学校生活
朝、起床のベルで目が覚めた。昨日は寝るのが遅かったので、少し眠い。
そんなことを考えていると、腹からぐぅと音が鳴った。
そういえば、ここには食堂があるらしい。朝食はそこで済ませるとしよう。
俺は自分の部屋から出て、食堂へと向かうために通路を歩いた。
通路は白を基調とした色で、所々にステンドグラスがあり、掃除も行き届いている。
国からの資金援助などがあるのだろうか、戦争中の今、軍学校は国の戦力供給の中枢なのだろう。
しばらく歩いていると、食堂と書かれた看板と、入り口が見えた。中からは賑やかな声が聞こえて来る。
俺が入った瞬間、食堂はしんと静まり返る。
「おい、あれって…」
「あぁ、レギウスを倒したやつだよ。」
しばらくもしないうちに、周囲がざわめき出す。
入学していきなり勝ってしまったから、目立つのも仕方がない。
俺は朝食をもらい、朝日の指す席へついた。
今日の献立はパンの盛り合わせのようだ。パンを口へ運び、食べようとしたその時。
「お、昨日の奴か。調子はどうだ?」
レギウスが現れた。
「何の用だ?」
俺は少し敵対心を持って聞く。
しかしレギウスは。
「いや、特に理由はないんだけどよ、あ、前座らせてもらうぞ。」
…こいつ、まるで負けたことを気にしてないな。
それに、敵意も感じない。
「お前、俺に対していろいろと気にしているんじゃないのか?」
「いや、ありゃ演技だ。嫌味な野郎が喧嘩ふっかけてきたってなったら、誰だって手抜きはしないだろ?まぁ、お前じゃどっちにしろ本気でやっていたんじゃないのか?」
「ずいぶん上手い演技じゃないか。」
俺が皮肉ぎみに言うと、レギウスは俺の言葉に対してにやりと笑った。
「もしかして、俺のこと疑ってんのか?安心しなって、俺はむしろあんたのこと尊敬しているぜ。死歩をあんなやり方で突破されるとはな。」
俺も、レギウスに向かってにやりと笑った。
「いや、俺だって本当に危なかった。
もしあそこで地面を盛り上げていることに気づかれていたら、俺は負けていたよ。
お前が油断していて助かった。」
「…」…
「「ぷっ」」
「「ははははははは!」」
「お前、俺が褒めたのにそれかよ!」
「おや、俺は充分褒めたつもりだったんだけどな?」
俺とレギウスの間には、いつのまにか和やかな雰囲気ができていた。
そのまま俺たちは朝食を食べながら、会話を続けた___
その時俺を忌まわしそうにみていた者がいたとも知らずに。
___「魔法の授業、ですか?」
マルフィス先生は意外そうに俺に聞く。
「はい、せっかく学校に入ったので、学んでおきたいと思いまして。」
「えぇ、学ぶこと自体は構いませんが、あれは魔法の才能がないとついていけませんよ…?」
そういえば、リブロが大体の人は自分自身の自在魔法を発見できず生きていると言っていた。
ここで伝えてもいいが、軍に入りたての俺が言っても意味はないだろう。
「そこに関してはリブ…中佐が問題ないとおっしゃっていましたので。」
若干捏造しているが、恐らく大丈夫だろう。
「あのリブロ中佐のお墨付きですか…、ではここから右の通路を通って突き当たりを曲がった場所に教室があります。頑張ってくださいね。」
「ありがとうございます。では。」
そう言って俺は教室へ行く。
しかし、リブロは本当に凄い奴らしい。
帰ったら少し話を聞いてみるか。