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にゅうぶ

この物語の登場人物は架空の人物です。実在の人物、団体とは全く関係ありません。このことを踏まえてお読み下さい。


「なん…だと…?」

「だから、あれは去年の写真で、他の三人はもう卒業しちゃってるのよ。お分かりかしら?」

 場面は移り変わって此処は第二資料室…もとい、小説愛好会の部室。あれから私達一年生は困惑するなか自治会長に背中を押されるままにこの教室に押し込められていた。まあ、押し込められるというほど狭い部室じゃないんだけど。普通の教室の半分くらいは広さがあるし、たった五人の部活の部室にしては広いくらいだ。何よりも、設備がおかしすぎる。何で給湯ポットがあるの?珈琲とか紅茶とか、インスタントの飲み物類も見える。それよりもテレビはおかしいでしょ。しかもDVDプレーヤーまで見えるし…まぁ、自治会長だから仕方ないのかもしれない、というかもうそう思うしかない。

 ちなみに、お分かりだとおもうけど先の声は私、後の声は自治会長。今ちょっといざこざなう。机を挟んで向かい合う形で私達一年生と自治会長達三年生が向かい合っている。朝見せて貰った写真が前年度の写真だったことに対して私は怒っている。あと、余裕そうな表情の自治会長がムカつく…。その表情も似合ってて美しいから更にムカつく…。

「詐欺だ!これは詐欺だ!訴えてやる!」

「…って言ってるんだけど、由紀、何か言ってやってくれないかしら?」

「周防さん?私達じゃ不服かしら?」

「いいえ、滅相もございません。」

「周防さんは入部決定、と…」

 くっ…!不服な訳ある訳ないじゃありませんか!だって性格は置いておいて二人は文句なしの美人だし!写真にホイホイされた私には何も言い返せないし!くっ…!私はどうやら駄目だったようだ!だが、他の二人なら…!

 私が後方にいる振り返ると簡便ならないといった表情の久澄さんが机に両掌を叩きつけ、派手な音を立てて会長達に牙を向く。おお、これは期待できる!

「何で私まで数に入っているんですか!納得できません!何よりアタシはもう入る部活は決まってて…!

「入部届けはまだ提出して無いでしょう?まだ、考え直せるはずよ?」

「考え直す必要なんてありません!私は何があろうと絶対に入りませんから!」

 おお、強い!さすがプードルちゃん!……何故私に目線を向けるの?そのヤーさんみたいな目は会長にむけてね?

「……とにかく、学生自治会の雑用なんてアタシは…」

「入部すれば私と由紀が一緒になる時間が妨害できるとは考えないのね。」

「むっきー!入ります、入れば良いんでしょ!」

 …折れた、あっけなくぽっきり折れちゃった…。か、会長強い…!私達の弱い部分をしっかりちゃっかり握ってる…!勝てる気がしない…!か、かくなるうえはっ…!

「か、会長!さゆみんは関係ないので開放してあげて下さい!」

 せめて親友が悪い道に入らないように…身体なんて差し出さないように護らなければ!この子にだけは、さゆみんだけは私がどうなっても護ってみせる!絶対、絶対に会長の思うようには…!

「ああ、貴女は強制はしないわ。嫌なら入らなくていいわよ。」

「ってちょっと待てぇぇぇぇ!どう考えても私達と待遇が違いすぎでしょ!」

「そ、そうです会長!なんでアタシとコイツだけ…!」

「コイツって言うなプードルちゃん!」

「ならプードルって呼ぶな!」

 味方同士で喧嘩を始めてしまう私達、むぅ、一体プードルの何が不満なのだろうか、今ひとつ理解出来無い…。とにかく、そんなこんなだけどさゆみんは何とか会長の魔の手から逃れられそうだ、よかった…。怒っている久澄さんをなだめながら私がほっとしていると、会長が口を開く。

「もちろん入りたいなら大歓迎だけど、まだ時間もあるしゆっくり考えても構わないわよ?」

「さゆみん、もちろん入らないって言ってやれ!」

「もちろん、入部させてもらいます。よろしくお願いします会長。」

「ほらみろ!はらみんは入部するってえぇぇぇぇぇぇ!?」

 何言ってるのはらみん!ここが人生の分岐点になるかもしれないんだよ!?英語で言うとターニングポイントだよ!?

 私が狼狽しているのをよそに、はらみんは会長に差し出された入部届けに自分の名前を書こうとしていた!慌てて私は止めに入る。

「はらみん!ホントにいいの?!会長に貞操取られちゃうよ!?」

「貞操…?何のこと…?」

「何って、これに入部したら、会長に身体を強要されるんだよ!?」

 いけない、会長の恐ろしさを知らない私の友達を助けないと…!私はもうあらん限りの声を出して喚いた。いや、もうアレは叫んだでいいと思う。いつもよりオーバーな仕草で友人に静止をかける。とりあえず入部届けに記入する手は止まった。よし、後は用紙を奪えば…!

 私は用紙の置かれた机にダイブしようと膝を曲げる。用紙の位置よし、角度よし、力加減よし…!後は全力全開で飛び出すのみっ…!いざっ!

 意を決して私が机にダイブすると、くくくと笑みを浮かべながら机の反対側に居た会長が用紙を取り上げる。すかさず私も手で用紙を追うも、リーチの差で後一歩届かない。私が悔しさから会長をにらみつけると、会長はまた悪戯っ子のようにくすりと笑った。くそ、腹立つけど滅茶苦茶美人だ。

 私がその笑顔に思わず見惚れていると、会長が口を開いた。

「安心しなさい、どんな噂が流れてるのか知らないけど、嫌がる相手に強要なんてしないわ。約束する。指きりしてもいいわ。」

「……信用、していいの?」

「もし破ったら貴女の好きにして良いわ、此処にいる全員が証人よ。」

 私の唸るような言葉に、会長が返してくる…。正直、この人は底が知れなさ過ぎるから、信用出来無いけど…打つ手がある訳でもない。私はゆっくり机の上から身を起こして先輩をじっと見つめる。うん、やっぱり私じゃ無理だ。今は信じるしかない。

 …あれ?今の私、ちょっと主人公っぽかったよね?うぉう、テンション上がってきた!あれ、なのに全然かっこよくない…なんでだろ?

 そんな感じで私が自己陶酔していると、再度会長が話し始めた。

「とりあえず…一年生の皆、晴れて入部おめでとう。皆が自分の意志でこの部に入ってくれたこと、嬉しく思うわ。これから一年間、よろしく頼むわね。」

 私達一年生は、そんな会長の言葉を黙って聴いた。色々と引っかかる部分はあるけれど、会長の言葉は本当に歓迎してくれている口調だった。心なしか隣に居る由紀さんも先ほど以上に優しい表情のような気がする。そんな歓迎の仕方だから、私達は何も言えなかった。先輩が、私達の入部を祝福してくれている、その事実がとても嬉しかったから…。

「そして、この一年間この五人で活動するに当たり、まず私のことを部活中は部長と呼ぶこと。由紀の事は副部長ね。分かったかしら?」

「はい、部長…。」

 会長…いや部長からの注意に、私の背後に居たさゆみんが応えた。心なしか部長は嬉しそうに見える。ちらりとさゆみんを振り返ると、さゆみんは困ったような笑みを浮かべながらも、小さく手を振ってくれた。

「次にこの部活の内容だけど…最低限のことさえ終わらせられるのならば、他は何をしても構わないわ。他の部活に出るもよし、私の仕事を手伝うもよし、何ならサボっても構わない。ただし、最低限さえ出来無かった愚か者には私直々に罰があるから、覚悟しなさい。」

「…分かりました、部長。」

 今度は私の隣から若干遅れながらも声がする。ふと隣を見ると、腕を組んだ状態の久澄さんが此方をちらりと見つめた後、少し口元を微笑ませた後、ふいっと顔を背けた。

「最後に…部活は様々な事を教えてくれる場だけど、この部活において最も必要な事は学ぶことじゃないわ…学園生活を謳歌しなさい、自分なりの楽しいことを見つけて、精一杯楽しみなさい。」

「はいっ!部長!」

 二人が言った後なんだからと、今度は私が返答する。力強く、元気に、私らしく。

 私達の声を聞いて満足したのか、だいぶご満悦の部長は、最後にこう締めくくった。強く、優しく、いつものように堂々と、いつも以上に輝いて。

「ここに、新生小説愛好会の設立を宣言します!」

 これが長い長い一日の、あっけない終焉…でも、私の道はこれから続いていく…いや、むしろこれからが本番なんだ!私達の学園生活はこれからだっ!!


~完~

陸ノ鯨先生の次回作にご期待下さい!








 って終われるかぁぁぁ!今終わったら完全打ち切り漫画だよ!しかも一日も経ってないのに終了じゃ読者も絶対納得しないよ!ってか陸ノ鯨って何!?読者って誰!?私誰に突っ込んでるの!?

 脳内に響いてきた意味も分からない打ち切りの匂いを消し去るように頭をぶんぶん振ると、部長が怪訝そうな表情で見つめてくる。何とか笑顔を浮かべて大丈夫な事をアピールすると、会長は怪訝な顔そのままに話し始めた。危ない危ない。何とか誤魔化せたみたい。流石に妄想で打ち切りになりました、とは言えないよね…。

「さて、それじゃ学校的には仮入部状態だけど、貴女たちに最初の最低限の課題を言うわね。明後日までに自分が一年通して書きたい小説のプロットを完成させて私達のところに提出すること。つまらないプロットだったら書き直させるから、覚悟しなさい。」

 …………は?

「「はぁぁぁ!?」」

 思わず私と久澄さんのこえがハモってしまう。さゆみんなんて驚いて声も出ないみたいだ。声のおおきさが二倍になって私にもかなり大きく聞こえる。部長と副部長なんて耳ふさいでるし。どうやら私と久澄さんのステレオはだいぶ不評だったみたいだ。

 いきなりのことに動揺している久澄さんが部長に反論する。それに乗っかるように私も部長に抗議の声をあげる。しかし…。

「そ、そんないきなり無理ですよ!私達に急に小説なんて…!」

「そうだそうだ!横暴だぁー!」

「なら、二人揃って罰ね」

「「謹んで尽力させて頂きます。」」

 部長の罰という言葉に二人とも深々と頭を下げる。駄目だ、この人の目は本気だ…。何をされるか分からない…。私達は蛇に睨まれた蛙よりも小さくなる。その光景を見てくすくす笑う先輩、今の笑顔は美しいが怖い、怖すぎる…。

 私が久澄さんとすくみあがっていると、部長が机の上にあった鞄に手を入れ何かを探しだした。お目当ての品を見つけたのか部長は鞄からそれをとりだす。それは何でもないただの紙だった。よく見ると何か書いてあるようだ。その紙を私達に見せながら、部長が説明する。

「分からないことや聞きたいことがあったらこれにメールしなさい。流石に携帯かパソコンはあるでしょ。電話番号も書いておいたから、連絡はできるわね?」

 部長は私達に一枚一紙を渡していく。飾りっ気のないプリントの裏のようなものに、携帯電話の番号とメールアドレスが二つ並んでいた。 一つは部長の、もう一つは副部長のものらしい。

「それじゃ、今日は解散。気をつけて帰りなさい。」

 にこやかに言う部長。もう…何だか、疲れた……。

……書きたかったんだ!自分の中の何かが弾けたんだ!

という訳で今回はいつものグダグダに更に磨きがかかっておりますので、閲覧の際はご注意ください。

此処まで読んで頂き、ありがとうございました。また次回もよろしくお願いいたします。

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