第4話 エレナ復活
「うー寒い」
俺は、晴彦さんの家で色々手伝って帰ってきたのだ。
ここにきて半年くらいが経った。
刑務所も早く感じたが、ここもあっという間である。
近所や繁華街の人たちとも仲良くなった。
そして、この壁の中の仕組みもわかってきた。
とにかく自由
無償の学校もあるが義務教育ではない。
だって自由だから。
目的をもって勉強したい奴だけが学校に行く。
病院もある。
保険加入は義務ではない。
だって自由だから。
というか、病院代が安い
科学が進歩して病気の診断や治療が
簡単になったこともあるが、
壁の外では、就労層以上ではうけられないような治療が
安価で受けられる。
警察もいない。
仮に窃盗や暴力行為をしても捕まったりしないが
ここに住んではいられなくなるだろう。
まあ、人なんて殺せば、殺し返されるかもしれない
だって自由だから。
女性も襲われたりはしないらしい。
過去には、あったらしいが、
犯人の大事なものが大変になったようで。
それ以来、ないようなのだ。
AIもネットもゲームもある。
すんごいものも見れたり出来たりする
だって自由だから。
やることが多すぎてゲームなどやっていないのだが。
というより、現実がまるでゲームのようだ。
毎日、3人の娘や熟女とのやりとり。
まあ、現実では失敗が出来ないので先に進まないのだが。
それに下手すると俺の大事なものが。
とにかく、何でもかんでも自由なんだが
よく、社会が動いていると感心する。
それは、共助といって助け合っているからかもしれない。
個々の幸せの追求ではなく、
共同体としての幸せの追求みたいな感じだ。
生活が困れば、家族や親せきが助けあう。
それでも駄目なら近所の人たちが。
出来ないことは、他の誰かが補う。
一人でできなければ、みんなでなんとかする。
困っている人がいれば、みんなで助ける。
そして、それぞれが、それぞれの得意分野で活躍している。
与作さんは農業
芳子さんは主婦
百恵さんは教師
明菜さんは看護婦
愛菜ちゃんは小学生
晴彦さんは、開発者
そして、洋一さんは、風俗の呼び込み
そして、学校や病院、消防団のほか、
水道やガス、電気、川や山の管理などは
自治会というのが管理している。
いわゆるインフラだ。
自治会だけはルールみたいなものがある。
毎年、各地区で選ばれた役員たちによって運営される。
AIに手伝ってもらえるので役員の仕事は少ない
飲み食いなど無駄使いしすぎると、次の年の役員にバレるので
下手なことが出来ないらしい。
まあ、お小遣い程度しかもらえないのだから、少しくらいは
許されるらしいが。
良くわからないのは、働いていても税金がないのだ。
ここでは、電子マネーはない。
お金は、紙やコインなどを利用する。
偽造は非常に難しいらしい。
お金を作りつづけるのは自治会だ。
インフラの費用は自治会が払うから。
この塀の中に、お金がどんどん増えていくだけの
気がするが、それならそれで良いらしい。
お金は単なる道具という考えだ。
だから、銀行なども存在しない。
車は走っていない。馬車が走っている。
重機も無い。牛さんが頑張っている。
船は帆船だ。
晴彦さんによると、実は電気やガス、石油などの
エネルギーは、効率が悪すぎるということらしい。
人間は1日2500Kカロリーで充分なエネルギーだ。。
電気に換算すれば60Wの電球程度のエネルギーで
1日に色々出来るのだ。
それに比べて・・・・・
まあ、要するに生き物が働いた方がエネルギー効率が
良いとの事だった。
それと合わせて地産地消だ。
食べ物も、エネルギーも何でも地産地消が一番
効率が良いし、
大量生産、大量消費みたいなことで価格競争をしなければ
需要と供給のバランスで安定した価格となり経済が回るそうだ。
ということで、先ほどまで晴彦さんの家で
たい肥作りのお手伝いをしていたのだ。
どうも、まだ、菌やウィルスの生態がわかっていないらしく
研究したいとの事だった。
菌やウィルスに働いてもらえればとか言っていたけど。
だからといって、電気やガスがないわけではない。
天然ガスは地中から汲み取っている。
電気も核融合施設で発電している。
水道も川の水を浄化して各家庭に流れている。
川の水は汚いが、川の支流で流している水は
微生物の活動により綺麗にされている。
これらの利用料は自治会の収入になるのだ。
だからこの壁の中で急激にお金が増えることは無いのだろうけど。
因みにここで核融合施設を開発したのは晴彦さんだ。
晴彦さんに言わせると、急激な成長を望まなければ
この程度で徐々に成長したほうが良いとか。
晴彦さんの脳みそはどうなっているんだか。
俺が手をさすりながら寒そうに廊下を歩いていると
「ユウスケさん、こっちおいで。寒いでしょう」
芳子さんが、俺のことを呼んでいるが、
女性が4人、コタツに集まって、ミカンを食べているところに、
俺は恥ずかしくて入れない。
「ほれ、あたしの隣に座んな」
芳子さんが、自分の隣をポンポン叩いている。
ご命令なら仕方ない。
「それじゃあ、お言葉に甘えて」
そう言って、俺も芳子さんの左隣でコタツに入る。
なんか、シャンプーの匂いが香ってくる。
「こんなに手が冷えちゃって」
芳子さんは、そんなことを言って俺の右手を自分の膝に乗せ
さすってくれる
「えっ?ナニコレ」
エレナが俺の頭で驚いている。
ナニコレと言いたいのは俺である。
芳子さんに手をさすられているだけなのに。
あふぅ 声が漏れてしまいそうだ。
「すんごいね。芳子さんのテクニック。
やばいじゃん。ユウスケ。」
エレナが感心している。
そう、ヤバいのだ。
すんごいのだ
これだけでもヤバいのに。
「足も冷えているんじゃない?」
左隣の百恵さんが俺の腿を手で、優しくさすってくれる。
「あら、私も遠いけど。さすってあげるよ。」
芳子さんの右隣の明菜さんも、
遠くから自分の足で器用に俺の腿をさすってくれる。
3人は、俺の顔をみながら、楽しんでいるようである。
絶対に、わざとやっている。
さすっているというより・・・・・・・・・・
こんな天国、いや地獄はあるのだろうか?
気が狂いそうというのは、こういうことか。
というか何でこんなにみんなテクニシャン
何でもないところを触られているだけなのに。
「すみません。ト、トイレ行っています」
俺は、限界になりコタツから脱出した。
このままいたら、気が狂ってしまう。
「ユウスケ、ズボンの前がふくれているよ」
対面に座って宿題をやっていた愛菜が笑いながら言う。
愛菜ちゃん、宿題に集中しなさい。
君は、お母さんや、お姉さんみたいになってはいけないよ。
芳江さん達の視線が俺の股間に集中して、恥ずかしい。
「ち、違います。ちがいますから。
これが普通の状態ですから。」
俺は、わけのわからないことを呟いて
トイレに逃げるようにかけこんだ。
「ここで死ぬまで暮らしたいな」
俺はエレナに呟いた。
「すっきりして、冷静になったのね。
まあ。そうね。平和だし。でも・・いや・・・・」
トイレの時は、エレナは意識を遮断してくれる。
そりゃ、人の排せつ物など見たくはないだろう。
たまにエレナは考え事をする時がある。
俺はエレナの考えていることはわかる。
自分の星に帰りたいのであろう。
戦争中であっても、仲間や家族がいるのだろう。
「なあ、エレナ、
何で脳も無いのに精神エネルギーで
記憶をもったまま生き返ることが出来るんだ?」
俺は素朴な疑問を聞いてみた。
「何でって言われても出来るのよ。
物資は精神に影響できて、精神は物質に影響できるの
だから出来るのよ。」
エレナは理解できていないらしい。
「イメージ的には、物資の情報、つまり脳の情報を
精神エネルギーに変換できれば良いって感じか?
そして、生まれ変わったら精神エネルギーを
また、物質エネルギーに変換する。」
俺は、エレナの言いたいことを自分なりに解釈してみた。
「そうそう、
そんな感じのことを誰か言ってたような気がする」
エレナは劣等生だったな。
「万が一、エレナが星に戻れたとしたら、
どこに生まれかわるの?
肉体は死んじゃったんだろう?」
俺は更に疑問をぶつけた。
「普通は、どこかのお母さんのお腹に自然にはいるの。
例えば、私が男の子に入っちゃったら女の子みたい
な男になったりするけど、大抵、同性に入るわ
まあ、胎児になって生まれ変わりだと記憶は薄くなっちゃうけど。
ユウスケは記憶消えた方が良いでしょうけどね。クスクス」
エレナが俺を馬鹿にする。
「ただ、私みたいな優秀な人は体を選べるの。
死体だろうが何だろうが。それでね・・・
私の肉体はね、私の仲間が蘇生して
保存してくれているはずなのよ。
だから、後は私の精神だけが戻れば生き返られるの」
エレナは、実は優秀なのか?
いや、それはない。
だって、間違えて俺の頭に入ってしまっているのだから。
「なるほど。
というか、凄すぎるな。エレナの星の人たち」
俺は感想を述べた。
「そうね、この星よりも凄い人はいるわよ」
エレナが寂しそうに言った。
「エレナの精神エネルギーも大きくなってきたし
俺の体から抜けて
自分の星に生まれ変われないのか?」
俺は、勇気を出して聞いてみた。
1年程度の付き合いだが、常に一緒だったのである。
こいつのせいで、あんなこともこんなことも出来ない
というのはあるが、
こいつのおかげで、俺の人生は変わった。
俺らしく生きていけそうなほどに。
それがいなくなるとなると・・・・
「寂しいこと言わないでよ。
とっくにユウスケから抜けて
生き返れるだけのエネルギーはあるわ
余裕よ・・・
でも・・・・だけど・・」
また、悩んでいる。
そうか、エレナも俺と離れるのが・・・
「だけど、私の星というか住んでいるところはね、
ご飯が美味しくないのよ。
戦争ぐらいしかなくて楽しくないのよ
仕事も遊びもないのよ
スケベな男もいないのよ」
そこですか?
悩んでいたのは。
エレナさんは、僕と同じ想いではないようです。
「ハハハ、それならエレナ様が変えてやれば良いじゃないか?」
俺はエレナに言ってやった。
社会は、自分の手で作るのである。
いや、自分たちの手で。
人に与えてもらえうものではないと思う。
この塀の中に来てわかった。
力とはお金でもないし、武力でもない。
お金や知恵、そしてテロや武力では変わらない。
ひとりひとりの精神が・・・・
エレナの星の人たちの精神エネルギーは強いのだろう。
であれば、いくらでも変えられるはずだ。
「フフフ。そうね、私なら出来そうね。」
エレナ様らしい返答だ。
「ということで、ユウスケ、テレポーテーションで
私の星までお願い」
エレナが、図々しく俺に頼んできた。
「私の星まで?
さっき、余裕とかなんとか
ひとりで行けるだろ」
「薄情者ね、私がまた失敗して
フンコロガシとかわけのわからない生き物に
生まれ変わったらどうすんのよ、責任取ってくれるの?」
エレナ様がお怒りの様子だ。
エレナがフンコロガシに生まれ変わったら、責任とって
飼ってやっても良いのだが。
おれは苦笑した。
まあ、これも縁だ。
エレナに少しくらい付きやってやろう。
そう俺は思ったのだ。
エレナとの別れ・・・・
俺の心の整理がつくまでは・・・
とりあえず、やり残したことを片付けなくては。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ちょっと、買い物に行ってきます。」
俺は芳子さんにそう言って家を出た。
お月様のおかげで、あぜ道は、ほのかに明るい。
「さて、行きますか」
俺はエレナに呟く。
「まあ、止めはしないけど、大丈夫?」
エレナは少し不安そうだ。
俺だって不安である。
まあ、練習はしてきた。
豚さんや牛さんにも協力してもらった。
絶対の自信が無ければ、やらない予定だったが
絶対の自信がついてしまった。
まあ、予行練習にもなるし。
「おそらく、この時間は・・・・」
俺は呟きながらイメージする。
「テレポーテーション」
別に言わなくても良いのだが、格好つけてみた。
一瞬で、鉄格子がある部屋の隅に現れる
「良かった。3人とも真ん中で固まって話し合っている」
俺は頭の中でホットした。
俺は、3人を見つめて・・・・
一瞬の出来事であった。
3人の姿は消えた。
そして、3人の脳内チップだけがゴミのように部屋に残された。
ゴウゾウさんたちには俺を確認できなかっただろう。
俺は、ゴウゾウさん達3人を塀の中の繁華街に
テレポートさせ、
俺だけは、与作さんの家の近くにテレポートした。
「囚人服に裸足でも、洋一さん達なら助けてくれるだろう。」
俺は呟いた。
俺の時のように、困っていれば誰かが助けてくれる。
3人に会って、すぐにでも色々ゆっくり話したいが不自然だろう。
どこかで、自然に合った方が良い。
どうせ、すぐに・・・・・・・
俺は、そんなことを考えながら与作さんの家に帰ったのである。
今日も俺は、元気に農作業、牛さん、豚さん、ニワトリさんの世話も
している。
可愛がった牛さんや、豚さん、ニワトリさんが出荷されるときは悲しい。
しかし、人間が生きていくためには仕方がない。
人間のエゴでしかないかもしれないけど。
「おいしくなって、帰ってきてね」
エレナも悲しいそうである。
俺は今、豚さんにご飯をあげている。
繁華街や近所で、もらってきた残御などだ。
水分が多いものは腐ってしまうので、
籾殻などと混ぜ水分を調整し発酵させてから堆肥にしている。
堆肥は土に栄養を与えるためというよりは、微生物を
増やすためだ。
植物の栄養は微生物が作ってくれるらしいのだ。
晴彦さんと色々研究もしている。
「ユウスケ、こっちさ来てくれ」
豚小屋の入り口から与作さんが俺を呼ぶ。
俺は作業を途中でやめて与作さんのもとに歩き出す。
少し、心を躍らせながら。
「新入りだ。色々教えてやってくれ
服装は馬鹿みてえな奴らだけんども、
頑張るらしいからよ。」
与作さんは3人の新入り男を紹介してくれた。
すでに俺はわかっている。
「こいつは、ユウスケ、いろいろ教われや」
与作さんは、3人の新入りに言う。
「知っています。外で会えたな。ユウスケ
なっ。チョチョイのチョイだっただろう。」
ゴウゾウさんが俺に握手を求めてきた。
「テレポーテーションです・・・すごいでしょ。
脳内チップも無くなっているし。」
レイマンさんも俺の元に寄ってきた。
「まあ、ここでも俺の人脈は役に立ちそうだけどな」
クオンさんも俺のもとによってきた。
「なんだ、知り合いだったのか?
んじゃ、3人も、ユウスケみたいに、すんげえこと・・・」
与作さんが話し終わる前に
「出来ません」
3人が声を揃えて言った。
まあ、計画通りと言えば計画通りなのだ。
3人をテレポーテーションさせる前日、
俺は与作さんに相談した。
「実は理由を言えないのですが、しばらく旅に
出なくてはいけなくなりました。」
そう、エレナの星に行くのだが、正直には言えない。
「旅か、仕方ねえな。止めねえけどよ。
んだども、俺も調子こいて農場広げちまったし
牧場まで始めちまったし・・・・
人が集まれば良いんだけどもよ。」
与作さんは、のんびりしている。
「いや。すぐにというわけでなく
俺の代わりに働いてくれる人が見つかって
ある程度、仕事が出来るようになってからで良いんで」
俺は、与作さんの心配を打ち消した。
そして風俗店の呼び込み洋一さんにも、
与作さんところで3人ほど人手不足ということも
忘れずに伝えておいたのである。
それから色々大変だったんだが、それは別話で。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「それでは行ってきます。」
俺は、玄関で与作さんの家族に別れを告げる。
「すぐに帰ってくんだぞ」 芳子さん
「明日には、帰ってきて下さいね」 百恵さん
「いえ、今日の夜には帰ってきてね」 明菜さん
「お土産お願いね。」 愛菜ちゃん
みんな優しい声をかけてくれる。
「だども、いつ帰ってこれるかわからねえっていう
旅もユウスケらしいな。
まあ、ユウスケがいない間はあの3人に頑張ってもらうべな。
いつでも帰って来いよ」
与作さんも優しい声をかけてくれる。
3人とは、そう、ゴウゾウさん、レイマンさん、クオンさん達だ。
ゴウゾウさんとクオンさんは力仕事
レイマンさんは、軽作業をしながらAIを使った栽培管理をしている。
3人には昨日の夜に別れを告げている。
そう、3人も与作さんの家に寝泊まりしているのだ。
毎日、1人で寂しく寝ていたのだが、
4人、1部屋で寝るようになり、賑やかになった。
色々と、この壁の中に来て、やりたいことなどを
ワイワイと話し合った。
あの3人にも其々やりたい仕事があるのだ。
早く、帰ってきてあげないと。
別れと言っても、また会えるだろう
俺が死ななければだけど。
死んでも生き返れるかな?
「ユウスケ、今更だけど、本当に良いの?
何かさ、いざ、本当に帰るとなると、申し訳ないような、
なくないような」
エレナが俺に話しかけてくる。
多少は、俺に申し訳ないと思っているのであろうか?
「まあ、これまで一心同体だっただろう
もうしばらく、つきやってやるよ。
じゃあ、エレナ、自分の星をイメージして」
俺は、エレナに告げた・
エレナのイメージが俺に伝わる。
自分の物資、精神エネルギー、そしてエレナも含めて
全てを認識する。
これまでで最大の精神エネルギーをつかって
「テレポーテーション」
俺は呟く。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
エレナの星はこんな感じだ。
年中温暖化でジャングルが生い茂っている。
ひとりひとりが欲望を抑え精神エネルギーの修行をしている。
物質的な欲望が少ないため、物質文明としては低レベル
女性のレベルは、エレナ以上の奇麗な女はいない。
服装はほぼ裸同然、布を羽織っている程度。
男性は、俺よりもイケメンがたくさんいるらしい。
そんなエレナの星に、違う星からの侵略者がやってきた。
超高度な文明の人間たちだ。
資源が目的らしく、
エレナの星の人たちを無視して開発をどんどん進めていった。
最終的には大きな基地まで作られ、ほぼ侵略されてしまった。
エレナの星の人たちの多くは、敵と友好関係をもったが
一部の人たちが革命軍を組織して闘っていた、
闘うといっても、文明のレベルが違う。
相手は攻撃アンドロイド。
エレナも毎日、戦っていたが仲間を助けるために自分を犠牲にして
死んでしまった。
しかし、エレナが戻ったところで、
生き残りがいるのか、エレナの体が残っているのかもわからない。
以上がエレナからの情報だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「聞いてねえぞ、エレナ」
俺は、エレナに文句を言う。
そう、テレポーテーションは成功した。
森の中の広場に到着して
成功したのだが・・・
「何で、こんな危険なところなんだよ。」
俺はエレナに文句を言いつづける。
「言ってなかったけ?」
エレナがとぼけている。
無事に成功したのに、
精神エネルギーも何故か滅茶苦茶少ない状態
テレポーテーションで使ったのか?なんていう状況だ。
俺の目の前には、こちらを睨みつけるオオカミ。
俺の星のオオカミなら何とかなるかもしれない。
しかし、目の前のオオカミは・・・・・
象さんくらいの大きさはあるんじゃない・・
非常に暖かい星なので、動物も生育が良いのか?
今の俺では、こんなのに勝てるわけがない。
「どうしたら良い?エレナ」
俺は地元の人間に聞くことにした。
「うん。ユウスケではデビルオオカミには勝てないね」
どうしたら良いと聞いているんだ。
結果を聞きたいわけじゃい。
走っては絶対に逃げ切れないだろう。
デビルオオカミの右足が前に出た。
こちらに来るらしい。
テレポーテーションする力は残っているか?
いや、どこに?
デビルオオカミの左足が前に出た。
飛び掛かってきそうだ
一か八かだ
「テレポ・・・・・」
ドカ―ン
デビルオオカミの左足が爆発した。
ドカン・ドカン・ドカ―ン
「ハハハハハ、死ね。くたばれ」
エレナの恐ろしい声が俺の頭で響く。
右足も左足も後ろ足も吹っ飛んでいく。
最後は顔面が吹き飛んだ。
恐ろしい光景だ。
俺はしばらく唖然としていた。
「すごいですね。エレナ様
助けていただき、ありがとうございます。」
俺は素直にエレナに感謝した。
しばらくすると広場に女性が走ってきた。
とても奇麗な人である。
エレナの言うとおり布切れで大事なところを隠している
程度の服装だ。
金髪ロングストレートに青い瞳、小さな口には赤い紅が。
普通、これだけ日差しが強ければ褐色になりそうだが
肌は白い。
俺の星の女性と変わらない容姿だ。
いや、出ているところは出て、すごくグラマーかも。
「今の爆発音はなんですか?
あなたが何かしたのですか?」
相手の言葉がわかる。
良かった。
そう、言葉がわからないと大変だと思って
翻訳チップを頭に埋めてきたのだ。
レイマンさんと晴彦さんに作ってもらった。
エレナに毎日毎日、昼も夜も翻訳チップを教育させたのだ。
「あら、ぶっ飛びのハニーだ。懐かしい。」
エレナが頭で話す。
ぶっ飛び?
「エレナがハニーさんのこと懐かしいと言っています」
俺は、ハニーさんに話してみた。
「エレナ、エレナ隊長のことですか?
まさか、先ほどの爆発も・・・・・・・」
「そうです。こんな可愛そうな姿にしたのはエレナです。」
俺は、デビルオオカミを指さして言った。
「良くわかりませんが、エレナ隊長の関係者で
敵ではないのですね?」
先ほどからエレナ隊長とか、本当に隊長だったのか?
「敵ではないです。俺の中のエレナに頼まれまして
エレナの死体を探しているのですが。」
俺はハニーに事情を説明した。
「何を言っているかわかりませんが。
エレナ隊長の復活と関係があるのかもしれませね。」
とりあえず、敵ではないことがわかったらしく
安心してくれたようだ。
「わかりました。
エレナ隊長の死体に案内します。
ついてきてください。」
その奇麗な女性は慌てたように森の中を走っていく。
俺も、その後を走っていくが、お尻が見えそうで見えない。
すると、前方に洞窟が見えた。
そしてハニーは洞窟の中に走っていく。
「懐かしいな。第13小隊の基地じゃん。残っていたんだ。」
エレナが懐かしそうである。
始めから、洞窟前にテレポーテーションすれば
良かったのではないだろうか?
「みんな、エレナ隊長の関係者をお連れしましたよ。」
ぶっ飛びのハニーが大声で、2人の女性に叫んだ。
みんなって2人しかいなそうだけど?
「懐かしい。
竜巻のアンと
暴風のジュリアンだわ
生きていたんだ」
エレナが懐かしがるのは良いのだが。
竜巻?暴風?
ウエーブがかかった赤髪ロングで赤い瞳、褐色の肌がアン。
健康的で神秘的な女性だ。
青髪ショートヘアで青い瞳、白い肌がジュリアンだろう。
ボーイッシュな感じだが、とても可愛らしい。
2人ともやはり、スタイルが良いし、
エレナよりみんな奇麗なんじゃないか?
「こちらにどうぞ、エレナ隊長の関係者
これがエレナ隊長の死体です。」
ぶっ飛びのハニーが案内してくれた。
この金髪のハニーはとても、礼儀正しい感じだ。
馬鹿っぽいエレナと違う感じだ。
うわすごい
精神エネルギーの塊に包まれている。
俺の頭に描かれるエレナそのものだが、
こうやってみるとエレナも中々・・・・
神々しい感じが・・・・・。
「うん。うん。ちゃんと蘇生して保存してくれていたのね
ありがとう、みんな。」
エレナが偉そうである。
「なあ、エレナ、戻れそうか?」
俺がエレナに聞いてみると
返事がない。
その時
エレナの体が光った
すごいエネルギーを感じる。
もしかして、これで目覚めるのか?
お姫様のお目覚めって感じか。
プ―――!
おなら?
シーン
エレナの目が明かない。
失敗したのか?
俺はエレナの体に近づいて行った。
何か表情が微妙に恥ずかしそう。
「オナラくらい、気にすんなよ。」
俺が耳元でつぶやいてやった。
手術のあとに、オナラが出たら大丈夫みたいな
合図だったのだろう。
「私じゃないわよ。証拠はあるの?」
エレナは怒って、飛び起きた。
そして、周りを見渡し
自分の体を確認して、
「みんな、久しぶり」
エレナが目の前の3人の女性に笑顔で挨拶した。
「おかえりなさい。エレナ隊長」
3人の女性が同時に言う。
俺は、その姿を見て、エレナが無事に自分の体に戻れたと
安心した。
そして、俺の一部が無くなって寂しい様な、すっきりしたような
感じになったのだ。




