出されたのだから!」
恵み、だと? とか長が口にして、辺りが更に騒がしくなってきたね。てか恵みってなんだ? よくわかんねぇけど、そろそろ頃合いかな……。
「皆が困惑するのも判る。正直これは体感したものでないと判らない事だろうからな」
「だったら体感してみるかい?」
あたしの言葉に皆の視線が一気にこっち向けられてきた。すげぇ、じ~っと見てきてるな。
「体感だと?」
「そ、そうさ。なんでも聞くよりは実際にやって見たほうが早いからねぇ」
「な! なゃうぇじゅなうぇうなにゃ、な、何を言っているのだ貴様はぁああぁあ!」
あぁ~またうっせぇなあコイツ。
「そ、そうだ! これは皆も是非してもらうべきだ! 一度受けてみれば、我らの言っている意味が理解できるはずだ!」
「な、何を馬鹿な。大体もしそれがこいつらの策略だったなら……」
「それこそ長よ。我々を生かしておく理由がないのでは?」
まぁ理由がなかったわけじゃないけどね。実際役にたってる。
で、当然このチャンスを逃すわけにもいかないからっと。
「ねぇん……」
あたしはそう言って今度は周りのゴブリンに身体を向け自らの肢体を晒す。
「お、お前なにをやっているのだ……?」
長が戸惑った感じに言ってきたけど、構わず肌をさらけ出して、性をアピールする。すると何体かは、牢の時のゴブリンに似た反応を示してるのがみえた。
反応にはどうも個人差があるみたいだねぇ。
でもこれなら最初から直球でいくべきだったかな。
子種とか、さっきは余計な事を言い過ぎたね。
「貴方達全員あたしが相手を、し・て・あ・げ・る」
髪をかきあげ艶っぽい声で宣言する。隣では長が、馬鹿な! 何を! とか騒いでいるけど、ここまできたらもういくっきゃないね。
「き、きき、ききっ、貴様ゴブリン相手にまた! は。恥をしらんのか!」
本当うっさいねぇ。だったら。
「うふっ。ねぇ今ならそっちの子も一緒に相手するわよ」
「!? なっ! 何を言っているのだ! か、勝手な事をいうな! わ、私はそんな事、ぜ、絶対にやらないからな!」
「全く何を言ってるのかな~。この状況だよ? 身体つかって助かるなら御の字じゃないか? あんたも文句ばっかりいってないで少しは女を使いな!」
キッと睨みつけるようにして言ってやる。けど――
「そ、そんな、ヒック、ヒック、いや、だ、いやだ、よぉ、そんなの、いやだぁああ! 絶対やだ! やだやだやだやだやだぁあぁあ! こんな奴らの慰み者になるぐらいなら、舌かんで死んでやるぅうウゥうう! うぇええぇええ~~~~ん――」
おいおいマジなきかよ。子供みたいにイヤンイヤンって、てか今のは人語で話したからこいつらは理解してないはずだけど、そんな事にも気づかないぐらい嫌だったのかよって。
まぁ大体こいつの助けなんていらないしね。
「判った判った。だったらあんたはそこで黙ってみてな」
そう言ってからあたしは最初に相手した二体に目をやる。
「ねぇ。これ始めたらあまり邪魔されたくないな。だ・か・ら、とりあえずこの長は……」
あたしの言葉に二体が頷いて、長の後ろに回り込んだ。
「お、おい! お前たち何を!」
「申し訳ありません長。ですが、絶対に後悔させません!」
「そうです! 長も見ていればご理解できるはず!」
よっし! いい感じに言うことを聞いてくれたね。とりあえず反応悪い方はまず置いておいてっと……。
さぁ、行くとしようかね。それなりの数だから……ちょっとは気合入れて……と!




