10億の女
「おや、村人くんじゃないか。どうしたんだい?こんなところまで来て。」
そこには、白いローブを着た黒い長髪の人間、正真正銘のリブロがいた。
「どうした?どうしただと!?俺は訳もわからないままここに連れてこられ____」
「ダスティ師匠のご意向で、今回会議に出席することになったのです。リブロ中佐。」
後ろから声が聞こえ、振り返るとフリムがいた。
こいついつの間に後ろに!
「えぇ!?初めて聞いたよ!というかフリムちゃんまでどうしてここに?二人とも戦線に行ったんじゃないの?」
「ええ。少しトラブルが起きてしまいまして。師匠に伝えたところ、村人を連れて戻って来いと言われたので回収して来た次第です。」
「おい、待てよ。車に乗っていたあの人たちはどうなったんだよ…?」
俺が聞くと、フリムは今思い出したかのように口に手を当てる。
「あっ…忘れていました。」
「…は?ふざけてんのか?」
俺は声を震わせる。
「お前!助かる人がいたかもしれないのに!何故だ!何故だ!」
俺はフリムに掴みかかる。
「まあまあ、村人君落ち着いて。」
それに対して、リブロは俺を止めようとして来る。
「お前らなんでそんな落ち着いていられんだよ!人が…人が死んだんだぞ!?」
「あなただって人を殺したでしょう。それに軍の予備はいくらでもありますから。」
!!…予備…予備だと…?
馬鹿にするな…誰だって命の重さは同じだ。
俺はあいつらを守るために戦ったのに…そんなに軽々しく…。
俺は剣を引き抜く。
「お前も死をッ!知れ!」
俺はフリムに剣を振り下ろそうとした。
その時。
俺の頭をなにかが押さえつけ、俺は剣が当たる前に床に顎を打ち付ける。
「あ…が…?」
上を見上げると、半透明な人型が俺を押さえつけていた。
「ふー…間一髪だったね。心配はいらないよ。君たちがいたのなら、誰かしらが確認して回収しているだろう。でもね村人君、味方に剣を向けるようなことをしてはいけないよ。私達は仲間なんだから。フリムちゃんも、今の言葉は不適切だったよ。誰にだって帰る場所はある。」
俺を止めたのは、どうやらリブロが使役しているもののようだった。
注意を受け、フリムは頭を下げ。
「申し訳ありません。以降気をつけます。」
「お、おい…いい加減離してくれよ。なんだよこれ。」
俺は未だに床に押し付けられ、そろそろ苦しくなって来た。
「ああ、ごめんごめん。それはガードゴースト。私の意思で動く守護霊的な存在だよ。」
「守護…霊?魔法か?」
俺が質問をすると、リブロは少し悩んだ表情を見せた。
「あー…この際伝えてもいいかな。いつかは教えるつもりだったし。私の自在魔法は、持つだけで兵士500人の力を持つとされる自在魔法の中でも非常に強力であり、世界を終わらせかねないと言われている国家機密、
究極魔法『十億』。」
究極…魔法?
俺は予想外の答えに困惑する。
「これは理解した魔法を全て保存して自分の自在魔法として扱える魔法。最大保存数が十億であることがこの魔法の名の起源さ。そして、ただ操るっていうだけじゃない。その魔法の規模は使用者の実力によって変化する。
オリジナルさえ超える時もあるのさ。さっきのは『反魂』、『洗脳』、『筋力増加』の重ねがけ。」
なんだそのとんでもない魔法は…!?
「フリムちゃんの『雷』も村人君の『水』も覚えたからねえ。もうこれは私のものだよ。」
そう言いながらリブロは両手に水の玉と唸る電気を出す。
俺は目の前の光景に唖然とした。
俺の魔法すら使用できるのか…?リブロはとても敵う相手じゃ無かったのか…?
すると、両手から出ていた魔法をしまい。
「ただ、私は世界を壊してやりたいなんて大層な気持ちは持ってないのでね。あらゆる実験の権限と軍でのある程度の地位をもらうことでこの国と契約を結んでいるんだ。あとは、軍からの要請が出た時にちょっと出ていくくらいかな。」
「リブロ中佐は、過去二度の出撃がありましたが、敵国の人間が誰一人生き残らなかったこと、その時の記録が全て消えていたことからそれらの戦争は『沈黙の戦場』と言う名前がつきました。」
「沈黙の戦場…それだったら俺も知ってるぞ。大国の軍隊が壊滅して、両国ともアルバキュリオの土地になったって…。」
そう言うとリブロは少し恥ずかしそうに。
「あの時は認識を操作できなかったからねぇ。全員倒すしか無かったんだよ。」
「ところで、私に用があって来たんじゃないかい?」
「はっ!そうだ!そうだよ!俺がこいつに何かされて、そのあと意識が無かったんだよ!こいつに聞いてもリブロに聞いてみりゃわかるって言うだけだしよ!」
そう言うと、リブロは頭をかきながら。
「なるほど…。それはちょっと私からも確かめる必要があるね。」
確かめる?
「確かめるって誰にだよ?」
「ああ、それは____」
リブロが名前を言いかけたその時。
「フリムー!どこ行ったんだー!もう会議始まるぞー!」
男の大声が聞こえて来た。
「彼さ。」
すると、先ほどの声の正体と思われる男がドアを開けて入って来た。
「リブロー、フリムがここに来なかったか…お、いたいた。どこに行ってたんだ?」
男は軍服を身につけ、まるでボディビルダーのような発達した筋肉をしていた。2mはゆうに超えていそうな感じだ。
「申し訳ありません。こちらの村人を連れて来るのが遅れ、到着時間が遅延してしまいました。」
「お、こいつか。よろしくな。」
男は俺の頭に手を乗せくしゃくしゃと頭を撫でる。
「わ…やめてくれよ!」
俺はなぜか照れ臭くなり手をのけた。
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