夏 リゾート地へ1
レオの発情は、 一週間ほどで落ち着いた。
夜になっても、 瞳の色は穏やかな水色のまま。
あの甘い熱を帯びた空気も、 今はもう感じない。
……ただ。
あれ以来、 レオは時々、衣装を着せたがるようになった。
「これ、今日どう?」
なんて真顔で持ってくるから困る。
でも、 着た瞬間に耳としっぽが嬉しそうに揺れるので、 結局断れない。
結局、わたしもレオに甘いのだ。
第五統合の夏の大型プロジェクトが決まった。
でも、今年は2人ともメンバーから外れていた。
とはいえ、 レオは総監督として全体進行を見ている。
最近の第五統合は、 事業部全体の空気がすごくいい。
担当メンバーだけで回すのではなく、 手が空いた人が自然にサポートへ入る。
資料作成。 確認作業。 他部署との調整。
「自分に出来ることをやる」
そんな空気が、 いつの間にか根付いていた。
たぶん、 去年のプロジェクトを通して、 みんなが少し変わったのだと思う。
だから私も、 出来ることは率先して手伝いたいと思っていた。
レオも前回ほど、眉間にシワが寄ることがなくなったけど、やっぱり大きなプロジェクトなので、なかなか休めてない。
休みでもリモートで指示をだしたり、修正案を出したりとやっぱり大変そうだ。
実は、この夏、レオとリゾート地へ旅行に行く計画を立てている。まさか、この時期に大型プロジェクトが入ってくるとは予想できなかった。
「無理しなくていいよ」
リビングのソファで膝枕をしながら、 レオの頭を撫でる。
うとうとしていたレオが、 急にぱちっと目を開けた。
そして真顔でこちらを見る。
「唯衣と旅行行く方が重要」
即答。
「いやいや、大型プロジェクト中だよ?」
「総監督なんでしょ?」
「休み延期した方が――」
「絶対行く」
被せ気味。
レオはむくっと起き上がると、 真剣な顔で唯衣を見た。
「唯衣の水着見たい」
「えっ」
「2人で砂浜歩きたい」
「レオ」
「夜、いちゃいちゃする予定もある」
「レオ!?」
耳ぴーん。
しっぽぶんぶん。
全然隠せてない。
レオはそのまま、 唯衣の膝に額を押しつけた。
「……だから頑張ってる」
少し低い声。
「休暇までに全部落ち着かせる」
「絶対、唯衣と行く」
その言い方が、 子供みたいに真っ直ぐで。
唯衣は思わず笑ってしまう。
「じゃ、レオの好きそうな水着選んで買っておくね」
「俺が選ぶ」
即答。
唯衣、 また吹き出す。
「レオ、そういうところ本当にブレないよね」
「重要だから」
真顔。
でも耳としっぽは、 すごく嬉しそうに揺れていた。




